NEO JAPONISM[ライブレポート]闘い続けて届けた明日への希望「みんながこれからも幸せでいられるように、私たちが寄り添っていたい」

NEO JAPONISM[ライブレポート]闘い続けて届けた明日への希望「みんながこれからも幸せでいられるように、私たちが寄り添っていたい」

NEO JAPONISM[ライブレポート]闘い続けて届けた明日への希望「みんながこれからも幸せでいられるように、私たちが寄り添っていたい」

NEO JAPONISMが、2022年2月19日(土)にSpotify O-EASTにて全国ツアー<威風闘々>ファイナル公演を開催した。

昨年8月よりスタートし、全国各地を巡ってきた今回のツアー。

ライブを重ねるごとに、急激な進化を遂げている5人が、この夜に魅せたものとは?

5人の青天井の可能性を大きく感じたステージ

“さぁ、やってきました、「GAN GAN HERO!!!!!」 とうとうやってきたぜ、ツアーファイナル!! 果たして、成功するのでしょうかぁ〜?”イントロに被せた滝沢のDJ風前振り。毎度のことながらそのまま歌い出しに入る切り替えが見事である。キャッチーさが大きな特色のNEO楽曲の中でも、絵に描いたようなキャッチーさが炸裂していく「GAN GAN HERO!!!!!」。コミカルな振り付けも見どころ満載で、間奏では朝倉がヒーローのごとく空を飛ぶ模写があるのだが……?

“さぁ、やってきました、あいちゃんチャレンジ! 今CoCo壱の納豆カレーにハマっているあいちゃんさんですが、最近ベッドの配置を変えて悪夢をたくさん見るようになったそうです。それでは今回もテーブルクロス引きに挑戦していただきたいと思います! お気持ちは?”

“3度目の正直ということで絶対成功させます!”

間奏のギターソロが鳴り響く中、ファンには嬉しい(?)小ネタ近況報告を挟み込みながら上手側サブステージに移動した滝沢と朝倉。何やらペットボトルが置かれたテーブルが用意されている。そう、本ツアーの1コーナーとして、朝倉あいチャレンジ企画、「テーブルクロス引き」が同曲の間奏時に行なわれていた。成績は2戦2敗……。本人の言葉通り、3度目の正直、ツアーファイナルの今回は何がなんでも成功させたいところ。見守るメンバーと、思わぬ展開にいまいち状況が理解できていないオーディエンスもいるであろう中、華麗なテーブルクロス捌きで成功を収めた。飛び跳ねて歓喜する朝倉。滝沢とともにそのまま意気揚々とメインステージに凱旋する。そんなコミカルな1コーナーを行なう余裕を見せているのだが、同曲はキーも高く、メロディは聴きやすいながらも歌うのは難しい曲だ。5人のとんでもないスキルの高さを感じる場面でもあった。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

突き上がる拳と力強いクラップで始まったアッパーチューン「Buster Buster」。歌い出し前にキメるハイキック、抗争を描くMVさながらの戦闘能力の高いステージングを魅せ、瀬戸が狂犬のようにシャウトする。このシャウトはライブを重ねるごとにグロウル、デスボイス具合いが加速。可愛い歌声というイメージが強く、フックのパートを担当することの多かった彼女だが、今ではすっかり野太いボーカルとしてメインパートを担うことも増えており、その存在を大きくしている。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

サブステージで「rewind the story」を披露すると、ダンスビートがカオスな様相を煽っていきメインステージにダンサーが現れた。ダンサー8人に対峙する5人。まるで和製『ウエスト・サイド・ストーリー』さながらの対決ミュージカル構図から、両陣営が融合していく。重厚な中低音ブラスが鳴り響くと「TRAUMA」へと流れていった。“NEOはものすごく歌うグループなんですけど、どこのアイドルよりも踊っているグループ”とは朝倉の言葉だが、それを魅せつける怒涛のダンスセクションに突入する。

NEO楽曲のコレオグラフィは辰巳が担当している。幼少よりダンスやアクロバットを学んできた彼女が作るコレオは通常のアイドルとは一線を画す。声が出せないライブに合わせて、“サビはみんなが真似できる振り”をモットーとしているが、NEO楽曲の大きな特徴でもあるキメやブレイクを駆使した間奏などに用いる複雑なフォーメーションは、NEO JAPONISMがダンスグループであることを証明するに相応しい大きな見せ場である。そして今回のツアーでは、各公演それぞれ異なるセトリと趣向を用いており、そこに沿った曲を繋ぐ特別なSEが用意されている。5人はSEに合わせた華麗な動きで曲と曲を繋いでいく。メンバーである辰巳がコレオグラフィを担当しているからこそ成せる業であり、大きな武器である。まさに“どこのアイドルよりも踊っているNEO JAPONISM”、ここにあり。

