TEAM SHACHI、わーすた、NEO JAPONISM、#ババババンビ……ドラムがカッコいいグループはカッコいい|「偶像音楽 斯斯然然」第62回

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TEAM SHACHI、わーすた、NEO JAPONISM、#ババババンビ……ドラムがカッコいいグループはカッコいい|「偶像音楽 斯斯然然」第62回

あえて断言しよう。“ドラムがカッコいいグループは間違いなくカッコいい”。これはバンドのみならずアイドルにも共通すること。今回は“ドラム”に徹底的にフォーカスして、カッコいいドラムを聴かせるアイドルグループをピックアップ。本コラムの本領を発揮した、マニアックだが、ロックファンなら膝を打つ楽曲分析をお届けしたい。

真っ白なキャンバス「ポイポイパッ」にみるオープンハンド

最近ドラムにグッときた楽曲がこちら。鈴木えま、麦田ひかる、という一期メンバーの再加入で話題持ちきりの真っ白なキャンバス、先日7月16日にMVが公開になった「ポイポイパッ」。

真っ白なキャンバス「ポイポイパッ」

白キャンにしては珍しいポップな夏ソングだが、倍音少なめにバチッとキマるスネアが実にロック。気持ちいいところにズバッと入ってきて、コロコロと変わるリズム展開に迸る躍動感が心を揺さぶってくる。ドラマーはトルル。調べてみれば、ザ・キャプテンズのシミズトールだと判明。近年ドラム界隈での活躍目覚ましい “村石雅行ドラム道場生”である。村石雅行といえば、椎名林檎からスキマスイッチ、葉加瀬太郎のサポートまでこなすスーパードラマーだ。

トルル自身が「叩いてみた」動画をアップしており、見てみればオープンハンドスタイルのドラマーだった。

トルル公式Twitterより

ドラムは通常、右手で左にあるハイハットを刻み、左手でスネアを叩くために、両手がクロスする形が基本型になる(クロスハンド)。対しオープンハンドはその逆で、左手でハイハット、右手でスネアを叩くので手がクロスしない。これは右手の下に左手が入り、左手の上へ上がる動きが制限されてしまうクロスハンドの打開策でもあるのだが、とにかく叩いてる姿がカッコいい。しかしながら、相当な技術を要するためにびっくりするほどオープンハンドの日本人ドラマーはいない。有名どころでいえば東京事変の刃田綴色、東京スカパラダイスオーケストラの茂木欣一などだ。そして、中高年ロックファンにとってのレジェンドドラマー、上領亘(GRASS VALLEY、SOFT BALLETなど)と、その影響を受けたyukihiroもオープンハンドの名手。ZI:KILL『CLOSE DANCE』やDIE IN CRIES『VISAGE』における“聴いているだけでは何やってるのかわからないけど、ライブで観たら余計に何やってるのかわからない”というyukihiro先生のくり出す人間離れした16ビートはオープンハンドならではのものだ。……と、話は逸れたが、オープンハンドはとにかくカッコいいのである(大事なことなので)。

#ババババンビ 小鹿だと思っていたら噛まれた

前回といい、#ババババンビに冒されている気がしてならない今日この頃……、またしてもやられてしまった。バンドサウンドの印象はなかったグループなのだが、本稿を書いていた矢先、7月27日にリリースされた1stアルバム『強く儚い大馬鹿者たち』とは別で、7月29日に配信リリースとなった「恋するうさぎちゃん最強伝説」をなんとなく聴いてみたら驚いた。

「恋するうさぎちゃん最強伝説」

冒頭からのガッツリとした力強いビートに持っていかれる。タイトルどおりのあざとさ直球の可愛いアイドルポップスであるのに、ずっしりとした重心の低いバンドサウンドが楽曲を支配している。

キャッチーな楽曲の完成度もさることながら、とにかくリズム体、特にドラムが素晴らしい。どっしりとした野太いスネアと的確なフィル、タム回しも心地よくて、リムショットもサビのドンパチ具合いもいい。ギターソロで倍テンに捲し立てるところであったりと、楽曲展開ともに聴いていて飽きない。シンバルの位置も余韻もちゃんと感じられるクリアで丁寧なミックスも見事。

作曲は、#ババババンビ楽曲を多く手掛けているKOJI oba。ももクロ「走れ」や℃-ute、RYUTist!など、多くのアイドルソングを手掛けている。

#ババババンビ、私の中ではイベントなどで温かく見守るグループ、という位置付けだったのだが……今後ちゃんとチェックしていきたいと思います。

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