PassCode、バンもん！からAppare!、白キャン、ネオジャポまで カメラマン・真島洸［インタビュー後編］アイドルスチールの第一人者「写真家でもフォトグラファーだとも思ってない、カメラマンです」『偶像音楽 シン黒子列伝』第2回後編：真島洸

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カメラマンって1番ライブ現場にいなくていい存在だと思う

——もっといい写真が撮りたいと思っている、カメコ（カメラ小僧）の人たちにアドバイスはあります？

真島：
いやいや、みんなウマくないですか？　ウマいし、めちゃくちゃいい機材持ってるし……。だから撮影可の現場ってすっごいプレッシャーなんですよ。グループとしての枠がメインで、その中にソロを撮るタイミングがあるというのが僕の考え方なんですね。なので、その子だけを追ってる人の“渾身の1枚”には絶対敵わないんですよ。なので、すげープレッシャーです。僕も回数は見てるし、なんならその子がどんな子かもわかってるんで、絶対押さえたい瞬間はあるんですけど、あの人たち（カメコ）はまた別なんですよね……。“そこか！”みたいなところがあるんで、ウマいんですよ。ウマいし、いい機材持ってるから絶対敵わない（笑）。

——絞り（F値）やシャッタースピードのこだわりはありますか？

真島：
引きの時は固めてはいるんですけど、いうても、F4とかF5とかなんですけど。寄りでソロを狙う時はF3.2とか。開放しちゃうと急に動くことがあるから、若干ピント甘いなという時があるんで、ちょい絞るかな。シャッタースピードはけっこう固定してます。引きは1/200秒、寄って1/400秒とかそんなもんですね。最近は照明がLEDのところが多いので、そうなるとフリッカーが出てくる。高分解シャッターがついてる機種でも、寄ると出てくるんで難しいですね。そういうところは普通の一眼の方が強かったりする。白熱灯とLEDの照明だと色の出方も変わってくるし、ハコによってステージ上の見え方が全然違うんで。大体どのハコも同じ設定ではいくんですけど、ハコによってはこれじゃ全然いかんなとか、やっぱ難しいです。

——ハコによって相性の良し悪しもありますよね。真島さんと相性のいいハコはあります？

真島：
ハコが大きければ照明もいいんで、極論、ハコが大きければ撮りやすいんですよ（笑）。小さめのハコだと、（Spotify）O-Crestは好きです。あそこは、昔ながらの白熱灯の照明だし。clubasiaも撮りやすい。撮り場は少ないんですけど、照明のつき方がめちゃくちゃいいんですよね。ハコの相性はやっぱりありますよ。柱があったり、ステージが低かったりとか、勘弁してくれってハコも（笑）。でも、前回よくなかったのに、今回めちゃくちゃいいぞということもあるんで。

——やっぱり、照明次第というところもありますよね。

真島：
色の混ぜ方で“こう来たか！”とか。もうちょいこういうのがほしいのに、とか。僕は、あとから加工はできるけど、照明を作ることはできないと思ってます。以前Twitterで照明さんとカメラマンさんが揉めていたことがあって。ライブハウスとしては、考えて照明を作ってるんだから、そこまで色を変えないでくれっていう。最近のカメラマンのライブ写真って、色をどんどん無茶苦茶に乗せていくというか、本来ない色を作り出す流れが強いなって思うんです。きっと海外の写真や映像からの影響だと思いますけど。ある程度歳が下の人からそういう傾向があるんです。それですごく揉めてたんですよ。

——加工しすぎてしまうわけですね……。

真島：
僕も色はめちゃくちゃ変えたらダメだと思ってるし、ライブスチールって、僕の作品ではないから。ライブハウスがあって、演者がいて、客がいて、それで成り立っているものを僕は撮っているだけ。それは作品ではない。自分が作り出したものではないので、そこまで変えちゃいけない。だけど、仕事としての自分のカラーを少しは出さないといけない。自分が見せたい画にちょっと近づけなければいけない。その上での色乗せなんで、難しいところなんですけど。仲のいい照明さんも何人かいて、その人たちは“これがいい”と思ってめちゃくちゃ打ち込んで作ってるのを知ってるから。いかにそれをウマく撮るかですよね。だから聞いたりします、“この照明ってさ”って。ちゃんと事前に情報を集めておかないと。中には“マジかよ！”という照明をしてくる場合もあるんで（笑）。それによって撮れない時もある。それこそキメの瞬間、アウトロは暗転させちゃう照明さんもいるんです。それだと、運営さんに“そこ撮ってください”と言われても撮れないんですよ。僕は記録するしかできないんで。

