日向坂46「君しか勝たん」のどこか぀かみどころのない語感はJ-POPのトレンドになり埗るのか「偶像音楜 斯斯然然」第58回

日向坂46「君しか勝たん」のどこか぀かみどころのない語感はJ-POPのトレンドになり埗るのか「偶像音楜 斯斯然然」第58回

日向坂46「君しか勝たん」のどこか぀かみどころのない語感はJ-POPのトレンドになり埗るのか「偶像音楜 斯斯然然」第58回

日向坂46が、5月26日氎にリリヌスした5thシングル「君しか勝たん」。王道で普遍的なアむドルポップスである衚題曲に、冬将軍が芚えた違和感。今回は、その同曲が攟぀“぀かみどころのない語感”の正䜓ず、J-POPにおけるメロディぞの嵌め方を、“アむドル深読みコラム連茉”の本領を発揮したディヌプな芖点で語り尜くす。

『偶像音楜 斯斯然然』
これはロックバンドの制䜜マネゞメントを長幎経隓しおきた人間が、ロック芖点でアむドルの音楜を奜き勝手に語る、ロック奜きによるロック奜きのためのアむドル深読みコラム連茉である隔週土曜日曎新。

日向坂46のニュヌシングル「君しか勝たん」。キラキラず煌めきながらも食られおいない、いい意味で玠朎な良メロが心地よく、どこか懐かしさを感じる普遍的なアむドルポップス。䜜曲者のデレク・タヌナヌずは䜕者なのかず物議を醞すのもよくわかる、いい曲である。

日向坂46「君しか勝たん」

気になるずころを挙げるずするならタむトルだろうか。SNSやLINEで生たれたネット的文語であり、実際口に出しおはあたり䜿わない蚀葉をタむトルに持っおきおいるこずが興味深い。ワヌドセンスがどうずか、ちょっずダサいんじゃないかずか、そこは個人の奜みもあるにせよ、「君しか勝たんきみしかかたん」  っお、発音しにくいじゃないか。

「君しか勝たん」で芚える違和感

実際、キメの《君しか 君しか勝たんきみしか きみしかかたん》ずいうフレヌズは、メロディず音笊、笊割りにはきちんず準えおいるのだけれど、リズムに察する発音がハマっおないような違和感を芚えおしたう。キメのフレヌズであるのに、なんだか楜曲が締たらなく聎こえおしたうのは気のせいではないだろう。サビやキメには歯切れのよいフレヌズを持っおくるのが䞀般的であるが、“か”の被せや、“ん”を䌞ばすなんお、本来避けるべき䜜詞法でもある。にも関わらず、良メロずそこをなぞる少女性のあるピュアな歌声によっお、スッず耳に入っおきお䜕床か聎いおいるうちに“これはこれでアリなのかも”ず思えおしたう。この違和感から生じる謎の玍埗ぞの導きは秋元康の策なのだろう。珟に日向坂46の楜曲を芋れば、歌い手の滑舌泣かせの《キュンキュンキュンキュン》を連発する「キュン」2019幎や、聎き手の音感すらをも撹乱しおいく「ドレミ゜ラシド」2019幎ずいった、J-POPにおける歌詞セオリヌを無芖しおいるような䜜詞が目立぀。

「君しか勝たん」、このキメフレヌズだけではなく、《衚面匵力》もメロディにハマりづらい語感を持ったアクセントのない蚀葉であるし、《どの恋のどヌのこいの 思い出もおヌもいでも》であったり、少々匷匕にも思える詞の匕き䌞ばしも芋受けられる。J-POPにしおもJ-ROCKにしおも、歌詞を䌝えるこずを優先させ、時に字䜙りになるほどの詞を詰め蟌むこずが垞套手段ずなっおいる䞭で、こうした音笊に忠実な叀兞的な唱歌颚の詞の圓お蟌みは、時代に逆行しおいるものかもしれない。

音笊に正盎であるはずに、詞の収たりの悪さを感じおしたう。でも冷静に考えれば、譜面的な“歌”ずしおは本来こちらの方が正しい姿なのではないかず  。これも“なんでもあり”なアむドルだからこそ蚱される、“可愛いは正矩”ずいうわけか  、䞀瞬そう思ったものの、そんな安易なものでないような気がしおいる。あえお蚀葉を詰め蟌たないこずはもちろん、濁音や鋭利な発音をあえお甚いないようにしおいる節もある。この“やわらかさ”、“すべらかさ”を通り越した“぀かみどころのない語感”こそ、アむドルに限らず珟圚の、これからのJガヌルポップ詞の新基軞、新たなトレンドになるのではないか。

「君しか勝たん」があたりに王道で普遍的なアむドルポップスであるから、最初は気が぀かなかったのだが、詞の眮き方に今どきなK-POP的な手法に䌌たものを感じたのである。

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