コロナ禍がもたらしたもの、アイドルだからこその新たな可能性|「偶像音楽 斯斯然然」第81回

コロナ禍がもたらしたもの、アイドルだからこその新たな可能性|「偶像音楽 斯斯然然」第81回

コロナ禍がもたらしたもの、アイドルだからこその新たな可能性|「偶像音楽 斯斯然然」第81回

新型コロナウイルス感染症は、アイドルに大きな影響を与えている。

コロナ禍以前のような活動ができず、困難な状況に陥っているグループがいる一方、この難局の中でも新しいアプローチを試みて、アイドルエンタテインメントの可能性を押し広げているグループがいるのも事実だ。

今回は、改めて新型コロナウイルスがアイドル界にもたらしたこと、またその中でも試行錯誤をしながら新たな展開を見せているいくつかのグループの活動を紹介する。

コロナ禍で浮き彫りになった特異性

その状況を逆手に取り“魅せる”ことにシフトしたグループは、このコロナ禍で大きく飛躍した。目に見えるような急成長を遂げたパフォーマンススキル、そしてグループとしての世界観を大きく打ち出すことでその存在感を大きくアピールしていく。ある意味、表現者として本来の姿に近づいたともいえるだろう。俯瞰的にシーンを見ると、全体的なライブパフォーマンスの平均値はコロナ前より格段に上がっていると感じている。音楽制作方面でもコールやガヤを想定しない楽曲制作が行なわれるようになり、いわゆる“ヲタクがノリやすいテンポ感と間合い”に特化した楽曲は格段に減り、音楽としての自由度は拡がったと感じている。

無観客での配信ライブはいい例で、ステージ上で完結することが大事になった。たとえ一方通行になってもショーとしての完成度、そこが問われる。その形態がウマくハマったグループは強い。緊急事態宣言下、どこよりも早く配信ライブに取り組んだNEO JAPONISMは、“魅せる”ライブにおいて、どこにも負けない圧倒的な強さと唯一無二の存在感を放っている。

NEO JAPONISM 全国ツアー『威風闘々』ファイナル東京公演@O-EAST【全編公開】

ただ、そういったライブをできることが必ずしも正解というわけではないだろう。エンタテインメントに正解はない。コール&レスポンスやオーディエンスとの一体感ありきでライブを行なってきたグループにとって、そこを変えていくことが正しい進め方なのかは疑問なところもある。こういう状況下であるからやむを得ず、でもあるだろう。しかしながら、この状況に順応できる力、もしくは新たな発想力を持っていなければ、淘汰されてしまうことも現実だ。尤も、“いい曲といいライブをやっていれば、お客さんは増えていく”と勘違いしがちだ。これだけ選択肢の多い現在で、自然と“見つかる”ことはないに等しいだろう。いかにオリジナリティや特異性を見出し、見つけてもらうか、の方が重要であったりもする。

ちょうど前回触れた#ババババンビは、アイドルと音楽に真摯に取り組む姿勢が土台としてあるほかに、SNS上でのメンバー、スタッフのやり取りを含めたインターネットコンテンツの巻き込み方が巧妙で、日に日にその勢いは増している。

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