PassCodeに有馬えみり加入、新木場STUDIO COAST閉館、NEO JAPONISM<NEO合戦>|「偶像音楽 斯斯然然」第64回

PassCodeに有馬えみり加入、新木場STUDIO COAST閉館、NEO JAPONISM<NEO合戦>|「偶像音楽 斯斯然然」第64回

PassCodeに有馬えみり加入、新木場STUDIO COAST閉館、NEO JAPONISM<NEO合戦>|「偶像音楽 斯斯然然」第64回

今回は、PassCodeへの有馬えみりの加入、数々のアイドルイベントや単独公演が開催されてきた新木場STUDIO COASTの閉館、そして、8月14日に行なわれたNEO JAPONISM主宰フェス<NEO合戦>という、冬将軍が昨今気になったトピックをピックアップ。それぞれに対する想いをありのままに綴る。

攻めに攻め続ける“闘う”アイドル

私は昨年3月にNEO JAPONISMのライブに魅了され、以来ずっと追い続けている。これだけ観続けてこれたのは毎回毎回のライブで最高を更新してくるからで、歌唱面もパフォーマンス面においても各々のスキルが上がっているのが手に取るようにわかる。このコラムは忖度なしで私が書きたいことを書いているわけだが、レビューやライブレポートを含めると、体感としては月イチくらいのペースで、Pop’n’RollでなにかしらNEOのことを書いているような気がしなくもない。ただそれは、それだけ話題に事欠かないコンテンツを次々と提供し続けている、アクティヴな活動をしていることにほかならない。

そんなこと言っている矢先に、また新曲「GAN GAN HERO!!!!!」がリリースされた。

NEO JAPONISM 9thデジタルシングル「GAN GAN HERO!!!!!」(2021年8月21日リリース)

ドアタマのグラムロック風のギターに持って行かれ、畳みかけるリズムに飲み込まれる。ノリよくキャッチーさで思いっきりぶん殴ってくるようなメロディが心地よいのだが、シンプルに思えて、聴けば聴くほどに複雑すぎる音符運びと綿密に構築されたリズムを組み合わせた、絶妙すぎるメロディが爆走しているのがわかる。Bメロの和風味も、サビの音を積み上げていく様もすさまじく。重心低めのパワーコードによる絶妙なコード進行と、コード構成音範囲の限界まで自由闊達に動く歌メロに下を巻く。NEOの制作チーム、A-Spells総帥、サウンドプロデューサー・Sayaと山本隼人の名コンビによる楽曲ということで、「Trigger」並みのストレートロックに見せかけてエグさが全開のロックナンバーだ。NEO楽曲の面白さはメンバーのスキルアップがそのまま楽曲へ反映されているところにもあるとでもいうか、制作陣がそれを面白がって作っているのではないかと思うほどに、リリースされるごとに楽曲難易度が上がっていく様が実に興味深い。

NEO JAPONISM 8thデジタルシングル「Signal」(2021年7月24日リリース)

前作「Signal」はサビでhi-D#という、普通であればファルセット音域であるハイトーンを地声のロングトーンで鳴らしていく容赦ないナンバーだった(hi-D#に行く助走での最高音はhi-F)。一応、半音下げバージョンも用意していたらしいが、出番はなかったようだ。

Saki Kato 公式Twitterより

ライブではさすがに半音下げるだろうと思っていたのだが、普通に元キーでやっている。しかも音源より声が出ているという……。そんなボーカリストがグループ内に3人もいるという恐ろしさよ。

そして今回の「GAN GAN HERO!!!!!」では、なんとサビでhi-Eが出てくるではないか。極めつけはラストで半音上に転調して、Hi-Fに到達する。NEOでは福田みゆがハイトーン担当(「Spica」最高音はhi-E)であるが、同曲のこの転調箇所は福田に加えてなんと、瀬戸みるかも歌っている。瀬戸は強打者揃いのNEOでのアイドル担当、愛くるしい声の持ち主であるが、ライブで突如デスボイスで絶叫したり、ライブで感じる“誰が1番声がデカいか、競っているのではないか”とも思う中で、1番は彼女だろうと感じている……と、実は5人中最もヤバい、それはまるで狂犬化したチワワのような……瀬戸の予想できぬポテンシャルに震えが止まらないのである。

……と、こんなことを書いていたら、またレコーディングをしただと……!?

辰巳さやか 公式Twitterより

今年2021年は1枚のアルバムのほかに、すでに5枚のシングルをリリースしている。アルバムのようなリリース形式ではなく、デジタルシングルとしてこまめにリリースしていくスタイルは、ファンや外へ向けての定期的なコンテンツ提供でもあり、流れの早い2021年型のアイドルらしいところだ。しかしながら、まとめて録ったものを小出しにしていくわけでもなく、その都度1曲ずつレコーディングしてリリースしていくNEO JAPONISMのスタイルはいろいろと手間暇もかかるわけだが、メンバーのスキルとともに楽曲難易度が上がっていくNEO JAPONISMの成長と、さらなる可能性を感じることができる、最適解なのかもしれない。

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