NEO JAPONISM[ライブレポート]闘い続けて届けた明日への希望「みんながこれからも幸せでいられるように、私たちが寄り添っていたい」

NEO JAPONISM[ライブレポート]闘い続けて届けた明日への希望「みんながこれからも幸せでいられるように、私たちが寄り添っていたい」

NEO JAPONISM[ライブレポート]闘い続けて届けた明日への希望「みんながこれからも幸せでいられるように、私たちが寄り添っていたい」

NEO JAPONISMが、2022年2月19日(土)にSpotify O-EASTにて全国ツアー<威風闘々>ファイナル公演を開催した。

昨年8月よりスタートし、全国各地を巡ってきた今回のツアー。

ライブを重ねるごとに、急激な進化を遂げている5人が、この夜に魅せたものとは?

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)

《すすめ すすめ すすめ どうせ明日が来るから》

滝沢ひなのがどこか慣れない手つきを見せながらアコースティックギターで弾き語る。“歌詞を書いてみないか”との、プロデューサー加藤颯の提案から始まったこの歌は、滝沢らしい飾り気のないそのままの言葉が、パンクロックと日本語ロックを愛する、これまた彼女らしいメロディに乗っている。弾き語りから一気にバンドサウンドに突入する展開へ。滝沢が綴った素のままの言葉を歌うメンバーの表情は嬉しそうで誇らしげで、頼もしく見えた。

どこをどう聴いても滝沢ひなのにしか書けない歌であり、音楽的に見ればNEO JAPONISMらしくはないが、NEO JAPONISMにしか歌えないこの「すすめ」は、グループ初の全国流通リリースされることが決定している。

2月19日、渋谷Spotify O-EASTで行なわれたNEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>ツアーファイナルは、“闘う”を標榜してきた彼女たちの生き様を表した、すさまじい気迫ととてつもない熱気に満ちたライブだった。

O-EASTは2019年11月に活動開始した彼女たちが、東京公演のお披露目として12月に立った場所である。あの時はイベントという形だったが、あれから2年2ヵ月経った今はNEO JAPONISMを観たい人だけでフロアは埋め尽くされている。言わずもがな、ソールドアウトだ。

演出は驚きの連続だった。ステージ後方には巨大なスクリーンが構え、ステージ前方にはLED電飾スクリーンボードが幕代わりとなり上下に可動する。両スクリーンを使ったフューチャリスティックなVJとおびただしい数の閃光が織りなすインスタレーション。そしてNEO JAPONISMのダンサブルな側面を支える8人のダンサー。O-EASTでここまでのことができるのか、というのが正直な感想である。

その演出はライブ本編のみならず、会場に入る前からすでに来場者の度肝を抜いていた。会場前を行き来する通行人からも注目を引いていた由緒ある神社を彷彿とさせる門構え。そこをくぐり抜け、狛犬と灯籠を横目に階段を上がり、入場を済ませると無数ののぼりと鳥居に囲まれたシンボルマークの神社が待ち構えていた。昨年春の恵比寿LIQUIDROOMワンマンライブ<LOVE&FIGHT>ではスチームパンク風のステージを作り、夏の主催イベント<NEO KASSEN>では今はなき新木場USEN STUDIO COASTにてギミックの多い複数ステージで多くのグループを迎えた。大手事務所やレーベルにも所属していないインディペンデントのアイドルグループとは思えない、NEO JAPONISMの世界感の作り込みとこだわりには毎回驚かされっぱなしである。

それはコロナ禍において、どこよりも早く配信ライブに取り組み、フェイスシールド付きチケットの有観客ライブ、鳴り物持ち込みライブ、そして鎌倉能舞台でのライブなど、ほかとは違う奇抜な施策を提供し続けてきたNEO JAPONISMだからこそ行き着いたものだ。いい曲といいライブをすれば自ずと人気が出ると過信してしまいがちな中で、固定観念にとらわれず、アイドルという総合エンタテインメントを存分に活用してきたNEO JAPONISMの比類なき強さでもある。

