NEO JAPONISM[ライブレポート]激闘とともに掴み取った光り輝く希望と誇り「夢に向かって逃げずに闘っていくことが、みなさんの明日を生きるための勇気になれば」

NEO JAPONISM[ライブレポート]激闘とともに掴み取った光り輝く希望と誇り「夢に向かって逃げずに闘っていくことが、みなさんの明日を生きるための勇気になれば」

NEO JAPONISM[ライブレポート]激闘とともに掴み取った光り輝く希望と誇り「夢に向かって逃げずに闘っていくことが、みなさんの明日を生きるための勇気になれば」NEO JAPONISM<LOVE & FIGHT>ライブレポート

4月18日(日)に恵比寿LIQUIDROOMにてワンマンライブ<LOVE & FIGHT>を開催したNEO JAPONISM。どこまでも貪欲に“闘う”ことを続けている5人が、自身最大規模のワンマンライブとなったこの夜、ステージに描いた景色とは?

NEO JAPONISM<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)
ポスト
NEO JAPONISM<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)

最高の日にして帰ろうぜぇ!

ロビーに飾られた無数の“新和様式”のぼり旗に出迎えられながら、会場に足を踏み入れると、異空間が広がっていた。

けたたましく響き渡るインダストリアルな機械音と金属音。見上げれば天井の至るところに吊るされたメタリックなオブジェと、張り巡らされたスパイダーネット。暗がりの中ではっきりとは見えないが、ステージ上にも大きなセットが組まれている。退廃的な世界が広がる場内にたじろぐ。こんなLIQUIDROOMを見たのは初めてだ。

定刻になると地鳴りのような重低音の不穏さの中に響く、注意喚起を促す聞き慣れたロボットボイス「NEO START」。そこから、いつもとは違う荘厳なストリングスの重奏へと変わっていく。ステージが光に包まれ、悠然と組まれたスチームパンク調の巨大なセットが露わになる。無機質ながらもなんだか今にも蠢くような生き物のようであり、不気味な美しさを放つ。

福田みゆ、辰巳さやか、朝倉あい、瀬戸みるか……、いつもであれば、勢いよくステージに登場するメンバーも1人ひとり、己の場所を確かめるようにゆっくりとした足取りで持ち場に着いていく。最後に滝沢ひなのが中央に陣取ると、NEO JAPONISMの臨戦態勢が整った。鳴り響くシンバルのカウントによって、今宵の“闘い”の火蓋が切って落とされる。花びらが1つひとつ開くように、逆円陣から1人ずつ両手を合わせて天を衝く。「Carry On」だ。

“イェイ、イェイ、イェイ、イェイ、イェイ、イェイ! 最高の日にして帰ろうぜぇ!!”

初っ端から、滝沢が歌い出しを見失うほどにヒートアップして攻め立てる。巨馬の蹄が大地を抉るごとく掻き鳴らされるバンドサウンドに跨り、鋭い眼差しの5人は精彩を放ちながら力強い歌声を轟かせる。ステージ中央で妖しく光る翼を広げた鳥のシンボルを背負いながら、俊敏な動きで歌い踊る姿は勇ましく美しい。

滝沢ひなの<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)
ポスト
滝沢ひなの<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)

ステージから放たれるすさまじいパワーに圧倒されながらも、フロアを埋め尽くしたオーディエンスは惹き摺り込まれるように腕を上げ、クラップし、ジャンプし、《今勝ちに行け》と全力で応える。そうしたフロアからの熱を受け、ステージのボルテージはさらに加速していく。確実な手応えを感じ取った辰巳が《All I want》と天井を突き破るほどに響かせた。

“恵比寿リッキドルーム、まだまだいけるだろー!”

瀬戸が高らかに叫ぶと、間髪入れずに「rewind the story」へとなだれ込む。言葉とリズムを重ねていきながら各々が紡いでいくボーカリゼーションと、サビで一気に解放されるメロディの展開が美しい。そして、深淵へと一気に叩き落とされる間奏のヘヴィリフも大きな見せ場だ。“いくぞー! ヴォイ! ヴォイ!”青髪を靡かせる滝沢の野太い掛け声に煽動され、フロアも一斉に大きく頭を揺らす。

滝沢が吠え、辰巳が制し、福田が突き刺す——。“闘い”を標榜する彼女たち。戦闘能力の高い三つ巴が鬩ぎ合う。NEO JAPONISMにメインボーカルは存在しない。それぞれが躍り出ていくパートで、楽曲が、グループが、異なる表情を見せる。滝沢が台に上がり咆哮すれば、海外バンドのフロントマン顔負けのカリスマ性でオーディエンスの士気を掌握し、辰巳が上がれば、凛とした美声を震わせながら気高き女神のごとき統率力で場を制していく。福田の戦士魂がみなぎるパッションは“正”にも“邪”にもなる。彼女の声量ある伸びやかな高音は大いなる希望を感じさせるが、しゃくりあげる声とギラついた中低音は危険な香りをも漂わせ、聴き手の背筋をゾクゾクさせる魔力を持っている。

福田みゆ<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)
ポスト
福田みゆ<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)

そうしたロックボーカリストさながらの3人がいる一方で、朝倉の真っ直ぐで少女性ある澄んだ歌声と、瀬戸の人懐っこさを感じさせる声が、NEO JAPONISMの像をアイドルとして整えていく。

ダブステップのリズムが伸び縮みしながら、彼女たちの強さが歌だけではないことを知らしめるダンスチューン「Call my name」。ほかメンバーと同じ動きをしていても、一際目立つのは朝倉のシルエットである。小柄ながら、誰よりもダイナミックに動かす四肢と艶のある腰つき、加えて独特のタイム感を持ったタメとトメに目を奪われる。最年少の瀬戸は5人の中で1番愛くるしさを放つ存在であるものの、久々に披露された極悪ハードコア「again」でのシャウト、エッジの効いたアクセントの強い歌唱といい、時折噛み付いてくる狂犬のような凶暴性にハッとさせられる。

強烈な個性と声色を持った5人が、NEO JAPONISMの他の追随を許さない強さを作り上げているのである。

朝倉あい<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)
ポスト
朝倉あい<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)

ロックバンド然とするアイドルも多い中で、純然たるアイドル性を忘れていないのもNEO JAPONISMの魅力だ。獰猛なモダンヘヴィナンバーだけではなく、煌びやかなポップソングも数多く存在する。「ジャンピンポ!!!!!」のポップなメロディとキャッチーな振り付け、これも大きな武器だ。軽快なリズムに合わせて両手を大きく掲げ振り乱しながら、フロアと一体になって歌い踊る。曲中に盛り込まれたメンバーとオーディエンスによる、ガチンコじゃんけん三本勝負に場内は先ほどとは違った熱気に覆われる。オーディエンス1人ひとりの出し手を確かめるようにフロアを見渡す5人は、序盤の鋭い面持ちから優しい表情に変わっていた。

NEO JAPONISM<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)
ポスト
NEO JAPONISM<LOVE & FIGHT>恵比寿LIQUIDROOM(2021年4月18日)

次ページ

  • 2
  • トップページ
  • レポート
  • NEO JAPONISM[ライブレポート]激闘とともに掴み取った光り輝く希望と誇り「夢に向かって逃げずに闘っていくことが、みなさんの明日を生きるための勇気になれば」