NEO JAPONISM、MEGMETAL曲とコライト制作で考えるラウドロックのトレンドとオリジナリティ|「偶像音楽 斯斯然然」第68回

NEO JAPONISM、MEGMETAL曲とコライト制作で考えるラウドロックのトレンドとオリジナリティ|「偶像音楽 斯斯然然」第68回

NEO JAPONISM、MEGMETAL曲とコライト制作で考えるラウドロックのトレンドとオリジナリティ|「偶像音楽 斯斯然然」第68回

NEO JAPONISMが、10月17日に11thデジタルシングル「TOMOSHIBI」をリリースした。海外ヘヴィミュージックのトレンドであるエレクトロ要素とグループ本来のカラーを見事に融合させた同曲は、BABYMETALをはじめ、SixTONESやDa-iCEなどの楽曲を手がけるMEG(MEGMETAL)がプロデュースを担当。今回、NEO JAPONISMの新規軸を提示した「TOMOSHIBI」の音楽的な特徴をはじめ、MEGのサウンドクリエイターとしての個性、コライトという音楽制作、ラウドロックのトレンドについて、冬将軍が独自の視点で掘り下げる。

MEGとは? BABYMETALからSixTONESまで多岐に渡る作家性

ここでMEGというクリエイターについて、改めて触れておきたい。

MEGといえば、9月12日放送のテレビ朝日『関ジャム完全燃SHOW』にて、同番組に出演した、同じ音楽制作プロダクション、MUSIC FOR MUSIC所属の作詞作曲家・岡嶋かな多とともに共作した擬似コンペ楽曲が話題になった。

MEG 公式Twitterより

MEGのキャリアはバンドマンとしてスタートしている。メタルコアバンド、ARTEMAのボーカリストとして2013年にメジャーデビュー。メタルコアとエレクトロ、ジャパニーズメロディの融合をコンセプトした独自ジャンル“KIRA☆CORE”を掲げ、卓越した音楽センスと高い演奏力で注目を浴びるも、2016年に解散。以降は作家、エンジニアとしての活動を開始する。

ARTEMA - Dancing Field

作家として、その名が大きく知れ渡ったのはBABYMETALの2ndアルバム『METAL RESISTANCE』(2016年)収録、「シンコーペーション」のアレンジを担当したことがきっかけだった。ジャパメタからのV-ROCKテイストある同曲の疾走感と緻密なアレンジを生み出し、“MEGMETAL”の名はBABYMETALファンをはじめ、多くの音楽ファンの知るところとなった。以降、BABYMETALの楽曲制作には欠かせない存在となり、3rdアルバム『METAL GALAXY』(2019年)では「Shanti Shanti Shanti」や「Brand New Day (feat. Tim Henson and Scott LePage)」といった、多国籍風味を放つフックとなる楽曲をはじめ、多くの楽曲制作に携わっている。

BABYMETAL - Shanti Shanti Shanti (OFFICIAL)

その振り幅を見れば、ヘヴィミュージックをベースとしながらも、ジャンルに囚われないサウンドの幅とメロディの普遍性を大切にしている作家性がわかるだろう。それは、BABYMETALに限らず、SixTONESからDa-iCEまで幅広い楽曲を手がけていることからもわかる。

そして、MEGのアイドル曲で注目すべきはLADYBABYだ。少女的な女性ボーカルと本格的なデスボイスを駆使する音楽ジャンル“Kawaii-Death(カワイイデス)”を標榜し、強烈なインパクトを放ったLADYBABYだったがメンバーの脱退など、一時期は存続が危ぶまれたこともあった。そうした中で2018年2月に新体制となる4人編成で再始動。従来とはまったく異なる編成に戸惑いを感じたファンも少なくはなかったが、新体制の音楽性を決定づけたのがMEGの楽曲「破天ニ雷鳴」(2019年)だった。

LADYBABY「破天ニ雷鳴 - HATEN NI RAIMEI -」

ローチューニングによるヘヴィサウンド、音符の上下感の大きいダイナミックなメロディとラップ、デスボイスを駆使し、アイドルポップスとヘヴィミュージックを見事なまでに融合させた。現在PassCodeのメンバーとしても活動している有馬えみりの咆哮を極限までフィーチャー。そして、獰猛なバンドサウンドは、LADYBABYライブに欠かせないバンド、wu-chy(Ba/BATCAVE)、YOUTH-K!!!(Dr/THE冠、AA=、黒夢……)といったヘヴィミュージックシーンの猛者からなる、The CHAOSの存在をより一層際立たせた。ロックバンドに寄せすぎないアイドルポップスでありながらも、ロックファンを唸らせる本格的なプロダクトが秀逸。新生LADYBABYを象徴する楽曲になった。

こうしたMEGのメタルコアとエレクトロ、そしてキャッチーなポップスを融合させたアイドルソングは、シーンの中で異彩を放っている。

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