EMPiREとASPの攻めたロック、アンスリュームの狂騒、PUNKY RAD PINKで想起したバンドブーム｜「偶像音楽 斯斯然然」第55回「偶像音楽 斯斯然然」第55回

PUNKY RAD PINK　バンドブーム魂を呼び起こす

イベントで偶然目にしたPUNKY RAD PINK。思わず“俺たちの国境は地平線さ”と、BLANKY JET CITYのキラーチューン「PUNKY BAD HIP」に空目したわけだが、おそらくそれを意識したに違いない。こんなネーミングセンス、絶対カッコいいに決まってる。その予感は的中した。

HR/HMをベースとしたハードなバンドサウンド。80年代のジャパメタ混じりでバンドブームの匂いがビンビン香ってくる。ギターリフが抜群にカッコいいし、メリハリを効かせた緩急が刺激してくるバンドアレンジが心地よい。いい意味で泥臭い泣きメロもグッとくる。

キレの良いダンサブルなパフォーマンスを見せながら、ツインテールのメンバーのハスキー気味の太い声を中心に歌えるメンバーが揃っている。いわゆるラウド系のアイドルでもないし、近年の“ガールバンド”チックなものでもない。どこか懐かしいあの頃の“ギャルバン”や“レディースバンド”の雰囲気だ。それこそ、浜田麻里に本城未沙子、早瀬ルミナといった、H.M/H.Rイニシャルの歌姫を想起させる。スター性のある佇まいのブロンド髪のメンバーがだんだん寺田恵子に見えてきた。

「Liberation-解放-」20201206＠渋谷VISION

そんなステージに引き寄せられるように、前方へと足が進む。その途端、どこか聴き覚えのあるギターのアルペジオ……、このボイシングはまさか!?

JUN SKY WALKER(S)の「すてきな夜空」が始まった。

「すてきな夜空」20201206@渋谷VISION

ちょうど自分がエレキギターを手にした頃、必死に練習した曲だ。はじめて買ったエレキは森純太と同じ黒のレスポール・カスタムモデルだった。

こういうメロコアテイストの明るいパンクをアイドルがカバーすると、必要以上にポップになってしまう場合が多いのだが、安定感のあるボーカルと丁寧なハードロックアレンジで、原曲のよさを損なわずきちんとPUNKY RAD PINKの楽曲として、完成されている。ああ、我が青春のジュンスカがこういう形で聴けるとは。声出しOKの状況であれば、純太パートを思いきり叫びたい。心底そう思った。

この時は屋外ステージであり、環境的に万全とはいえない状況であったため、帰ってから音源やライブ動画をチェック。一際、歌で印象に残ったツインテールのメンバー、LULUがAnge☆Reveの元メンバーだったことに驚いた。そして、往年のZIGGY松尾宗仁を彷彿とさせるギターリフにグッときた楽曲のタイトルが「バッドボーイブギー」だった。最高じゃないか。

「バッドボーイブギー」20201206@渋谷VISION

初見の時は野外の特設ステージでベストな環境とは言い難かったため、後日、改めてライブハウスで彼女たちのステージを観に行ったが、やはりよかった。いいグループを知った。4月29日に1stワンマンライブを開催するようだ。昨年8月に始動したばかりで、まだまだこれからのPUNKY RAD PINK、今後注目していきたい。