NEO JAPONISM、MEGMETAL曲とコライト制作で考えるラウドロックのトレンドとオリジナリティ|「偶像音楽 斯斯然然」第68回

NEO JAPONISM、MEGMETAL曲とコライト制作で考えるラウドロックのトレンドとオリジナリティ|「偶像音楽 斯斯然然」第68回

NEO JAPONISM、MEGMETAL曲とコライト制作で考えるラウドロックのトレンドとオリジナリティ|「偶像音楽 斯斯然然」第68回

NEO JAPONISMが、10月17日に11thデジタルシングル「TOMOSHIBI」をリリースした。海外ヘヴィミュージックのトレンドであるエレクトロ要素とグループ本来のカラーを見事に融合させた同曲は、BABYMETALをはじめ、SixTONESやDa-iCEなどの楽曲を手がけるMEG(MEGMETAL)がプロデュースを担当。今回、NEO JAPONISMの新規軸を提示した「TOMOSHIBI」の音楽的な特徴をはじめ、MEGのサウンドクリエイターとしての個性、コライトという音楽制作、ラウドロックのトレンドについて、冬将軍が独自の視点で掘り下げる。

ラウドアイドルのトレンドと海外トレンド

現在のラウドアイドルシーンといえば、音程上下感の強いメロディを速いBPMで駆け上がっていく、フェスキッズがノリノリでツーステを踏みまくるEmoの発展というべきものと、クリーンからのデスボイス、はたまたテンポも拍子もいきなり変化していく急転直下型予測不可能ラウドロックが大半を占めており、人気がある。尤も、ラウドロック(和製英語)が、海外のヘヴィミュージックとは別に形成されてきた歴史もある。

一方で海外のヘヴィミュージックといえば、2011年にKORNがSkrillexとのコラボを果たすなど、世界的なEDM旋風と同時に早くからその親和性と可能性を見出してきた節がある。イギリスではBring Me The Horizonや、UKパンク&ハードコアシーンのアイコン、Gallowsのフロントマン、フランク・カーターが、Frank Carter and the Rattlesnakesとして、エレクトロをふんだんに取り入れたヘヴィミュージックをかき鳴らしている。逆にボーカルダンスグループのBIGBANGやBLACKPINKが、ヘヴィサウンドを得意とするバンドセットでのライブを積極的に行なっていることは、当コラムでも幾度となく触れてきた。ヘヴィサウンドとエレクトロ、ダンス&ポップミュージックの親和性は高く、それはMEGの根ざしているところと同じなのである。

話はNEO JAPONISMに戻るのだが、そんなMEGが楽曲提供したことは必然のようにも思える。

私は以前、NEO JAPONISMの音楽を指して“V-ROCK好きもメタルヘッズをも巻き込む極東ハードコア”と表した。いわゆる一般的なアイドルソングに多い“沸き曲”や“電波ソング”とまったく異なることは言わずもがな、かといってマニアライクなロックに寄せすぎないところ、いい意味でのベタなJ-POP感、普遍的な歌謡ライクな部分にV-ROCK味を感じたのである。実際、サウンドプロデューサーのSayaがV-ROCKバンド出身だと知り合点がいった。反面で、サウンドプロダクトはヘヴィチューニングのバンドサウンドにとどまらず、ダブステップなどのダンスミュージック要素、グリッチなどアブストラクトなコラージュ、アイドルポップスにしては珍しいゆったりめBPMや後ノリのグルーヴなど、海外トレンドを取り入れている英明さもある。良くも悪くも閉塞感のあるアイドルシーンの中で、世のポップス情勢を見ているグループはどのくらいいるのだろうか。

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