NightOwl、EIMIE、代代代…… 関西殴り込みGIG！？ 今観たい関西インディーロックアイドル6選｜「偶像音楽 斯斯然然」第57回

Lily of the valley　猛り狂うポップロック

“2018年、平成最後の夏に誕生した5人組美少女アイドルグループ”としてデビューしたリリバリこと、Lily of the valley。正統派アイドルポップスのイメージも強い彼女たちだが、バンドサウンドを基盤としたポップロック楽曲が多いのである。そして、“「こんな今だからこそ、アイドルとして立ち上がる」新生Lily of the valley、新たな旅立ちの歌。”と掲げられた新曲「誕生前夜」を聴いて驚いた。

Lily of the valley - 誕生前夜

やけに抜けのよいスネアと乱れ打たれるツーバス。言葉の羅列で畳み掛け、耳馴染みのよいサビメロとそこに絡む“ナイナイナイ”の掛け声……、2周目は言葉の羅列がハーフ気味の符割りでラップに置き換わっている。なんだこのキャッチーセンスが爆発するキラーチューンは!?と思ったら、“作曲・編曲：浅野尚志／作詞：只野菜摘”、LADYBABYなどでお馴染みの安心と信頼の制作コンビだった。

the mishmash　ひねくれポップの上質オルタナロック

ロックアイドルというと、ラウドロックかパンクが大多数を占める中、the mishmashはハッピーな歌モノオルタナティヴロック。良質なガールポップながらもロックファンの琴線にビシビシ触れてくるサウンド、一筋縄ではいかないロックスピリッツが最高のグループである。どこか90年代のブリットポップブーム界隈のあの頃のオルタナシーンを想起させる。マニアライクなサウンドとひねくれたポップさ加減がたまらない。雑誌『GOOD ROCKS!』や『IDOL FILE』でお馴染みのROCKS ENTERTAINMENTがプロデュースということで、アートワーク周りのセンスも抜群だ。

the mishmash - DANCING BABY

耳馴染みのよいポップスに聴こえて、よく聴けばなんかすごいメロディだし、サウンドもシンプルながらもめちゃくちゃこだわっていることがわかる面白さ。1曲2曲ではなく、アルバムを聴いてこその楽曲の幅広さとグループの魅力。歌のウマさであるとか、そういう技術部分が売りのグループではないのだが、女性ボーカルポップスとしての普遍性を感じられる心地のよいボーカル。何度聴いても飽きの来ない、聴き疲れしない作品、というのは意外と少ないもの。ぜひアルバム単位でチェックしてほしいグループである。最新EP『BEYOND NOW』も素晴らしいのだが、特に『ONE』（2019年）は後世に語り継ぎたいポップロックの名盤である。