欅坂、エビ中、ニジマス…Pop’n’Roll編集長と語る「ギターがカッコいいアイドルソング2020」30選［前編］｜「偶像音楽 斯斯然然」第47回「偶像音楽 斯斯然然」第47回前編

PRSMIN（ありぃ／元uijin）「world with mine」（鈴木編集長セレクト）

冬将軍：
元uijinのありぃプロデュースのグループですね。

鈴木：
これはありぃ自身が歌っていて、現在メンバーオーディションが進行中なので、どういうグループになるのかはまだわからないんですけど。単に曲がいいなって。uijinの制作陣が楽曲に関わっていくようですけど、これはRYO-Pさんの曲です。

冬将軍：
出た！　鬼才・RYO-P！

鈴木：
このピアノの入れ方とか、音の詰め込み方はボカロPっぽいなと思います。この曲に関しては、リズム隊もカッコいい。ベースにうねりがあって、バスドラムが好み。とにかく好み。ギターソロの最後のキメっぽいフレーズは、『地獄シリーズ』を作っていた自分の心に刺さりました（笑）。

ワールズエンド。「新世界RPG」（鈴木編集長セレクト）

冬将軍：
RYO-Pさんの詰め込み方といえば、やっぱりこの曲じゃないですか。情報量の暴力（笑）。このコラムでも何度か取り上げて深く掘り下げましたけど。

鈴木：
これはもうイントロ命って感じで選びました。

冬将軍：
この超有名リフを持ってくる勇気。しかも本編の歌とはまったく関係のないという（笑）。センスがすごい。

鈴木：
何気にベースも存在感のあるフレーズを聴かせていますよね。

冬将軍：
RYO-Pさんの曲はベースがヤバいです。アンスリューム「でんわにでんわ」、raymay「ファンキィパーティ」しかり、鬼のスラップ。

アンスリューム「でんわにでんわ」

raymay「ファンキィパーティ」

鈴木：
ベーシストなんですか？

冬将軍：
それが、ギタリストなんですよ。先日もWILL-O’のバンドセットライブにギタリストで参加してました。

アンスリューム「警察犬」（冬将軍セレクト）

冬将軍：
私が選んだのは、“奇才”の方のkatzさんですけど。こういう6弦ドロップチューニングのリフに弱いんですよ。

鈴木：
わかります。シンセの入れ方もカッコいいな。

冬将軍：
これは何度も言ってるんですが、katzさんはドラムがすごい。なんというか、タイムストレッチ（※音の高さを変えずに長さを変える編集機能）やベロシティ（※MIDI音源の音の強弱を決める数値）をいじりすぎちゃって生のグルーヴ感がなくなっちゃってるクリエイターも多いじゃないですか。でも、この人のドラムはわかってるんですよ。ドラムが前のめりなのに、弦楽器隊が後ろノリでそれを引き戻していったり。ドラムとベースとギターのタイム感がそれぞれ違う。

鈴木：
そうそう、ピッタリすぎちゃうと逆に気持ち悪いんですよね。生バンドを経験してないクリエイターと、経験しているクリエイターの差って、そういうところに出ますよね。

冬将軍：
テクニックだけじゃない部分ですね。“弾いてみた”系の人たちが弱いところってそういうところ。家で1人弾いてる分にはウマいけど、スタジオやライブでみんなで合奏するとサウンドメイク含めて、全然ダメっていうのはよくある話ですよね。アイドルは基本オケなんで、そういう生バンド感って必須ではないのかもだけれど、私はそれでもちゃんとグルーヴを感じられる曲やグループ、そこにこだわってるクリエイターが好きです。