SOL、群青の世界、CYNHN “青”が放つバンドサウンドの可能性｜「偶像音楽 斯斯然然」第78回

群青の世界　限りなく透明に近い青

群青の世界もグループ名どおり、“青”を全面に打ち出している。アイドルという、ピュアで崇高な存在を感じられるグループである。

群青の世界 - BLUE OVER

AKB48グループや坂道シリーズに見られるような、普遍的な女性ボーカル曲を合唱的なアプローチではなく、個を活かしたメンバーの歌唱で紡いでいく。そうした楽曲を持ち味としていたが最新曲「However long」は、AKB48グループ、坂道シリーズ楽曲を多く手掛ける杉山勝彦による楽曲。

群青の世界 - However long

清涼感あるメロディと青春の輝きが溢れる詞を、耳馴染みのよいアレンジでまとめ上げたメジャー感のある仕上がりになっている。Awesome City ClubやDa-iCEの映像作品を手がける波多野奨によるMVも美しい。

群青の世界もSOLと同じく、優しい耳馴染みを持ちながらも、よく聴けばどっしりとしたバンドサウンドがベースとなっていることがわかる。こうしたバンドサウンドは、いわゆるロックアイドルに分類される、ラウドロックやパンクとは違うもの。80年代バンドブームのビートロック的なものとも異なり、90年代のMr.Childrenやスピッツが確立したバンドサウンドに近い。こうしたJ-POP要素の強いバンドサウンドは硬派なバンドに比べれば、ロックバンド然とはしてないのかもしれないが、自身のバンドカラーよりも歌メロ、楽曲の世界観を重視した、作家的な色を濃くしたバンドである。

そうした90年代に一斉を風靡したJ-POPバンドサウンドの普遍性がこうしてアイドルシーンに根付いているのも興味深いところである。