無論、単に贅を尽くした演出をしていたわけではない。それに相応しいステージを5人は見せてくれた。いや、今のNEO JAPONISMに見合った演出がこれだったのだ。

ステージ前方を覆っているLEDボードに映し出された、5分前を告げるカウントダウンが緊張感を煽ってくる。数字がゼロになるとお馴染みのロボットボイスによる注意喚起「NEO START」が響く。LEDボードには心電図モニターが映し出される。心音が止まると“HINANO”“MIYU”“SAYAKA”“AI”“MIRUKA”、そして“FREE YOUR MIND”と表示された。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:秋和杏佳
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:秋和杏佳

荘厳なSEが鳴り響く中、ステージを覆ったLEDボード越しに悠然と構えた5人のシルエットが浮かび上がる。雅やかなイントロとともにボードが上がると無数の光が降り注ぎ、辰巳さやかのたおやかな歌声が響いた。「TOMOSHIBI」で宴は幕を開けた。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

“NEO JAPONISM=新和様式”に相応しい新感覚の極東EDM。地鳴りのような重低音エレクトロと9弦ギターの嘶きの狂騒、煌びやかさを散りばめた和の協奏を纏いながら優雅に歌い舞う5人。ステージ後方の巨大なスクリーンに光、炎、火華、煙……次々と映し出されていく。滝沢が詞(ことば)をつんざくように発すれば、1つひとつの詞を旋律に丁寧に置いていく瀬戸みるか。ドロップで5人に合わせフロアから無数に挙がった手がゆらりと揺れる。観客全員に配布されたブレスレットが赤く光りながら揺れ動く。その光景を見渡しながら、朝倉あいが軽やかにしなやかに舞い、福田みゆの艶やかなフェイクが天を衝く。1曲目から堂々とした5人の佇まいに圧倒された。

“いくぞファイナルー!!”

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:真島洸

滝沢が叫ぶと「Fight For The Right」のデジタルビートが耳をつんざく。突き上がった拳を合図に、忍びの者“くのいち”を彷彿とさせるダンサーがステージに現れた。思わぬ展開にたじろぐオーディエンスを圧倒していくように滝沢が吠え、辰巳がフロアの士気を鼓舞して掌握していく。ヒートアップする会場のボルテージを受け、福田が台に上がってキメサビを突き刺すように歌い上げると、早くもNEO JAPONISM最強の陣形が完成する。ダンサーを従えているぶん、いつもより何倍もの強度を放っている。

NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:秋和杏佳
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NEO JAPONISM全国ツアー<威風闘々>Spotify O-EAST(2022年2月19日)/撮影:秋和杏佳

以前、同曲のこの勇猛な立ち絵を含めたパートを指して、福田を“女戦士”と表現したことを思い出す。そんな彼女がのちに『仮面ライダー』変身時のシステムボイスを担当したのだ。屈託のない笑顔で踊る姿も印象的な彼女だが、ライブアイドル最強を誇る福田みゆの“がなり、しゃくり、こぶし”は他の追随を許さない。

けたたましく連打されるビートにシュレッドギターが猛り狂う「NO FIGHT, NO DREAM」。NEO JAPONISMのコンセプトであり、アイデンティティでもある“闘う”が刻み込まれたメタルナンバー。ちょうど1ヵ月前、本来であればツアー沖縄公演で披露される予定だった楽曲である。しかしながら新型コロナ感染拡大により悔しくも公演自体が中止。代替えイベントで初披露となったものの、今度はグループがその日よりライブ活動自粛という事態になってしまった。しかし、結果的にこの1ヵ月の自粛期間は、このツアーファイナルへの情念を滾らせるに充分な期間となった。5人の本公演に懸ける想いが尋常ではないことはオープニングから明らかであったが、それはオーディエンスも同様で、ステージとフロア双方からの飢餓感と期待感が交錯しながら、激しいメタリックなサウンドの中で爆発していく。

朝倉がステージ中央に躍り出て髪の毛の先まで操るように旋回する「BLACK and WHITE」、退廃的なメロディと焦燥感を誘う詞が胸を抉る「LOSER」。マイナーメロディの妖艶さを醸すロックナンバーから、燦々と輝くイントロにフロアが湧き上がった王道アイドルポップス「ワールドエンドスターリーナイト」へ。この振り幅もNEO JAPONISMの魅力だ。

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