NEO JAPONISM サウンドP・Saya[インタビュー後編]V系ギタリストからアイドルクリエイターへの転身「J-POPの魂を忘れない洋楽化! そこが大事」

NEO JAPONISM サウンドP・Saya[インタビュー後編]V系ギタリストからアイドルクリエイターへの転身「J-POPの魂を忘れない洋楽化! そこが大事」

NEO JAPONISM サウンドP・Saya[インタビュー後編]V系ギタリストからアイドルクリエイターへの転身「J-POPの魂を忘れない洋楽化! そこが大事」『偶像音楽 シン黒子列伝』第1回後編

新連載『偶像音楽 シン黒子列伝』第1回・Sayaの後編。今回は、音楽的ルーツ〜ヴィジュアル系バンドマン時代の話を皮切りに、彼が設立した音楽制作チーム『A-Spells』、曲作り&サウンドデザインでのこだわりなどについて、じっくり語ってもらった。

音楽やるなら、やっぱカッコよくないと

ーーSayaさんがもうひとつサウンドプロデュースを手掛けるグループ、パピプペポは難しいは、NEOやSOLとは異なるエレクトロポップですが、プロデュースのやり方を意識的に変えたりしていますか?

Saya:
パピムズは加藤颯じゃないところでやってみたい、というところから始まりました。俺は“こういうロックしかやらない”というタイプではないので。曲が全然違うのは、プロデューサーが違うのがデカい(パピムズのプロデューサーは、メンバーのカワシマユカ)。俺としては、やってることの芯は同じだから。NEOでもパピムズでも、同じJ-POPだと思ってるし。ただ、モチーフがBring Me The Horizonか、スティーヴ・アオキかくらいの違いですよ。

パピプペポは難しい「決まりごと」
作曲:Saya
作詞:Yuka Kawashima

ーー確かに、キャッチーなメロだったり本質的な部分は一緒ですね。そして、キャッチー性で最も重要視される“歌”ですが、ボーカルディレクションのこだわりはありますか?

Saya:
そこもやっぱり突き詰めるとキャッチーさ。(朝倉)あいちゃんファンに、新しいあいちゃんの一面を見せたい、みたいなディレクションはしない。それより、ライブハウスの1番後ろにいるヤツが見た時に“お!”と思うか。(福田)みゆがめっちゃクセ強くて、めっちゃがなってると“何、あの人?”ってなると思うから。その掴みが大事。あいちゃんが1人で歌う曲だったらだいぶ違うディレクションになると思うんですけど、アイドルは複数歌う人がいて、順番にまわってくるわけだから“打順がまわってきた時に最強のお前が出せればいい”って。全部この歌い方だとしんどいけど、歌割りが切り替わるからこそのディレクション。だから、歌割りは颯くんとこだわって決めるんですけど、大体変わるんですよ。結局全員、全部録る。“みゆ、1サビ歌ってるから2サビも歌ってみよう、挑戦だ!”みたいな。でも採用されたのは(辰巳)さやか、ってなったりするからレコーディングは大変ですね。

ーー曲作りの段階で歌割りを想定することはない?

Saya:
“ここはひな(滝沢ひなの)か、みゆじゃなきゃ歌えないかな”と思う時はあるけど、作ってる時に“ここは(瀬戸)みるかでいこう”ということは考えないです。“この5人のために作りました”みたいなことはしないようにしてる。ファンがどう思うかも考えたことないな。そういうことを考えるのは颯くんの役目だと思うから。だから、俺は颯くんのために作ってるんだと思います。

ーークリエイターとして正しいと思います。サウンド面などで重視していることはありますか?

Saya:
海外含めたトレンドはチェックしてます。日本は特殊じゃないですか。日本ではロックは普通に聴けるけど、向こうだとトラップばかりだし。あとは音はよい方がいい。日本人の聴き方はわかるんですよ、通勤通学中にヘッドフォンでしか聴けない。アメリカみたいにデカいスピーカーがある家なんてないから、意味はないかもしれない。音に頼っても仕方ないのはわかってるけど、音がいい方がカッコいいじゃないですか。音楽やるなら、やっぱカッコよくないと。

ーー確かにそこがすべてだと思います。でも、やっぱりライブの大音量で聴くと音のよさは歴然です。そこはPA云々以前にオケ、録り音を含めた制作している音自体のよさだと思うので。NEOやSOLの音が抜群にいいことは、ライブに来ているファンもわかっているはずです。

Saya:
そうだと思います。マイクとインターフェイスを直挿ししてる時から、ノイマンの87(※NEUMANN U87:高級コンデンサーマイク)使ってたから。今は選択肢も増えたし、抜群にいい音で録り音もアウトプットも制作できてますね。

ーー音がよくて、キャッチーでカッコいい。それがSayaさんのクリエイターとしての信条ですね。

Saya:
お母さんやお父さんが、Metallicaは口ずさめなくても、「紅」(X JAPAN)は口ずさめると思うんです。そういうことなんですよ。そこが大事。J-POPの魂を忘れない洋楽化! それですね。

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