CYNHNに#2i2、Kolokol、Ringwanderungからおすしハードコアまで この夏グッときた音｜「偶像音楽 斯斯然然」第63回

#2i2　アンドロイドの伊達じゃないデジロック

イベントで幾度となく観てきた横移動からの膝蹴りが、ボディブローのように知らず知らずと私の身体に効き始め、前回のドラム特集で取り上げた「恋するうさぎちゃん最強伝説」で完全にノックアウトされてしまった、#ババババンビ。

改めてほかの楽曲もちゃんと聴いてみたら、“いい曲多いじゃないか！”と思い知らされた次第。そして先日8月8日に行なわれたワンマンライブ＜大馬鹿者祭 in KT Zepp Yokohama＞も大盛況で、薄々勘づいていたが今最も勢いのあるグループであることを確信したのである。そんなワンマンで初披露となった新曲が、ザ・某ルーハーツを想起させるフレーズ《キスしてほしい》の連発で、タイトルもそのまんま「キスしてほしい」だなんて、おっさんホイホイにもほどがある（いいぞ、もっとやれ）。

#ババババンビ「恋するうさぎちゃん最強伝説」

そんなこんなで、またしても予期せぬところから私の心に揺さぶりをかけてきたのが、同じくゼロイチファミリア所属の、#2i2である。なんというか……ライブがすごく……よかった……。

#2i2「FATE」(Music Video)

私のロック初期衝動から青春を捧げたヒムロック繋がりで存在をよく知っている、天羽希純をはじめとした前世やグラビアやら、華のあるトピックでデビュー前より話題のグループであったし、過去にもイベントなどで観たことあるはずだけど……すいません、曲とステージはまったく覚えてなかった……。そんな完全にノーマーク状態であった#2i2。先日ふとイベントで彼女たちのステージを観たらびっくりするくらいよかった（よくなった？）のである。特に＜東奔西走〜極〜＞、豊洲PITの広いステージが抜群に似合っていて、終わったあと、私の周りでも抜群に評判がよかった。

硬派なライダースとフリフリのドレスを半々にした白黒衣装もカッコ可愛く、ビジュアルの強い5人が、長い四肢を振り回しビシっとキメまくるキレのよいパフォーマンスはフォトジェニック。そして強いのはビジュアルだけではなかった。歌も強い。メロディアスな旋律をなぞる伸びやかなボーカルが気持ちいい。凛としながら芳醇さを醸す森嶋あんりの歌声はとても魅力的で、鋭利かつ安定感ある歌声の十味と、精悍さを放つ奥ゆいとともに、気品に溢れた瀟洒なグループの色を濃くしていく。そこに天羽の天賦のアイドル性と青木りさの超然とした優艶さが加わって、#2i2のアイドルとしての輪郭を整えている。そんな5人に気がつけばすっかり惹き込まれていた。アイドルとして、ボーカリストとしての可能性を感じ、むしろ伸びしろしか感じない5人でもあった。今後がますます楽しみなグループである。

#2i2「Live and let live」

楽曲は聴いてすぐにビビッときた……わけではないのだが、ハードながらもヘヴィになりすぎず、バンドサウンドながらもそこへ寄りすぎない無機質なデジロック具合いがグループコンセプトの“アンドロイド”にマッチ。デジタルサウンドに交錯する慟哭性のあるクサいメロディが嫌味なくスッと耳に入る。音符の動きの激しいメロディにバックはハードなギターサウンドがガッツリといえば、ビーイング〜エイベックスの90’s J-POPを思い出したりもするわけだが、8月12日リリースの最新シングル「Live and let live」に見られるように、連打されるツーバスを軸とした複雑なリズム、猛り狂うシンセなど、サウンドプロダクトは昨今のEmoからのデジタルハードコアアプローチ。でも主軸はあくまで歌メロ、というスタンスがいい。ロック系アイドルはバンドに寄せすぎたり、他者とは違うところを狙いがちで、それが逆に無個性になってしまうことも多かったりもする。そんな中、こういった普遍的J-POPメロディを大切にしてるアイドルは珍しいのではないだろうか。

#2i2「独り占め」

クレジットを見れば、多くの楽曲を手がけているのは頓宮秀人という方。失礼ながら存じ上げないクリエイターだったのだが、氏の所属するKEYTONEといえば、アイドルマスターやA応Pなど、声優アニメ系を多く手掛ける制作会社ということで、妙に納得した。

ライブを見てかなり印象が変わった#2i2。すっかり感化されてYouTubeチャンネルを夜な夜なチェックしている今日この頃……。青木が常人には理解できぬ卓越した感性を持った美女であることは理解した。

最後に紹介するのは、この夏のニューカマーだ。