CYNHN[ライブレポート]揺るぎなき決意と圧倒的な世界観で魅せたワンマンライブ「もっと上のステージも見たいし、私たちは全然まだ諦めていない」

CYNHN[ライブレポート]揺るぎなき決意と圧倒的な世界観で魅せたワンマンライブ「もっと上のステージも見たいし、私たちは全然まだ諦めていない」

CYNHN[ライブレポート]揺るぎなき決意と圧倒的な世界観で魅せたワンマンライブ「もっと上のステージも見たいし、私たちは全然まだ諦めていない」

CYNHNが、4月10日(土)に池袋harevutaiにて<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>を開催。限られたキャパシティでチケットも即完し、多数のファンが配信でも彼女たりのステージを見守った。本記事では、2部制となった同公演の中から2部の模様を中心としたオフィシャルレポートをお届けする。

CYNHNの有観客でのワンマンライブといえば、2019年9月23日に品川インターシティホールで開催された2ndワンマン<Pray for Blue>まで遡る。

コロナ禍に見舞われ、横浜ベイホールから配信された2020年7月25日の<CYNHN Streaming LIVE「Ordinary Blue」>は無観客での開催、2020年10月28日に今回のワンマンと会場を同じくする<Re Blue>もStreaming Liveと銘打たれたとおり、会場へ動員された観客はごく僅かで配信が中心のもの。

2020年はライブが実際に会場で観られる機会が非常に少なかったのがCYNHNだ。そんな中でも「水生」、「ごく平凡な青は、」、『#0F4C81(クラシックブルー)』と意欲作を世に送り出すことで出会ったファンたちの中には、このワンマンで初めてCYNHNのライブを目にするという人も少なくなかっただろう。

“CYNHNのステージ”に対する期待感と好奇心に溢れた状態で迎えられたのが、今回のワンマンライブ<Blue Spring>だ。

2部のライブは、(配信には流れないが)会場に“青春”にちなんだBGMが流れる中で、18時30分にスタート。

青のサーチライトとともに、1部で披露されたばかりの新曲「AOAWASE」の衣装に身を包んだメンバーが、ステージに静かに登場する。ライブ冒頭で彼女たちがステージに現れる瞬間はいつも、息を呑むような静けさがフロアを包み込むのを感じる。

1曲目は『#0F4C81』収録のmol-74提供の「氷菓」。綾瀬志希のブレスはライブ冒頭にも関わらず青く静かなクライマックスを迎えさせるようで、会場を一気に彼女たちの世界観に染め上げた。

2曲目は同じく『#0F4C81』収録の「夜間飛行」。CYNHNがデビュー前にバックダンサーを務めていたでんぱ組.incのピンキー!こと藤咲彩音が担当した同曲の振り付けでは、楽曲が持つ悠久を漂うような浮遊感をコンテンポラリーな動作とともに表現。指先まで細やかなダンスは、CYNHNの楽曲の中でも特に女性目線な同曲にぴったりなものだ。

3曲目「Redice」もコロナ禍でライブでの披露が少なかった楽曲。まだ新鮮に映る振り付けとリラックスした表情が印象的だ。

緻密なヴォーカルワークに愛聴者も多い「アンフィグラフィティ」に続いて、「雨色ホログラム」とポップなテイストの楽曲が続いていく。同曲の振り付けとメインヴォーカルを務める月雲ねるのラストのキメも、配信カメラにはきちんと捉えられていた。

「くもりぎみ」のイントロが流れると世界観は一転し、壮大なメロディが6/8拍子に合わせて響き渡る。CYNHNの楽曲はイントロからぐっと世界観に惹き込まれるものが多いのも特徴だ。

月雲ねる<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)
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月雲ねる<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)

ここでようやくMCへ。自己紹介と挨拶を済ませると、メンバー自らデザインに参加したツアーグッズにも言及。綾瀬志希も“早くない!?”と驚く中、ライブは後半戦に。

<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)
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<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)

ライブ後半は、『#0F4C81』から「インディゴに沈む」。同日1部で初披露されたばかりだが、草野華余子提供のエモーショナルなメロディがライブではより強調され、今後のCYNHNライブのキラーチューンとなることも予感されるパフォーマンスであった。ラストサビのユニゾンの儚さと力強さの共存は、CYNHNらしい圧巻なものとなった。

