NEO JAPONISM サウンドP・Saya[インタビュー後編]V系ギタリストからアイドルクリエイターへの転身「J-POPの魂を忘れない洋楽化! そこが大事」
NEO JAPONISM サウンドP・Saya[インタビュー後編]V系ギタリストからアイドルクリエイターへの転身「J-POPの魂を忘れない洋楽化! そこが大事」『偶像音楽 シン黒子列伝』第1回後編
新連載『偶像音楽 シン黒子列伝』第1回・Sayaの後編。今回は、音楽的ルーツ〜ヴィジュアル系バンドマン時代の話を皮切りに、彼が設立した音楽制作チーム『A-Spells』、曲作り&サウンドデザインでのこだわりなどについて、じっくり語ってもらった。
アイドルソングを作るのに、歌じゃなくてオケを優先している
ーーそうやって、Sayaさんを中心とした制作チーム『A-Spells』が出来上がっていったわけですね。今、メンバーは何人いるのですか。
Saya:
正式メンバーは俺入れて8人ですね。syosyosyosyosyo、宮西ソウマ、山本紗江、54ROCK、はとぽっぽ、嶋村ひかり、Chemical PEANUTS、という面々です。
ーーせっかくなのでお1人ずつ、紹介してもらっていいですか?
Saya:
syosyosyosyosyoはバンド出身で、作詞作曲できるタイプで、俺が持ってないエモさを持ってる。人としてちゃんとしているので社会人っぽい仕事のやり方ができます(笑)。俺は過集中でガーッとやるタイプだし、社会不適合要素が強いので羨ましいです(笑)。
宮西ソウマもバンド出身で、まだお互いバンドやってる時に知り合った。めちゃくちゃクラブミュージックに詳しくて、シンセのスキルがすごい。ミックス、マスタリングもやってます。作る音像のセンスが最高によい。歳下でここまでスキルある人はなかなかいないので、すごく尊敬してます。作家やってますけど、実態はトラックメーカーなんですよね。早くそっちでも活躍してほしい(笑)。
山本紗江はsyosyosyosyosyoから紹介してもらったシンガーソングライターで、俺のアシスタントから始まってるんですけど、最近いろいろ活躍するようになってきました。女性のボーカリストがいると心強い。レコーディングのオペやディレクションもできるので、現場では俺より働いてる。作詞で他所の仕事も受けるようになってきたので、どんどん実績積んでいってほしいですね。
54ROCKはギタリストで、作家業だけじゃなくプレーヤーとしての仕事もめちゃくちゃやってる。ギターもベースもものすごくウマい。「バタチキ伝説」のギターソロとかは彼です。俺ができないピロピロしたギターを弾けるので頼りにしています。あと、なんと加藤颯くんと昔から知り合いで、俺より先に一緒に仕事してた経歴があります(笑)。
嶋村ひかりはドラマーです。高校生の時からの友達で、abstractsってバンドやってました。すとぷりのサポートやったり、10代くらいから俺らの中じゃ、いち早くサポートやスタジオミュージシャン的な仕事を始めてました。フレーズのセンスがめちゃくちゃよい。NEOのドラムアレンジは安心して任せてます。
はとぽっぽとChemical PEANUTSは、俺みたいに総合プロデュースできる実力者なんですけど、まだ謎のままにしておこうと思ってるんで、いつか紹介しますね(笑)。この2人はだいぶ頼りにしてます。
あと、1番忘れちゃいけないのはHatchこと、Hayato Yamamoto(山本隼人)。ほかに所属しているから正式メンバーとして名前は挙げてはいけないんですけど(笑)。まあ、そんなのはいいんですよ、魂は繋がってるし、誰よりも家族だと思ってます。NEOのサウンドは彼がいなきゃ構築できないですね。あと俺個人としても彼がいないとここまで音楽レベルは上がってないだろうな、と思ってます。
ーーそれぞれ得意分野を持った方々ですね。『A-Spells』がチーム化したのはいつですか?