「TRAUMA」の流星のように流れるシーケンスにグリッジノイズが混じり、ダブステップ風のリズムに変わっていくと5人の動きも俊敏になる。そのまま「Subliminal」へ。ダークなメロディと伸び縮みするリズム、5人の驚くほどの声量と熱が込められた熱量が獰猛に襲いかかってくる。福田によるカウントダウン、《今この瞬間も ほら countdown 3-2-1-0!!》。ディープなリバーヴからノンリバーヴに変わる瞬間、時が止まった。

電子音が飛び交うとそのまま「Signal」へと突入。サビで仰ぐ両手、フロアからも多くの両手が挙がる。天井を突き破るようなハイトーンに、彼女たちの青天井の可能性を大きく感じた。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

仰いだ両手は美しい揺らぎへと変わっていく。5人が天を見上げるように静止してから流れ出すイントロに息を呑む。和情緒と儚さが行き交う「ゆるゆらオヤシロガール」。そして朝倉の1人ステージで始まる「WORLD PARADE」。晴れやかな表情を見せる彼女がしなやかな動きを見せて歌い出す。そんな彼女とメンバーが手と手を取り合って、大きな輪を創っていく。同曲はこのツアーを通して、朝倉のテーマソングになったと言っていいだろう。NEO JAPONISMは5人誰しもが主役になれる強烈な個性を持っている。滝沢の他者を圧倒するモンスター級の存在感、福田の強靭な戦士魂、辰巳のグループを司り悠然と構える女帝オーラ、瀬戸の何を仕出かすか予想のつかない狂犬っぷり……そして朝倉はその4人の間を自在に行き来する柔軟性を兼ね備えている。時にライブでヒートアップしすぎたグループの熱を冷ますような、前のめりになりすぎたグルーヴをそっと引き戻す役割を担っているように感じる。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

滝沢がマイクをゆっくり構える。すぅーっと深いブレスをすると会場の空気を一気に支配した。そしてそっと歌い始める。伴奏も、カウントもない、完全独りのアカペラ状態で始まった「Spica」。この始まりは本ツアー大阪公演で初披露され、場の空気を変えたことはファンの間でも話題となっていた。その模様はYouTubeにもアップされている。しかし、それを優に超えた歌声を聴かせてくれた。“唯一無二のボーカリスト”、ありきたりの使い古された言葉かもしれないが、滝沢ひなのを表すのにぴったりの称号だ。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

“自分なんかが書いた歌詞が世に出て、批判とかダサいとか言われたりしたら怖いなと思って、1回は諦めかけたんですけど、自分が行きたいところってもっと先だなと考えたんですよ。その時にめっちゃ怖いけど、挑戦せんと何も変わらなんなと思って……”

そう語って初披露された滝沢作詞作曲「すすめ」。この楽曲が生まれた経緯であるプロデューサー加藤とのLINEのやりとりを再現した映像と、初めて人前で披露する慣れないギター弾き語りが、滝沢の人柄をそのまま表しているようで、《すすめ》《かませ》と連呼するその詞がより深くリアルに届いた。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

バンドマンの両親を持ち、母親のお腹にいる時からロックを聴いてきた彼女。それなのになぜアイドルになったのか。以前、その疑問に答えてくれたことがある。“バンドには、自分みたいなやつはいるじゃないですか。でもアイドルだったら「浮く」。とにかく唯一無二になりたかった”と。ハスキーで野太い声も、マイクを持ったシルエットも、煽りも佇まいも、そして、飾り気のない言葉を吐き出すこの詞と曲も……そのすべてが滝沢ひなのというアイドル、ボーカリスト、そのものである。誰にも真似ることのできない唯一無二の存在だ。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:秋和杏佳
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:秋和杏佳

“朝が来るのが怖かったりする人の背中を押せる曲になれば”という、滝沢の書いた明日への想いは、理想を信じながら希望で昇華するように「Set Off」へなだれ込んだ。力強い歌詞がスクリーンに映し出されながら、5人は力強い歌声を明日へ向かって轟かせた。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:秋和杏佳
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:秋和杏佳

“次で最後の曲です。ツアーで出会ってくれたたくさんのみなさんに向けて、私たちの明日に向けて、みんなで1つになりましょう”

瀬戸の言葉で最後に贈られたのは「Sky」。肩を組みながら歌う5人を讃えるように、フロアから大きな手拍子と静寂のシンガロングが会場に響き渡った。正真正銘、皆が1つになった瞬間であった。空を指さして静止する最後の場面、満足げな笑みを浮かべた滝沢の表情がライブの充実感を表していた。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

こうして、ノンストップ18曲、怒涛の本編が終了した。

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