BiS、美味しい曖昧、situasion 尖ったギターが迫り来るロックアイドルの新譜｜「偶像音楽 斯斯然然」第79回

美味しい曖昧『曖昧なシングル2』　心地よいポップネスが炸裂

6月6日に3rdワンマンライブ＜曖昧なワンマン3＞も決定し、今ノリにノっている美味しい曖昧が『曖昧なシングル2』を2月23日にリリース。小気味よいギターのカッティングが扇動するキレのあるリズムと、楽曲の枠からすっぽ抜けていくようなメロディが交錯していく、実に心地よいポップネスがこれまで以上に炸裂する。耳馴染みのよさの反面で複雑極まりない中毒性の高い4曲が揃い踏み、さらなる完成度で振り落とされた。

美味しい曖昧「ナブルナブルナブル」

楽曲で語られることの多い美味しい曖昧であるが、本作のリード曲「ナブルナブルナブル」MVのビジュアルとともに確認できる、切兎うずめのイケメンっぷりと彩負屋ねむりの地雷女子具合い……といったメンバーのキャラクター性から形成される声色も大きく楽曲の色に反映されている。

美味しい曖昧サウンドを大きく担っているのは、カッティングギターであることは言うまでもないだろう。ちょっと前のめりで入って、ジャストで抜けていく絶妙なタイム感は何度聴いても絶品である。

ちょっと大人びた雰囲気を漂わせる同曲のスウィングっぷりにしても、グループの新境地を感じさせながら、リズムと譜割りの難易度が上がっているところに今後の期待を感じるしかない。「まざらないや」の緻密で巧妙なリズムと言葉の置き方、そして「ユーグレナはわかんない」の陽気で爽やかさ、美味しい曖昧流の直球爽快パンクチューン（といっても十分複雑ではあるが）に、ボーカル面での急成長をひしひしと感じるのである。