ばってん少女隊とアメフラっシ このご時世だからこその“チルい”可能性|「偶像音楽 斯斯然然」第72回

ばってん少女隊とアメフラっシ このご時世だからこその“チルい”可能性|「偶像音楽 斯斯然然」第72回

ばってん少女隊とアメフラっシ このご時世だからこその“チルい”可能性|「偶像音楽 斯斯然然」第72回

昨今、注目度を高めている“チルい”音楽。今回は、独創的な“チルい”楽曲を聴かせていたばってん少女隊、そして同じくスターダスト所属で、新規軸の楽曲によってグループのカラーをより鮮明にしたアメフラっシをピックアップ。2組の音楽性を掘り下げながら、現在のアイドルシーンの中での“チルい”音楽の現在地と可能性を、冬将軍が独自の視点で紐解く。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

ちょっと前TikTok界隈発祥で“偏見”というものが流行っていたが、それ偏見じゃなくてただのイメージじゃねえか!と声を大にして言いたい。

それと同列に並べるのも少々違う話だけど、たとえば“エモい”という表現。これはおじさんの時代は音楽ジャンル“Emo(イーモウ)”から来た“エモーショナルな”という意味合いで、パワフルに歌い上げるようなアツい曲に使っていたわけだけど、最近の若者の間ではバラード曲などを指すことの方が多い。情緒が突き動かされるという広義の意味合いでは同じなのかもしれないが、何とも言えない気分である。

とまぁ、言葉の使い方の揺らぎが気になる昨今だが、今年の「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2021』」大賞は“チルい”だそうだ。“まったり、ゆったり”の意味として使われるようだが、当然もともとは音楽用語の“chill out”から来ている言葉である。“chill out”といえば、イギリスのハウスユニット、The KLFのアルバム『Chill Out』が語源とされ、熱くなったダンスフロアを冷ますため、つかの間の休息的なダウンテンポ、アンビエント的な音楽を指すものである。しかし、昨今の若者が使う“チルい曲”は少々異なるようだ。実際私もアイドルのインタビューで“チルい音楽が好きなんですよ〜”という言葉に何度か遭遇したのだが、それはどんな音楽かと問えば、米津玄師だったり、今流行りの打ち込み早口ラブソングだったり、はたまた古いポップス、ゆずやチャゲ&飛鳥だったりする。単にテンポがゆっくりであり、バラードほど壮大さがないものや、トラック自体がおとなしいもの、そしてアコースティックなどフォーク的な素朴なものが“チルい”音楽だそうだ。うーん……。

アイドルポップスといえば、煌びやかさや派手さが好まれる風潮もあり、音楽ジャンルは多岐にわたるといえど、良くも悪くもひと昔前の音圧至上主義、ポップにしてもロックにしても、音数が多くて音量がデカくて音圧があって、奇抜なものがウケやすいという風潮は否定できない。

そうしたシーンで、Chill Out的存在としてフッと現れたのが、ばってん少女隊、2020年10月リリースのアルバム『ふぁん』からのリードトラック「OiSa」である。

次ページ

  • 1
  • トップページ
  • 連載
  • ばってん少女隊とアメフラっシ このご時世だからこその“チルい”可能性|「偶像音楽 斯斯然然」第72回