PassCodeに有馬えみり加入、新木場STUDIO COAST閉館、NEO JAPONISM<NEO合戦>|「偶像音楽 斯斯然然」第64回
PassCodeに有馬えみり加入、新木場STUDIO COAST閉館、NEO JAPONISM<NEO合戦>|「偶像音楽 斯斯然然」第64回
今回は、PassCodeへの有馬えみりの加入、数々のアイドルイベントや単独公演が開催されてきた新木場STUDIO COASTの閉館、そして、8月14日に行なわれたNEO JAPONISM主宰フェス<NEO合戦>という、冬将軍が昨今気になったトピックをピックアップ。それぞれに対する想いをありのままに綴る。
『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。
PassCodeの新メンバーとして、有馬えみりの加入が発表された。
その一報を耳にした時は驚きはしたが、同時にPassCodeが新メンバーを迎えるなら、実力と経験も申し分なく、且つ、メンバーと同じく関西出身、という彼女しかいないと思った。
日本屈指のスクリーマー、有馬えみり
有馬は言わずもがな、2020年1月に惜しまれつつも活動休止したLADYBABYのメンバーだ。日本のヘヴィミュージックシーンの猛者どもが集結したバンド、The CHAOSとともに叫び続けたあの声と獰猛なステージの佇まいはアイドルファンのみならず、多くのメタルヘッズの記憶に残っているはず。しかし、あれから彼女は表舞台に出ることはなかった。
もう、彼女がステージに戻ってくることはないのだろうか……そう諦めかけていた中での復帰、しかもPassCodeという強力グループへの加入に心躍らされたファンも多いことだろう。当コラムでも私個人としてもプッシュし続けてきただけに、この知らせを聞いた時には思わず大きな声が出た。
彼女の最大の魅力は、その圧倒的な声量を誇るスクリーム、デスボイスにある。多くのスクリーマーはマイク特性を巧みに使い、リバーヴやディレイなどのエフェクト込みでグロウルやガテラルといった、いわゆるデスボイスを作っていく。しかしながら、有馬の場合はそうした機械的なものに頼らず、自分の喉と声を駆使して生声だけでガラガラとした咆哮を作っている。であるから、LADYBABYではライブマイクもほぼノンリバーヴを貫いていた。ガテラル、グロウル、スクリーチ、ホイッスル……低音から高音まで、幅広い音域をこなしていく技量はすさまじく、それはまるで喉に魔物が棲んでいるかのような狂気を生み出す。
LADYBABY「禊island」
そして、スクリーマー、ボーカリストとしてだけでなく、言葉遊びを駆使した作詞家としての才をも発揮。LADYBABYの楽曲はもちろん、最近ではアップアップガールズ(仮)「宣戦Brand New World!」の作詞を手がけている。
アップアップガールズ(仮)「宣戦Brand New World!」
国内のみならず海外でも人気が高く、その実力が知られている日本屈指のスクリーマー、有馬えみりの咆哮が、PassCodeに何をもたらすのか……。考えただけで震えが止まらない。
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