——独りよがりにならず、ライブを作り上げている人たちを理解することも大切だと。

真島：
僕、自分のことは“フォトグラファー”だと思ってないんですよ。どちらかというと“報道”に近い。ライブスチールに関しては“写真家”でもないし、あくまで“カメラマン”なんです。フォトグラファーって、写真家とカメラマンの中間なんですよね。自分の作品を出しつつ、いい塩梅でやってる人たち。写真家はもう、あれは芸術なんで。僕は絶対そこにはなれないなと思っていて。ライブにないものは作れない、報道現場で嘘は作れないんです。

——あくまでリアルを捉えていく。

真島：
リアルを捉えつつ、望遠とかで圧縮する原理、新聞とかでもよく使われてる“人を多く見せる”技術。ああいうのを使って、真実味を持たせる、あれはもうトリックみたいなものですけど。僕は撮影している時は黒子に徹しようと思ってるんで。写真撮る時にはできるだけ、みんなの邪魔にならないようにしています。今って、チケットの種類がいろいろあったりとか、頑張って最前取ろうみたいな。バンドとの違いってそこかなとは思うんですよ、やっぱアイドルって前で観たいから。そういう文化があるからこそ、僕が仕事とはいえ、前っ面に堂々立って写真を撮っていいかといったらダメだと思う。僕が客だったブチキレるし、邪魔くせえなと思う。ずっとバンドを見てきたからわかるんですけど、客側から見て絶対邪魔になる場所ってあるし、“そこいられたら見えねえよ”という場所があるから、そういうことはしないようにしてます。カメラマンって1番ライブ現場にいなくていい存在だと思うんです。いた方がいいけど、いなくてもいい。仕事中は目立っちゃだめ。でしゃばっちゃだめ。いなくてもライブはできるから。

——よくわかります。形は違いますけど、自分もライブレポート書く時に関係者席にいるの嫌ですもん。ライターもライブにいなくていい存在だと思ってます。

真島：
ほかのカメラマンさんとか、フェスとかで会うと、なんでこの人たちはこんなにカメラマンっぽい見た目になれるんだろうって思いますね。こないだも＜BAYCAMP＞に行って、映像撮ってる仲いいやつがいたんですけど、“俺、絶対カメラ持たされてるヤツじゃん？”って。なんでこんなにカメラが似合わないんだろう（笑）。

——現在のライブアイドルシーンを観ていて、何を感じますか。

真島：
面白さはめちゃくちゃあると思っていて。みんなすげーライブがいいじゃないですか。あんな若い子たちが毎日いいライブをやっていて、完成度も高いし、曲もいい。めちゃめちゃ凝ってるし。最近改めて思うんですよね、みんなクオリティ高い。日常に生きてたら、J-POPに比べると、やっぱりアイドルシーンってそんなに見つかるもんじゃないと思う。でもそれを見つけて、あんなにいい曲を聴くことができる。毎日いろんなグループがライブをやってるから、ライブに行こうと思ったらポンと行ける、っていうのはすげーいいなと思っていて。いろんな人にもっと観てもらいたいなと思っていますね。だから自分が撮った写真が、ライブに行ってみようかなと思うきっかけになればいいな。

——本当にライブと音楽が好きなんですね。

真島：
だからライブ写真をこれだけ毎日撮っていても飽きずにやれてるんですよ。スタジオ写真だけだったら、たぶん飽きてると思います（笑）。

［おもな使用機材］
SONY α9II ×2
SONY α7III×1
CANON 5Dmark4×1

SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE
SONY GM 12-24mm F2.8
SONY GM 24-70 F2.8
SONY GM 70-200 F2.8
SONY GM 100-400 F4.5-5.

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