欅坂、エビ中、ニジマス…Pop’n’Roll編集長と語る「ギターがカッコいいアイドルソング2020」30選[前編]|「偶像音楽 斯斯然然」第47回

欅坂、エビ中、ニジマス…Pop’n’Roll編集長と語る「ギターがカッコいいアイドルソング2020」30選[前編]|「偶像音楽 斯斯然然」第47回

欅坂、エビ中、ニジマス…Pop’n’Roll編集長と語る「ギターがカッコいいアイドルソング2020」30選[前編]|「偶像音楽 斯斯然然」第47回「偶像音楽 斯斯然然」第47回前編

2021年1発目の当コラムのテーマは、「ギターがカッコいいアイドルソング2020」。2019年版に引き続き、冬将軍と当サイト編集長・鈴木の対談形式で送る今回も、全2回にわたってギター&音楽愛が溢れすぎるがゆえのマニアックな内容に。本日はその前編をお届けする。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

新年あけましておめでとうございます。本年もこのコラム「偶像音楽 斯斯然然」をどうぞよろしくお願いいたします。

さて、2021年1発目は昨年“マニアックすぎてついていけない”、“細かすぎて伝わらない”と大好評(?)だった企画「ギターがカッコいいアイドルソング」2020年版。今回もPop’n’Rollの鈴木編集長を迎え、好き勝手に語り合っております。鈴木編集長とは、氏が楽器好きなら絶対にお世話になっているはずの某出版社に勤めていた頃からのご縁でして。LUNA SEA主宰<LUNATIC FEST. 2015>のオフィシャルブック『LUNATIC FEST. OFFICIAL DOCUMENT BOOK』制作の際に声を掛けてもらったのが最初でした。その後もお仕事させてもらいつつ、その対象がいつの間にかバンドではなく、アイドルになっていたという不思議な関係。

鈴木編集長はメタル速弾き野郎ですし、私はフォーク生まれのニューウェーヴ育ちなので、全然趣向は違うわけですが、その辺も選曲に表れているのか……!? 40代同い歳ギターヲタクのおっさん2人が語る「ギターがカッコいいアイドルソング」、前回より増し増しの全30曲、よろしくどうぞ。

冬将軍
空にお還りになられた赤い髪のエイリアン様の事務所や、“東のなんちゃら、西のうんちゃら”と言われた“西”の方のヴィジュアル系事務所等でA&R、ディレクター、マネジメントやらをやっていた音楽ものかき。好きなギタリストは布袋寅泰とロイ・ブキャナン。テレキャスターとビザールギターが好き。愛器は自作のテレキャスター。当コラム連載では偉そうにアイドル楽曲について語っているが、最終的には“かわいいは正義”だと思っている。

鈴木Pop'n'Roll編集長
音楽出版社で、超絶系教則本『地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ』シリーズ、BiSH、BiSのバンドスコアやPassCodeの写真集などの企画/編集を担当。退職後、BARKS編集部を経て2019年4月より現職。好きなギタリストは松本孝弘とマーク・トレモンティ。ということで、当然レスポール・タイプを愛用(ギブソンとPRS)。緩急のあるリズム展開とエモーショナルなメロディと金髪に気を惹かれがち。

LADYBABY「禊island」(冬将軍セレクト)

冬将軍:
昨年の、この企画でLADYBABYについていろいろ語りまして。それをメンバーさんやスタッフさんが見てくれて。そんなご縁もあって、ラストライブを取材させていただきました。

鈴木:
ちょうど年明けでしたよね。その時に初披露されたのがこの曲。

冬将軍:
これはPABLOさんの曲で、曲調もサウンドもめっちゃブルータルなんだけど、ちょっとおふざけが入った歌詞。めちゃめちゃヘヴィなのに“ザッツ・アイドル”というテイストを入れ込むのは、LADYBABYが極めたなと思っていて。その最終形態がこの楽曲だと思っています。

鈴木:
サウンドも本格的なヘヴィロックですからね。ライブでは、リズム隊がそれこそBATCAVEだし。

冬将軍:
wu-chy(BATCAVE, DEATHBONG, DETROX…)さんにYOUTH-K!!!(Dr/ex.BATCAVE, THE冠, AA=…)さんという、日本で1番ヘヴィなリズム隊。YOUTH-K!!!さん、手加減なくフルショットですもん。鈴木さんは、LADYBABYのライブを観るのは初めてでしたよね。どうでした?

鈴木:
声量がすごい。ドラムの遮音板(※“クリアソニック”に代表されるドラムセットを取り囲むアクリルの透明なパネル。ステージ上におけるドラムの生音を遮る役目で使用される)、使ってませんでしたよね。バンドセットでライブをやるアイドルの多くは使ってるし、アイドルじゃなくても使ってるバンドもいます。しかし、この曲、ドラムがすごい。このキックの感じ。

冬将軍:
メタル曲としてかなり優秀ですよ、音像含めて。なんといってもLADYBABYは音がいい。この後にBring Me The Horizonをかけても全然大丈夫。

Bring Me The Horizon「Kingslayer ft. BABYMETAL」(鈴木編集長セレクト)

鈴木:
これ、アイドルじゃないんですけど(笑)。ただ、BABYMETALが歌ってるというだけで選びました。

冬将軍:
90年代インダストリアルなミクスチャーの雰囲気がありつつ、BABYMETALに寄せている感じもする。

鈴木:
これが収録されているアルバム(『Post Human: Survival Horror』)を聴く前に、“Linkin Park『Hybrid Theory』感がある”という感想を見かけて。何が似てるというわけではないんだけど、質感が似ているなと。90年代リバイバルみたいなものが数年前からあるじゃないですか。それで00年代リバイバルみたいなものもあるのかなって思ってるんですよ。だからアイドルの流行りもそっちにいくのかと。昨年の対談でも触れましたけど、BABYMETALもジェントとかじゃなくて、割とそっちにいったなという印象があったし。だから流行が循環するという部分では面白いんじゃないのかな。buGGとかベンジャスもそうなんですけど、メロコアっぽい曲が増えていて。2020年、Blink-182のトラヴィス・パーカーがプロデュースしたMachine Gun Kellyの最新作『Tickets To My Downfoll』が、全米1位を獲得したじゃないですか。このアルバムは、超懐かしいメロコア要素全開なんですけど、そういう時代の戻りみたいなものを感じるんですよ。

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