Saya:
『NON-CALL NOW』(2020年4月リリース)ですね。あそこで作り方が完全に変わった。“この納期でこのクオリティでこの楽曲数を出せると思ってるの!?”って。でも、断るんじゃなくて“出すしかない!”と思ったから、“みんなごめん! 制作費も最悪俺が持つから!”って、できたのがあれです。だからめっちゃ作曲者を羅列してるじゃないですか。マジでつらかった……。
NEO JAPONISM『NON-CALL NOW』
ーーあの作品は緊急事態宣言が出されてライブができなくなった状況下で、加藤さんが急遽“音源出します”と、発表から2週間くらいで制作からリリースを迎えたんですよね。
Saya:
そうそう、めっちゃヤバかった。みんなで作って。でもそんな中でも「sky」は“俺の曲だな”っていう自負がある。
NEO JAPONISM「sky」(2020年)
作詞作曲:Saya
ーーライブのラストを飾るに相応しい名曲。でも、そういうNEOの機動力の高さにはいつも感心させられます。2021年は1枚のアルバムと7枚のシングルをリリース。これはレーベルに所属してないからこその強みだと思いますし、メンバーが“今日レコーディングでした!”とツイートして、次の週にはリリース、みたいなこともよく見かけます……。
Saya:
昨年後半は月イチでリリースしてましたからね。いやぁ、レーベルだったらこの納期は絶対無理でしょ(笑)。
ーーかつ、リリースのたびに楽曲のレベルがめちゃくちゃ上がってますよね。キーもどんどん高くなってるし。
Saya:
上がってると思う。無理矢理レベルの高いものを歌わせたいわけじゃないけど、NEOのチューニングが重い感じと加藤颯が好きな超弩キャッチーな感じを合わせると、ああなるんですよ。「Spica」なんて、チューニングが超低いのにキーはめっちゃ高くて、メロディアスで超キャッチー。でも、それを歌えるメンバーがいるから、容赦なく高くできるしメロディアスにできる。そこは信用してますね。“歌うの大変だと思うけど、これが売れる曲だから、いいメロディだから”って。
NEO JAPONISM「Spica」(2020年)
作詞:Saya, Hayato Yamamoto
作曲:Saya
ーー「Signal」は加藤さんが“このキー出るかどうかわからないから、一応半音下のバージョンも用意していた”というツイートをしていて……。
Signalの裏話💭
— Saki Kato (@SakiKatoh) July 24, 2021
このキー出るんか?となり、実は半音下げたものも用意してたのですが、メンバーには一旦送らず、出なかったら半音下げる感じでいきましょうか!
ってボイトレしてレコーディングしたら、そのままのキーでいけちゃったってやつです。
(メンバーにもまだ言ってない)#頑張れ子供たち https://t.co/aVF4k6Q4Xq
Saya:
あれはベースの音域で絶対に譲れない場所があって。半音下げると潰れちゃうんですよ。結果、原キーで歌えたからよかったな。でもすごいですよね、アイドルソングを作るのに、歌じゃなくてオケを優先しているっていう、あははは(笑)。
NEO JAPONISM「Signal」(2021年)
作詞:syosyosyosyosyo, Hayato Yamamoto
作曲:Sohma Miyanishi, Saya
ーーそんなアイドルクリエイター、見たことないです(笑)。
Saya:
ですよね(笑)。チューニングとかも計算して曲作ってるんで。自分らは角度を高く見て作ってると思います。
ーーそして、昨年2021年夏に音楽制作会社『株式会社プレイクス(PLAYX inc.)』を設立。
Saya:
そこはタイミングですね。SCRAMBLESにいながら会社立てるのもどうかと思ったし。もうネクストステージ行くしかないと思って、立てたところはあります。俺もまだ経営者としてはレベル1なのでいろいろ勉強中です。ちなみに“PLAYX(プレイクス)”という名前は造語なんですけど、颯くんに考えてもらったんですよ。
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