ZONEからSCANDAL、Buono!にサイサイ……世界が羨む日本のアイドルとガールズバンドの共鳴｜「偶像音楽 斯斯然然」第69回

ガールズバンドクロニクル

以前、TBSのテレビ番組『マツコの知らない世界』で“ガールズバンド特集”をやっていた。そこでは90年代末のモーニング娘。のブレイク、アイドルブームの延長線上として、WhiteberryやZONEが挙げられていた。

Whiteberry「夏祭り」（2000年）

1999年にJUDY AND MARYの恩田快人プロデュースでデビューしたWhiteberryは、翌年2000年に浴衣の裾をまくりミニスカ風姿で歌う、JITTERIN'JINN「夏祭り」のカバーで大きく注目を浴び、2001年にデビューしたZONEはバンドとアイドルを掛け合わせた“バンドル（BANDOL）”を掲げてシーンに登場している。もともとダンスグループとして結成されたZONEは、楽器は持っているが実際に演奏はしない、いわゆる“当て振り”を主体としたグループだった。両グループともにいわば、音楽性や演奏力以外の面で注目されたことが大きい。

ZONE「secret base ～君がくれたもの～」（2001年）

それまでの女性バンドといえば、アイドル視されることに抵抗しながら活動してきた。現に、SHOW-YAにしてもプリプリにしても、事務所やレコード会社による“アイドル的な売り方”に争ってきた経緯がある。それを考えれば、WhiteberryとZONEの登場がいかにそれまでの女性バンドの概念を変えたものだったかわかるはずだ。結果として、多くの女の子がバンドを組む、楽器を手にするきっかけを作った。

現在のガールズバンドの代表格であるSCANDALもアニメアイコンと制服を武器にデビュー。ネットを使った戦略でメジャーデビュー前より海外からの支持も大きかった。現在海外から絶大な注目を浴びているBAND-MAIDも、最初は音楽性よりもあくまでメイド服を着たバンドというビジュアルのコンセプトありきのところからのスタートであった。“読モ出身”として話題を呼んだSILENT SIRENは＜TOKYO IDOL FESTIVAL＞に出演している。2000年以降の女性バンドは、アイドル性や女性的な売りを最大限に活かすようなプロモーション戦略を取るようになっていったのである。

それは、これまでどこか男性社会の風潮があったロックシーンの中で“男勝り”を意識することなく、女性らしい武器でシーンのポジショニングを確立したことでもある。反面で、“ガールズバンド”という言葉が独り歩きしてしまっていった感も否めない。ZONEは次第に演奏をするようになり、“バンドル”は定着しなかったが、代わりに“ガールズバンド”がそうしたアイドル性をも武器とすることや、“アイドルのように可愛い女の子バンド”という意味合いで使用されるようになった。それゆえに、ガールズバンドと呼ばれることを由としない女性バンドも少なくはなかったのだ。