【連載】沖口優奈×槙田紗子（後編）「アイドルって不思議で、なかなか辞められない何かがあるんだなって思います」マジカル・パンチライン 沖口優奈「沖Pの教えてプロデューサー」第2回：『SACO PROJECT!』プロデューサー・槙田紗子（後編）

アイドルさんにも読んでほしい話がたくさん出てきました（沖口）

沖口：
今回、オーディションを開催してみて、改めてどんなアイドルに魅力を感じますか？

槙田：
さっきの話（前編）と被っちゃいますけど、予測不可能なところかな。そこが1番エンタテインメントというか、人を楽しませることにおいては大事だと思います。毎回違う……2度と同じ今はないわけで、それを体現できているアイドルはすごく魅力的だと感じました。これはオーディションをやってみての発見ですね。

沖口：
今までは、あまり見えていなかった部分なんですね。

槙田：
振付師をやっていると、どうしてもスキル重視になってしまうんですよね。ウマい／ヘタで判断しがちだったんですけど、いや、そうじゃないと気づかされました。スキルはなくても、観ていて楽しい子もいるし、毎日、変化して成長していく子もいるし、逆にウマくても変らない子もいて、そうなってくると大事なのは実力だけじゃないなって思って。結局は、その人の魅力がパフォーマンスに出るんです。だから、人としての面白さが大事だなって思いました。

沖口：
以前、＜TIF＞でギャンパレ（GANG PARADE）さんのライブを観たんです、一昨年だったかな。永遠に同じ曲をやってたんですよ！　その時、カミヤ（サキ）さんがソロパートで毎回違う振りで踊ってたんです。それを観て、“うわ、面白い！”と思って、自分でもやってみようと思うんですけど、なかなか難しくて（笑）。それに気づいた時に、成長するにはもともと持っている才能に加えて、相当な努力が必要なんだなって思ったんです。

槙田：
どうしても考えてやろうとしちゃうじゃないですか。ここは手を挙げようとか、まずは考えて踊ると思うんですけど、その時のカミヤさんは考えていないと思う。その時の自分の状態と歌詞とかすべてをリンクさせて、勝手に出てきた表現なんじゃないかなと思います。表現者としては、究極かもしれないですよね。それができるようになってほしいとは思うんですけど……。

沖口：
難易度が高いです（笑）。“次はここでレスを送ろう”とか、考えてやればできると思うんですけど、カミヤさんはもうパッションでやっていた感じだったんですよ。しかも、同じ曲を何回もやっているので、最後の方はヘトヘトなはず……普通に違う曲を何曲かやるよりも疲れるはずなのに、最後までめっちゃカッコよかったのを覚えています。えっと、ちょっとオーディションの話からはそれてしまうんですけど、もともとアイドルをやられていて、今は振付師としていろいろなアイドルを見ていると思うんですが、どんな風にアイドルを見ているのかなって気になっていて。振付師になったからこそ見えてきたアイドルの部分ってありますか？

槙田：
ステージをどう観ているのかってことですか？

沖口：
レッスンをやっている中で、見えてくるアイドル像というか……ウマく言えないですけど。

槙田：
これは私の持論なんですけど、レッスン中に会話と質問が多いグループはパフォーマンスもいいんですよ。やっぱり意思があるんです。言われたことを“はい、はい”って静かにレッスンをやっているだけじゃなくて、メンバー同士で“ここはもっと前だよ”とか“もうちょっとこうしようよ”とかって言い合っていたり、私が言ったことが理解できなかった時に、ちゃんと質問してくれたりするグループは素敵なパフォーマンスをしますね。

沖口：
“それってこういうことですか？”って確認してくれるグループってことですか？

槙田：
そうですね。それとか、私が教えていて抜けていた部分を“ここは決まっていますか？”みたいにちゃんと確認してくれる子がいるグループは、すごくパフォーマンスが優秀で、そこは比例していると思いますね。

沖口：
この連載は、アイドルファンの方が読んでくださっていると思うんですけど、今回は、アイドルさんにも読んでほしい話がたくさん出てきました。レッスンって、グループによって全然違うんじゃないですか？

槙田：
全然違います！　初めて担当するグループは、ドアを開けるまで（どんな雰囲気なのか）わからないので緊張しますよ。ただ、パフォーマンスを見ると、なんとなくこういう感じだろうって予測ができるようになりました（笑）。MCとかでもわかりますね。メンバー同士の目の合わせ方だったり、会話のキャッチボールだったりで、信頼関係や“あ、この子、今悩んでるな”っていうのがわかります（笑）。

沖口：
すごい！

槙田：
職業病かなって思いますけど（笑）。それで、自分が担当したグループはピュアには観れないですね。いちファンとして楽しむっていうのはもう無理で、先生モードになっちゃう（笑）。

沖口：
“あ、今、立ち位置ずれた”みたいな？

槙田：
そうそう。あと、シンメ（トリー／パフォーマンスが左右で対称であること）も超気になります（笑）。逆に、自分が好きなハロプロとかを観ている時は、何も気にしないで観るようにしています。“きゃ～、可愛い！　レスもらった～！”って（笑）。

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