NEO JAPONISM サウンドP・Saya[インタビュー後編]V系ギタリストからアイドルクリエイターへの転身「J-POPの魂を忘れない洋楽化! そこが大事」
NEO JAPONISM サウンドP・Saya[インタビュー後編]V系ギタリストからアイドルクリエイターへの転身「J-POPの魂を忘れない洋楽化! そこが大事」『偶像音楽 シン黒子列伝』第1回後編
新連載『偶像音楽 シン黒子列伝』第1回・Sayaの後編。今回は、音楽的ルーツ〜ヴィジュアル系バンドマン時代の話を皮切りに、彼が設立した音楽制作チーム『A-Spells』、曲作り&サウンドデザインでのこだわりなどについて、じっくり語ってもらった。
ひと口にコライトといってもいろいろある
ーーNEOを始めた頃と現在のNEOで、制作のやり方は変わりました?
Saya:
最初は予算がないから全部俺が作るしかなかった。NEOの前体制で最初に出した『NEO GLAMOROUS』(2018年6月リリース)は1曲だけHatchくんで、あとは全部俺。今は俺についてきてくれるチーム含め、コーディネートできるくらい予算も増えた。(宮西)ソウマはシンセがめちゃくちゃ強いから、“「Fight For The Right」の間奏はお前だし、「Call my name」の間奏もお前に任せる”。syosyosyosyosyo(ショーゴ)は誰よりもSOLを愛してるから、“SOLのこういう曲は全部任せた!”っていう、いいとこ取りができるようになった。昔は松隈さんを超えるために、松隈さんをトレースしなきゃという時期があったんですけど、次第に “松隈さんはこうだけど、俺はこうした方がいいな”ってわかってきた。だからそういう感じでも変わっていきました。
NEO JAPONISM「Fight For The Right」(2020年)
作詞:syosyosyosyosyo, Saki Kato
作曲:Saya, syosyosyosyosyo, Sohma Miyanishi
SOL「ミライノツバサ」(2021年)
作詞&作曲:syosyosyosyosyo
ーーそういったチーム制作、コライトにおける分担って、Sayaさんの中である程度決まっているのですか?
Saya:
分担はそのときどきで違うんですよ。例えば「GAN GAN HERO!!!!!」は俺のデモが通って、フル尺にする段階でHatchくんと共有したから、DメロだけHatchくんという不思議なコライトになった。コライトって、トラックとメロを別、っていう横軸が多いと思うけど、こういう“Dメロだけ”という縦軸のコライト、みたいなこともけっこうあります。
ーー「GAN GAN HERO!!!!!」は、メロはものすごくキャッチーで聴きやすいけど、メロの音符の動き方もコードも複雑で、サウンド含めて聴けば聴くほど緻密に組み立てられていることがわかる、Sayaさんらしい曲ですね。
Saya:
あれを聴けば、俺がアニメやゲームからどれだけ影響受けたかわかるかと。コード進行はめちゃめちゃこだわってます。
NEO JAPONISM 「GAN GAN HERO!!!!!」(2021年)
作詞:Saya
作曲:Saya, Hayato Yamamoto
ーーコライトは欧米では主流の制作方法。日本では松隈さんがコライトをいち早く取り入れて、SCRAMBLESというチーム化をしましたが、そこはやっぱり影響あります?
Saya:
ありますよ。松隈さんを見て、コライトのいい部分と悪い部分がわかった。MFM(※MUSIC FOR MUSIC、山本隼人をはじめ、岡嶋かな多、MEGらが所属する音楽制作会社)もけっこうコライトをしてるんですけど、ひと口にコライトといってもいろいろですよね。だからコライトのやり方は場合によって変えてるかな。syosyosyosyosyoが曲を書いてきたけど、全然コンペ(※楽曲コンペ:リリース楽曲を決める選考オーディションのようなもの)に通らない。じゃあ、“ごめん、サビは全部消して俺が書くわ”って、コライトになって、通ったりとか。
次ページ
- 3