怪物音響オクタゴンはアイドルシーンに何をもたらしたのか　＜ギュウ農フェス＞が教えてくれたこと｜「偶像音楽 斯斯然然」第70回

ありがとうギュウ農フェス、ありがとうオクタゴン

この日、転換中にギュウ農フェスに所縁の深いグループの楽曲が流れていたが、GANG PARADE「Plastic 2 Mercy」でフロアからコール代わりの手拍子が巻き起こったのも印象的だった。GANG PARADEはギュウ農フェス史に爪痕を残してきたグループの1つである。

ギュウ農フェスは、BiSをきっかけに女性アイドルにハマったギュウゾウが始めたアイドルフェス、ということでメインストリームのアイドルフェスとは一線を画す特異な存在だった。BiSH、BELLRING少女ハート、PassCode……、インディーロックファンに支持されるようなアイドルを軸に、“ライブアイドル”と呼ばれるシーンを盛り上げてきた。こんなにもたくさんの素晴らしいアイドルがいるんだということを教えてくれた。

オクタゴンの使用に至ったのも、見かけの華やかさより、音楽としてのアイドルの面白さを追求したからこそのものであろう。

来年1月のCOAST閉館以降、オクタゴンがどうなるのかはわからない。そして、今後のギュウ農フェスはどこへ向かっていくのか。同フェスから誕生した映画『IDOL NEVER DiES』も来年公開予定である。アイドルシーンの中で、独自の発展を遂げてきたギュウ農フェスの今後が、音楽ファンとして、なによりも、いちアイドルヲタクとして楽しみで仕方ない。