PassCode[ライブレポート]圧倒的パフォーマンスで大いなる頂での輝きを確信させたツアーファイナル公演

PassCode[ライブレポート]圧倒的パフォーマンスで大いなる頂での輝きを確信させたツアーファイナル公演

PassCode[ライブレポート]圧倒的パフォーマンスで大いなる頂での輝きを確信させたツアーファイナル公演

PassCodeが、12月16日(木)にZepp DiverCity(TOKYO)にて<PassCode “STRIVE” for BUDOKAN Tour 2021 FINAL>のファイナル公演を開催した。本記事では、オフィシャルレポートをお届けしよう。

取材&文 : 阿刀“DA”大志
撮影:Shingo Tamai

<PassCode “STRIVE” for BUDOKAN Tour 2021 FINAL>Zepp DiverCity(TOKYO)(2021年12月16日)

PassCodeにとって2021年はグループ史上最大の危機を迎えた年だった。メンバーの新型コロナウィルス感染に伴う度重なる公演延期、長年の体調不良の末に決断した今田夢菜のグループ勇退、Zeppツアー開始約3週間前に発表された新メンバー・有馬えみりの加入、そして多くのファンが不安視する中始まった大規模ツアーーー今年2月に<PassCode "STRIVE" for BUDOKAN Tour 2021>が始まった頃には誰もが想像しなかった出来事が続いた。しかし、彼女たちは強かった。周りの想像以上に強靭な精神を持ち、これまでとは別の形でグループをパワーアップさせるという信じられないことを成し遂げた。

12月16日にZepp Tokyoにて開催された<PassCode "STRIVE" for BUDOKAN Tour 2021>ファイナル公演はそんな彼女たちの総決算であり、来年2月に開催される日本武道館公演と、その先に待つ輝かしい未来への期待が膨らむ内容だった。

事務所の後輩・Kolokolが新規ファンをがっつり獲得する素晴らしいパフォーマンスでフロアを温めたあとに4人は登場。オープニングナンバー「SPARK IGNITION」から「ATLAS」「Stealth Haze」とこのツアー定番の流れで攻め立てる。“定番”と書いたものの、新メンバー有馬が<"STRIVE" for BUDOKAN Tour>に参加するのはこれが初めて。実は、本ツアーのセミファイナルにあたるのは、今田が勇退し、有馬が加入する前に3人編成で行なった8月の新潟公演だったのである。今年、PassCodeは3つの異なる編成でライブを行なっており、これがPassCodeというグループを以前にも増して強固な集合体にした。

そんな彼女たちだからこそ、とんでもないことを平気でする。この日、1年前にリリースしたアルバム『STRIVE』の収録曲で唯一パフォーマンスしていなかった「Majestic」を、このファイナルというタイミングで初披露したのである。今年、彼女たちは十分に戦った。己と戦った。不満の声、不安の声と戦った。だからこそ、このファイナル公演を迎えられただけでも素晴らしいと言いたい。しかし、PassCodeはステージを重ねるたびに自分たちを包み込むようになった温かな空気には甘えず、その時にできる最大限を見せ続けた。確かに大変な1年だった。しかし、ステージに立つ者としてのプライドが最も顕著に表れたのが“2021年”というPassCodeの大きな転換点となる年だったのである。

今や当たり前のようにグループに馴染んでいる有馬は、初舞台からまだたった3ヵ月。9月に行なわれたZepp Haneda公演を収めた映像作品『PassCode Zepp Tour 2021 at Zepp Haneda』が今月22日にリリースされるが、今の彼女はこの時ともまったく違う。ほぼ未経験だったダンスは驚くべきスピードで成長し、最も得意とするシャウトは彼女流のアレンジを加えるまでになっている。

ここぞという歌唱パートを任されることが多い大上は、序盤の「ATLAS」におけるパフォーマンス中にアクシデントでむせてしまったことで喉の調子を悪くしてしまった。しかし、その不調を引きずらずにしっかりメンタルをコントロールし、キメるべきところは決して外さず、プロフェッショナルらしい姿勢を見せた。さまざまな方法論を模索しながら、彼女は少しずつ心・技・体を極めようとしているのである。

メンタルと言えば、本当に安定した姿を見せ続けているのが高嶋楓。本人は現状にまったく満足していないようだが、歌、ダンス、独特なMCにおける安心感はグループが成長するに従ってかなり重要度が増している。以前はグループイチのアイドル性が多くのファンを惹きつけていたが、いまやそこに留まらない技術に注目が集まっている。

PassCodeのスポークスパーソンである南菜生も今年著しく成長した。かつては“煽り担当”、今はPassCodeの“エンジン”。グループを代表して言葉を紡ぐからこそ、それに見合ったパフォーマンスを見せなければならないという彼女のストイックなプロ魂は、しなやかなダンス、力強くもセクシーな歌声といった表現にことごとく変換されていった。

PassCodeは電子音と攻撃的なロックサウンドを融合したピコリーモと呼ばれるジャンルに強烈なシャウトを乗せることを武器にしてのし上がってきたグループで、そこを高く評価されることが多いが、それはこのグループを過小に評価することになるような気がしている。4人はサウンドプロデューサーから渡された曲を言われたとおりにパフォーマンスしているのではない。

自分はドキュメンタリーのカメラマンとして毎公演彼女たちに密着しているのだが、楽屋にいる時とステージにいる時の雰囲気が限りなくイコールになってきていることに最近気がついた。人前に出るからスイッチを入れるのではなく、普段の生き様がそのまま歌、ダンス、言葉に反映されている。それはこの日も同じ。つまり、PassCodeには嘘がない。多くの人が彼女たちについていきたいと思うのは、日本武道館公演を見届けたいと思うのは、そういうことが感覚としてフロアに伝わっているからなんだと思う。

日本武道館はPassCodeにとって大きな節目になると多くの人が考えている。もちろん、4人も大事な場所、大事な公演だということはわかっている。しかし、そこに対する気負いはいい意味でまったく感じさせない。パフォーマンスする場所や目の前にいる人の数に臆することなく、ただいいパフォーマンスを見せることにフォーカスしている。だから浮足立っていない。正直、アスリートみたいだと思う。それぐらい2021年という年はPassCodeをあらゆる面で前進させた。しかも、過去を捨てるのではなく、今田夢菜をはじめ、PassCodeに関わってきた1人ひとりの想いをすべて九段下へ連れて行こうとしている。

この日はツアーファイナルということで、特別にアンコールで2曲を披露した。有馬加入後初披露となる「Tonight」と、彼女の初ステージとなった9月の仙台公演で不安げな観客を一発でぶっ飛ばした「Taking you out」だった。アンコール前、ちょうど3年前の2018年に開催された<PassCode Taking you out TONIGHT! Tour 2018>のオープニングSEが鳴り響き、当時と同じように「Tonight」が始まるのだった。有馬のシャウトを中心に爆走する「Taking you out」でライブのエンディングを迎えるのはこれが初めて。感動的に締めるのではなく、まだまだ続きを感じさせる終わり方だった。2021年はもうすぐ終わるが、PassCodeの1年はこれから始まる。来年1月から2月にかけてファンクラブ会員限定のライブを3本行なったのち、4人はついにグループ史上最も大きな頂に挑むのだ。

なお、12月22日(水)には、新体制初となる最新作ライブ映像『PassCode Zepp Tour 2021 at Zepp Haneda』を発売する。PassCodeオフィシャルYouTubeチャンネルでは、「Future’s near by」をはじめ、「Freely」や「Taking you out」のライブ映像を公開。ぜひチェックしてみてほしい。

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