
ネオジャポ福田の仮面ライダー、BiSとPARADISESからINUWASIまで“ソトバヤシデザイン”で繋ぐロックな新譜|「偶像音楽 斯斯然然」第52回
ネオジャポ福田の仮面ライダー、BiSとPARADISESからINUWASIまで“ソトバヤシデザイン”で繋ぐロックな新譜|「偶像音楽 斯斯然然」第52回「偶像音楽 斯斯然然」第52回
“エッジィな女戦士”と、当コラムで何度も評してきたNEO JAPONISMの福田みゆ。今回は、戦士感溢れる歌声が魅力の彼女が『仮面ライダーセイバー』の変身時のシステムボイスに抜擢されたことを皮切りに、フォトグラファーのソトバヤシケンタが衣装デザインを手がけているという共通項を持つINUWASI、BiS、PARADISESの新譜について、冬将軍が独自の視点で綴る。
INUWASI『Thanatos』 新たなフェーズに入ったことを高らかに示す

1月に開催された主催ライブ<GHOST>にて、これまでのダークな漆黒衣装から一変、白+水色の涼やかな色合いで正義のヒーローを彷彿とさせる衣装で登場したのは驚いたが、その時に初披露された新曲も、攻撃力の高い楽曲でありつつも、洗練されたサウンドが印象的だった。そんなINUWASIの2ndミニアルバム『Thanatos』がものすごくよい。3月16日リリースであるが、先行してストリーミング配信されている。ジャケットのアートワークは前作『Aquler』に続いて、ソトバヤシが描いたもの。

「バントシェンナ」の無機質なデジタルビートとシーケンス。方や、振りかぶって溜めてくるドラムのビートとダウンチューニングにより、ギター弦のたわみが感じられるビビッドなアンサンブルの人力感。デジタルとアナログの合わせ業が見事。サウンド面の分離感も心地よく耳に響く。
INUWASI - holy[MUSIC VIDEO]
「Hades」のダンサブルでスリリングな展開ながらも、時折入るハーフっぽいゆったり重いパートなど、モダンヘヴィネス好きのツボをついてくるリズムアレンジがたまらない。そして、この曲はゴリっと歪んだベースサウンドも気持ちよい。「in flames」のようなエモーショナルなメロディは、通常のロックアイドルグループであれば、+10くらいBPMを上げて攻めてくるであろうところをあえて抑え気味なのも好感触。
基盤となっているのは、メタル要素もあるインダストリアルなヘヴィミュージックでありながら、ボーカルが比較的素直な発声スタイルであるということも面白みのあるところ。いい意味での素朴さと少女性、透明感のある歌声が、メロディのよさを引き立てている。であるから「in flames」や「holy」のように唐突に入る転調も効果的。
以前から面白くなりそうなグループだと感じていたものの、メンバーの成長度合いを含めて、いよいよ新たなフェーズに入ったことを高らかに示すアルバムである。
INUWASI『Thanatos』
そして、ソトバヤシデザインといえばやはりWACKだろう。
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