TEAM SHACHI、わーすた、NEO JAPONISM、#ババババンビ……ドラムがカッコいいグループはカッコいい|「偶像音楽 斯斯然然」第62回

TEAM SHACHI、わーすた、NEO JAPONISM、#ババババンビ……ドラムがカッコいいグループはカッコいい|「偶像音楽 斯斯然然」第62回

TEAM SHACHI、わーすた、NEO JAPONISM、#ババババンビ……ドラムがカッコいいグループはカッコいい|「偶像音楽 斯斯然然」第62回

あえて断言しよう。“ドラムがカッコいいグループは間違いなくカッコいい”。これはバンドのみならずアイドルにも共通すること。今回は“ドラム”に徹底的にフォーカスして、カッコいいドラムを聴かせるアイドルグループをピックアップ。本コラムの本領を発揮した、マニアックだが、ロックファンなら膝を打つ楽曲分析をお届けしたい。

ドラムがカッコいいグループは間違いなくカッコいい

Pop’n’Roll編集長との対談企画「ギターがカッコいいアイドルソング」特集を1年の統括として毎年行なっているのだが、2人の共通認識としてあるのが「ドラムがカッコいいと、楽曲(グループ)は間違いなくカッコいい」ということ。バンドサウンドを主体とする楽曲においてのドラムの重要性である。“リズム体(ドラムとベースといった、リズムやビートを担当する演奏者を指す言葉)”がロックバンドの良し悪しに関わることはロックファンであれば周知の事実かもしれないが、バンドサウンドを用いていればアイドルにも同じことが言える。ちなみによく“リズム隊”と誤用している人も多いが、正しくは“リズム体”である。

ドラムのプレイやサウンドが直接楽曲に与える影響もあるわけだが、ドラムにこだわりを持っているグループは間違いなく、楽曲がカッコいいのである。もちろん、アイドルはバンドではないので、固定のバンドメンバーや同じ形態で演奏しているとは限らないのだが、そこにはサウンドプロデューサーやクリエイターのこだわりがあり、なによりもそれを選ぶ制作ディレクターのセンスがものをいうところだ。

「ギターがカッコいい」特集で「ドラムがカッコいい」と話題だったPimm’s「Moo!」(2019年)。Pimm’sはXmas Eileenのプロデューサー、Hidetoshi Nishiharaが制作する楽曲が多くある

オケが主体のアイドルにおいて、生演奏によるレコーディングやバンドセットライブが重要視されることは多い。しかしながら生バンドでやればカッコいいというものではない。現に、バンドセットのライブではバンドメンバーの人選やアレンジで失敗している場合も少なくはないし、そもそもこれはバンドでやる必要はあるのか、と思うことだってある。逆にオケであっても生バンドに負けない臨場感と音圧で圧倒していくグループがいるのも事実である。

Buono! バンドセットのパイオニア

バンドセットで成功したアイドルといえば、やはりBuono!だろう。現在に続くロックアイドルのパイオニア的存在でもあり、専属バンド“Dolce”なくしてBuono!のライブは成り立たないといってもいいくらいだ。

初恋サイダー「Buono!」(Live at 日本武道館 2016/8/25)

Dolceのドラマーは今村舞(ex.SUPER EGG MACHINE)。女性ドラマーならではの迷いのない潔いビートが爽快で、ワイルドさと細やかさを持ち合わせている、“楽器の鳴らし方”を知っているドラマーだ。

TEAM SHACHI パワードラマーに物怖じせず

現在、バンドセットを武器とするアイドルはPassCodeに代表されるラウドロック系のグループが主流であるものの、それとは一線を画す独自性のあるバンドサウンドをかき鳴らしているグループといえば、TEAM SHACHIだ。ラウドロックはヘヴィサウンドを武器とする日本のロックを指す和製英語であるが、彼女たちが鳴らすのは“ラウドポップ”。ブラス民なる、ホーンセクションとともに作り上げるド派手なサウンドは必聴である。

TEAM SHACHI『AWAKE』「SHACHI Navigates Spotlight」@TOYOSU PIT by Team Smile( ForJ-LODLIVE )

日高央(Gt/THE STARBEMS, ex-BEAT CRUSADERS)、Bunta(Dr/TOTALFAT)といったパンキッシュなバンドマンとスペシャルバンドも記憶に新しいが、やはりTEAM SHACHIのドラマーといえば、Tatsuya(Crossfaith)。

TEAM SHACHI『眠れないナイNIGHT!』「SHACHI Navigates Spotlight」@TOYOSU PIT by Team Smile( ForJ-LODLIVE )

ジョン・ボーナムばりの口径のバカデカいバスドラとタムはアイドルライブに必要なのか?……なんて思うのも束の間、それを容赦なくフルショットでぶっ叩く様が圧巻。そんなパワードラマーが思い切り振りかぶったシルエットを前にキラキラオーラ発しまくりながら毅然として歌う4人もすさまじい……。

Tatsuya個人のInstagramには、TEAM SHACHIライブでのドラム定点カメラでの映像がアップされているので、全ロックアイドルファン、ロックファンは観るべきだ。

すげー叩き方してるだろ。アイドルのライブだぜ、これ……。ウソみたいだろ。

パワードラマーを擁するアイドルライブで忘れてはならないのが、2020年1月に活動を停止したLADYBABY。バンドThe CHAOSが轟かせる美重音を前に、咆哮し勇ましく美しい4人。

LADYBABY「ホシノナイソラ -Starless Sky-」LIVE at EBISU LIQUID ROOM - January 13, 2020

日本屈指のパワードラマー、YOUTH-K!!!(ex.BATCAVE, THE冠, AA=, 黒夢……)がくり出すヘヴィグルーヴは圧巻。そんな重低音を前に屈しない4人。バンドセットライブを行なうラウド系のアイドルの中でも、イヤモニなし、クリアソニックといったドラムの遮音板すら用いないアイドルは彼女たちくらいではないだろうか。

わーすた バンド再現不可能を可能にした

バンドサウンドを想定したものでなくとも、バンドセットでやることによって新たな楽曲の魅力を引き出すこともある。ただしこの場合は、バンドメンバーの人選とアレンジ力、センスが大きく問われる。わーすたの不条理ポップス具合いは、生バンド再現不能と思われていたが、2017年より“NEKONOTE BAND”なるバンドによるバンドセットライブを定期的に行なっている。

わーすた(WASUTA)「うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ」(Ultra Miraclecle Final Ultimate Choco Beam)Live Video

わーすた/STUDIO LIVE -うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ【叩いてみた】

先日『マツコの知らない世界』のガールズバンド特集でもフォーカスされた女性ドラマー、むらたたむ(NEMOPHILA)による「叩いてみた」動画(スタジオライブの定点動画)は、彼女の精確なドラミングを堪能できると同時に、わーすた楽曲の難易度のすさまじさがよくわかる内容となっている。

わーすた(WASUTA)「デデスパボン!」(Dedespabon!)Live Video

先ごろのライブでは、織田哲郎、EXILE TAKAHIRO、ORANGE RANGE……といった名だたるアーティストをサポートするドラマー、神田リョウが参加しており、ラウドな音なのにタイトに決まる切れ味抜群のドラミングを聴かせている。

バンドセットライブでのアイドルを見てきたが、ここからは音源に注目していきたい。

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