【ソロアイドル対談・後編】寺嶋由芙＆里咲りさ「自分を主人公にしたストーリーを作っているような感覚で活動している」寺嶋由芙＆里咲りさソロアイドル対談（後編）

ポスト

あんまり大人路線に行くとアイドルじゃない感じがしている（寺嶋）

――里咲さんが活動を続けているモチベーションは？

里咲：
いろいろな理由があるけど、やっぱり聴いた人の日常に寄り添えるような曲を作りたいっていうのが一番です。自分がそうやっていろんな歌に支えられてきたから。もともと何かを作ることが好きだったので、本を書いたりとか、曲を書いたりってことはずっとやってきていて。そのアウトプットの仕方が、最初はアイドルとして曲を書くことだったという。これからは、いい音楽を書いて、ヒット曲も作りたいです。

――そのヒット曲は、自分名義ですか？　それともほかの方への楽曲提供でもよい？

里咲：
んー、最初は里咲りさとして出せたら嬉しいですね。自分の活動を物語みたいな感じで進めることにしっくりきていて、例えばワンマンが決まった時に、そこに向けて自分を主人公にしたストーリーを作っているような感覚でやっています。そうやって1つひとつのストーリーを完成させるっていうのが楽しいんですよ。成功だったとか、失敗だったとかを含めて、毎日、物語を書いているのと同じ気持ちです。私は何かを書いたり、作ったりっていう感覚で活動しているのかもしれない。けっこう区切りも作りやすいですね。ここまで行ったら“第1巻・完”みたいになります。だからZepp（DiverCity公演／2017年9月22日）が終わった時に“第1巻・完”って思って、第2巻どうしようかな？って思いました。

寺嶋：
その感覚は私にもあるかもしれない。私はワンマンよりもアルバムを1個作り終えると、区切りがついた感覚になるかな。そこに向けて意識して流れを作っていることもあるし、あとからそういうことだったんだってこじつけることもあるけど（笑）、アルバムを作っている時はけっこう区切りを感じたりします。

里咲：
アルバムを作り終わったあとって、“よし終わった！”って気持ちが落ち着いてしまうタイプですか？　それとも、次の作品に向けてすぐに気持ちを切り替えられますか？

寺嶋：
いや、終わったってなっちゃう。それで、次どうしたらいいか？っていうのは、毎回悩む。

里咲：
方向性に悩んだりしないですか？　私はアルバムを出すたびに、全然違うものを作っちゃたりするので、新しいことを模索しがちなんです。そういうのはあんまりないですか？

寺嶋：
う〜ん、方向性……。ずっと同じになっちゃってないかなっていうのは、気になるかもしれない。

里咲：
先日のシングルもそうですが、新しいことをやって、みんなを楽しませようって挑戦をされ続けている感じがします。

寺嶋：
うん。1人だから、新しいことをやらないと変化が見せにくいっていうのはあるかな。今さら背が伸びるわけでもないし、メンバーの入れ替わりもないから（笑）、なんか成長したねってところが見せづらいよね。だから、曲調だったり、衣装だったり、振り付けだったりを変えて、ちょっと大人っぽくなったねとか、今までにないものだったねって感じさせるようにしたいっていう気持ちはいつもあるかな。毎回、今までやっていないことは何だろう？って考えたりはしますね。

里咲：
コンセプトなど、アルバムを作る時に参考にするものはありますか？

寺嶋：
コンセプト、う〜ん、なんだろう……。曲はわりとディレクターさんにお任せのところはあるから。1stアルバム『わたしになる』がわりにゆっふぃー入門編感のあるアルバムだったので、2ndアルバム「きみが散る」は、それこそ結婚式みたいな何かが完結する雰囲気にしたくて、大人になったゆっふぃーがお嫁に行くまでみたいな感じにしたかな。

里咲：
物語ですよね。

寺嶋：
だから物語はけっこう意識していますね。ただ、2ndアルバムで完結しちゃっているから、もし次出せるとしたら、それまでに何をやっていたらいいんだろうってことは、今すごく考えているところだったりする。このままあんまり大人路線に行っちゃうとアイドルじゃない感じがしているし。

里咲：
お洒落すぎるとかですか？

寺嶋：
そう。あとは、年齢に見合った大人曲を歌い続けていると、ただの大人になってしまうから。それはちょっと避けたい。

里咲：
アイドルをやる上で、いわゆる年齢的な若さというか、フレッシュさみたいなのは意識されてるんですね。

寺嶋：
キャピキャピ感ね。でも、そこに行き過ぎると痛いしみたいな（笑）。そのバランスが難しいなって思う。自分が好きだった当時のモーニング娘。のメンバーさんって、たぶん20歳前後だったと思うから、今の私のような年齢のメンバーがほぼいなかったじゃない。だから、この年齢になって、どういう気持ちでやればいいのかはけっこう考えますね。

里咲：
それを探しているところなんでしょうか？

寺嶋：
一番近くで見てくれているヲタクは、私がどんなことをしてもよい方に解釈してくれると思うけど、それ以上の人に“寺嶋由芙”を届けるにあたって、客観的に私を見た時に痛いって思われるものとかダサいって思われることをやるのはやっぱりダメだから、そこは考えなきゃなって思います。まさに今、シングルの制作期間なので、いただいた曲をいろいろ聴きながら、どれだったら今一番ハマるだろうっていうことは考えたりしています。