第27回：お悩み相談3〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜読者のみなさんからのお悩み相談4本立て

【お悩み】

私は現在高校2年生の学生です。今回相談したいのは私の進路関係についてです。私の進路先は漠然としか固まっておらず、なんとなくこんな仕事がしたい、程度です。そこでお2人に相談です。どうすれば自分の将来に自信を持つことができるのでしょうか。また、お2人が現在のご職業に就かれた理由なども教えていただけると幸いです。

南波：
なるほど。小出くんは学生時代からいまの仕事をしたかった人ですよね。

小出：
ミュージシャンになることしか考えてなかった。

南波：
でも、高校生とか大学生の時点でやりたい仕事が定まっている人のほうが少ないでしょう。

小出：
当時から少ないなーとは思ってた。みんな進路に悩んでたけど、どういうこと？って思ってた。うちのメンバーに関しても当時はそうだった。就職するかどうかみたいな。そりゃそうだよね。僕が引き込んだ側だから、最初のうちはついてきてるって意識もあっただろうし、親からもちゃんと大学行って就職して、みたいに言われていただろうし。それが普通だよね。

南波：
なりたい職業を見つけなきゃいけないという強迫観念を持つこともないと思いますよ。僕がいまの仕事で食べるようになったのも30歳過ぎてからだし。

小出：
南波さんはミュージシャンを1回経てるわけじゃないですか。そこに至るまではどうだったんですか？

南波：
大学生の頃からいろいろやってました。ライブしながらウェブショップとか雑誌で書いたりとかして。大体は音楽関係だったかも。音楽まわりで仕事がしたかったんだと思う。

小出：
それがいまの仕事に定まったのは？

南波：
定まったというよりも、結果的にそうなったという感じ。ライターを目指していたわけじゃなかったけど、たまに書いていた原稿が面白いと言ってもらえたり、人の話をじっくり聞くというのが性分に合っていたということだと思う。それは高校生の時点では見出せなかったもので、年を重ねていくなかで身についていったものなんですよね。やりたいことと自分の適性と人に求められることは必ずしも一致しないし、漠然としていてもいいと思いますよ。自信を持ったとしても、それがダメになる可能性だってあるし。

小出：
どうするんだってなるよね。僕の場合、退路をほぼ断ってたんですよ。実家がお店であるっていうのが唯一の担保だけど、“夢破れたので今日からお店に出ます”っていうほど自営業も甘くないですし。ミュージシャン以外の考えが一切なかった。大学ですら1週間くらいしか行ってないし。メジャーデビューできなかったら、振り出しのままどこにも行けなかった人生かもしれない。幸いミュージシャンになれたけど、危なかった（笑）。根拠のない自信しかなかったけど、大体、自信って根拠のないものだから。なぜか自分を信じていると書いて自信だもんね。

南波：
この人の場合は、その自信を持つ前の話なんですよね。

小出：
願わくば、なにか自分の興味あることがだんだん見つかっていって、そこに混ざる仕事に就けるようになっていけばいいけど、そうじゃなくてもいい。仕事に就いてからこれ面白いなって気づくかもしれないしね。

南波：
僕の場合は完全に後者ですね。なので、無理に焦って自信を持つ必要はないと思います。