スパガ、わーすた、豆柴の大群　アイドル戦国時代からの10年を繋ぐエイベックス“iDOL Street”の潮流｜「偶像音楽 斯斯然然」第45回

豆柴の大群　エイベックス×WACK稀代のポップネス

このアイドル戦国時代から続く、iDOL Streetの潮流は思わぬところに発展した。豆柴の大群、言わずと知れたWACK所属のグループである。エイベックスからのメジャーデビューはBiSH、EMPiREの流れかと思いきや、iDOL Street出身であり、SUPER☆GiRLSの後輩で、わーすたの同期メンバーであるナオ・オブ・ナオと、さらにその下のカエデフェニックスが在籍。すなわち2人にとって見れば、iDOL Streetを離れて数年、エイベックスに堂々たる凱旋だったことは、以前詳しく触れている。

現に、アートワーク周りもプロモーションの仕方にしてもWACKっぽさはあるものの、王道エイベックス的なメジャー感を全面的に打ち出している。

クロちゃんプロデュースという突飛な出自はいまさら説明することでもないが、それを逆手に取るかのごとく、これまでのWACKでは聴いたことのないようなサウンドメイクを武器に、稀代のポップネスグループとしての地位を確立している。

来年2021年1月20日にリリースされるメジャー1stアルバム『まめジャー！』から、リード曲「お願いキスミー」と「まめのうた」「MOTiON」の3曲が現在ストリーミングサービスにて先行で公開されているが、これまた新しいタイプの曲である。特に「お願いキスミー」はポップ性を全力で振りかざしていくような曲であり、これは“キャッチーだけどポップにならない”ことを貫いてきたと思われるWACKの中でもかなり異質だ。改めてポップネスに振り切ったグループであることを痛感した。まだアルバムの全貌は明らかになっていないが（クロちゃんが歌っているものは公開されている）、なんだかとんでもない怪作になりそうである。

※最後にちゃんとメンバーパフォーマンスの「お願いキスミー」があります

いち時代を築いたエイベックスのiDOL Street、さまざまなアイドルグループが出てくる中で、その影響力は今なお大きいのである。