B.O.L.T、夜光性アミューズ、美味しい曖昧……2022年に注目したいアイドルグループ6選｜「偶像音楽 斯斯然然」第75回

ミソラドエジソン　ゴシックとメタルの妙味

ロックサウンドでも、こちらはまた一味違ったテイスト。メイド服を着たアイドルがシンフォニックなゴシック風メタルを歌うなんて、おっさんホイホイにもほどがある。『非現実世界へアナタと共に。』実験型劇場ミソラドエジソンは、2021年5月に現体制での活動を開始した関西のグループだ。

【MV】ミソラドエジソン「ラストディナー」

メロスピっぽい急展開な楽曲構成と高低差の大きいメロディは、MALICE MIZERからVersailles、摩天楼オペラあたりが好きなV-ROCKファンにも刺さりそうな楽曲の作り込み。80s’ジャパメタ風情、H.Mイニシャルのメタル姫を想起させる下園れいかの瀟洒なボーカルを筆頭に、歌える4人が揃っているところも強みだ。「ムーンライトシアター」の出だしからいきなり《またね来世でね》なんて、拗らせ具合いも最高でガッと胸を掴まれる。

【MV】ミソラドエジソン「ムーンライトシアター」

00年代後半に北出菜奈、HANGRY&ANGRY、GaGaalinG……といった、雑誌『KERA』系のゴシック＆ロリータファッションとロックを合わせたムーブメントがあった。かくゆう私もそのシーンにあれやこれや携わっていた人間なのだけれど、その系譜のアイドルは出てきそうで出てこなかった。ゴシックやメタルは、アイドルがやるにはマニアライクになり過ぎてもダメだし、可愛いに寄せると茶化しのように見えてしまうし、そもそも歌唱力がないとダメ、といった難しさがある。しかしながらこのミソラドエジソンは、世界観も楽曲のキャッチー性も実力もバランスがよく、アイドルらしさと本格的な音楽性の妙味がたまらないのである。

【LIVE】2021.11.27 1st ONEMAN TOUR FINAL「最後の晩餐」LIVE配信ダイジェスト映像