さらに続くのは『#0F4C81』の「イナフイナス」。編曲のケンカイヨシによる奇妙なギミック音が、ライブハウスの紫や赤の照明とメンバーの衣装の青と見事にマッチ。時折魅せる笑みからは、彼女たちがこの曲をとおして“不敵”な表現を身につけたことを感じさせ、綾瀬志希の“いくぞ!”という煽りは、この難解な曲ですら余裕を持って臨めている彼女たちの成長ぶりを証明するものであった。

綾瀬志希<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)
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綾瀬志希<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)

間髪入れずに瑞々しいディレイギターが投下されると、いよいよライブはクライマックスを予感させる。彼女たちの新しい代名詞となりつつある「水生」だ。ステージ上のメンバーの姿からはこの曲に対する自信の強さが表れ、歓声が挙げられなくても観客の興奮の高まりがびしびしと伝わってきた。

続く、「2時のパレード」で声を振り絞り解放されるヴォーカルは、例外なくこの日も聴衆を奮い立たせるエネルギーを持つものだった。

その後、本編最後の曲として披露されたのは、CYNHNのほとんどの楽曲を手がけている渡辺翔が作詞&作曲の新曲「AOAWASE(アオアワセ)」。

“大丈夫 そこに声があれば 大丈夫 笑って進める 大丈夫 知り過ぎた弱さも大丈夫だよ 大丈夫自分に言い聞かせて世界仰いだ”

切ないギターリフと健気なピアノの旋律に乗せて届けられた、“前へ前へ”という想いが込められたその歌詞は、彼女たち自身のことを歌っているようでありながらも、聴いている我々へ語りかけてくるようでもあり、胸を打つものであった。また、その力強いメッセージを聴衆へ見事に歌い届ける彼女たちは、ヴォーカルユニットを謳うに相応しいパフォーマンスを見せていた。

<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)
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<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)

拍手によるアンコールの呼びかけで、メンバーは青柳透デザインのTシャツで再登場。

ライブを終えた感想をはじめ、スタッフやファンへの感謝や今後の意気込みを各々の言葉で伝える。またユニットを代表して百瀬怜は“(2021年の)9月23日に3,000キャパを埋めたいと言っていたが、なかなかウマいようにいかないことが多くて。(ファンの)みんなが諦めちゃうんじゃないかと思っていて。私たちは諦めるつもりなんか全然ない。なんでもやりたいし、いろんなとこも行きたいし。3,000キャパだけじゃなくて、もっと上のステージも見たいし、私たちは全然まだ諦めていないので、みんなに諦めないでほしいなって思ってます”とメッセージを強く述べた。

最後の曲として歌われた「はりぼて」は、これまで何度も歌われ、CYNHNを知るたくさんの人に色鮮やかな想い出として残っている曲だろう。この日に歌われた「はりぼて」も、現体制での初のワンマンライブ2部制を無事に終え、未来への決意を述べた青柳透が涙したように、観た人が後に振り返っても心に残るものであったのではないだろうか。

百瀬怜<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)
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百瀬怜<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)
青柳透<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)
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青柳透<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)

なお、2ndワンマン以来、CYNHNのワンマンライブを彩り続けているのは、松多壱岱プロデュースの映像演出。多様な表情で魅せるCYNHNの楽曲たちを、より“青”色鮮やかに視覚化してステージを引き立てている。こちらにも目を向けると、より彼女たちの世界観に浸ることができるかもしれない。

“前へ前へ”とさらに我々を“未完”の青に会わせてくれる彼女たちの物語を、これからも完成まで見届けたい。

<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)
ポスト
<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>池袋harevutai(2021年4月10日)

<CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Spring」>

2021年4月10日(土)
池袋harevutai

<1部>
M1. イナフイナス
M2. 解けない界面論
M3. 氷菓
M4. 夜間飛行
M5. インディゴに沈む
(MC)
M6. wire
M7. タキサイキア
M8. So Young
M9. ごく平凡な青は、
M10. 2時のパレード
M11. 水生
EN
M12. AOAWASE

<2部>
M1. 氷菓
M2. 夜間飛行
M3. Redice
M4. アンフィグラフィティ
M5. 雨色ホログラム
M6. くもりぎみ
(MC)
M7. インディゴに沈む
M8. イナフイナス
M9. 水生
M10. 2時のパレード
M11. AOAWASE
EN
M12. はりぼて

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