＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞、寺嶋由芙編集長直属「かわいい特派員」イベントレポート＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞かわいい特派員レポート

人と人とを結び繋げた“かわいい”

取材・文：たんぐすてん

2018年12月21日、平成最後のクリスマスを目前に控えた華の金曜日、新宿ReNYの前には人々が列を作っていた。行列の先頭から引き返してくる人々が手に持っているグッズには、何やらかわいらしい白いキャラクターが描かれている。寺嶋由芙公式キャラクター“だいふく”だ。そう、ここ新宿ReNYは、寺嶋由芙さん主催のイベント＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞の会場である。列を作る人々はグッズやCDを求めるファンたちであった。

＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞というイベント名は、サンリオピューロランドのパレード内にて使用されている楽曲「KAWAII FESTIVAL」をリスペクトしたものだ。サンリオ好きを公言している寺嶋さんならではのイベント名である。ちなみに正式に許可を取得しているらしく、会場内では常に「KAWAII FESTIVAL」が流れていたのが非常に印象的であった。

このイベントは名前からも察せる通り、“かわいい”をテーマにしている。寺嶋さんが考えるかわいい出演者を呼んでフェスをやろうというイベントだ。出演者は以下の通り。

・寺嶋由芙
・妄想キャリブレーション
・虹のコンキスタドール
・二丁目の魁カミングアウト
・原田珠々華
・rionos
（敬称略、上記並び順は出演発表順による）

出演者は女性アイドルだけに留まっておらず、寺嶋さんの考える“かわいい”が決してどこかのジャンルに固執したものではないということがよくわかるラインナップだ。

会場への入場後、まず私の目に飛び込んできたのは、机の上に並べられた大量の『マウントレーニア』であった。念のために書いておくが、ここは新宿ReNYであってマウントレーニアホールではない。寺嶋さんはPop'n'Rollの企画にて製造元の森永乳業さんに取材をしたこともあるほどのマウントレーニア愛好家であり、今回はその繋がりでケータリングをしてくれたようだ。

そんなマウントレーニアなロビーを抜けてホールに入ると、ステージ上に掲げられた＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞の巨大フラッグが私を出迎えてくれた。寺嶋描き下ろしの達磨や鶴、犬張子などがあしらわれており、どことなく正月感のあるめでたいデザインだ。加えて、フロアを囲むように取り付けられた液晶モニタには、＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞の文字がきらびやかに流れていた。どこか懐かしく感じられるこの演出は、寺嶋さんのキャッチコピーの“古き良き時代”や新曲「君にトロピタイナ」を彷彿とさせた。

開演時間が間近になると、突如ホール内に寺嶋さんの声が響き渡った。事前アナウンスのようだ。コラボなどで忙しいにも関わらず、こういった気遣いをできるのは流石だと感じる。内容としては、おおむね禁止事項を読み上げるものであったが、ロウソク持ち込み不可などのちょっとズレた内容に寺嶋さんがツッコミを入れたり、それに対して客席から残念がる声が上がったりするなどし、会場の笑いを誘った。

事前アナウンスが終わると、時刻はすでに18時を少し過ぎていた。事前アナウンスのおかげか、客席の準備は万端のようだ。すると、「君にトロピタイナ」の衣装を身にまとった寺嶋さんがステージ上に姿を現した。いよいよ、＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞の開幕だ。寺嶋さんが登場するやいなや、寺嶋さんの愛称である“ゆっふぃー”コールが次々と叫ばれた。寺嶋さんからはこれから始まる＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞について語られ、特に出演者に関しては“褒めていただきたい”と語っていた。

原田珠々華

そんな出演者のトップバッターは、寺嶋さん曰く“全人類の永遠の初恋”である原田珠々華さんだ。寺嶋さんと入れ替わりで登場した原田さんは、赤色チェックのワンピースを身にまとい、ポニーテールで軽く髪をまとめ上げていた。

原田さんは軽く自己紹介を済ませると、デビュー曲である「Fifteen」と先日のワンマンで披露したばかりだという「聞いてよ」を連続で披露した。自ら書き上げた詞を紡ぐその歌声は、とても透き通っており今にも恋に落ちてしまいそうなほど魅力的なものであった。

その後はMCが苦手だと語りつつも、クリスマスの話題に宣伝を混ぜたユーモアあるトークを行い、会場の笑いを誘った。このMC中、何度か原田さんのはにかむ姿を見られたが、このはにかみ笑顔こそ、まさに初恋の象徴と言っても過言ではないのではないだろうか。

そして、冬になったら思い出してもらえるような曲になってほしいという言葉とともに「ねがいごと」を、ぜひともみなさんも一緒に歌ってほしいと「ハジマリのオト」を歌い上げた。「ハジマリのオト」では、“いよいよ、みなさんの出番となりました”“恥ずかしがらないで”などと客席を煽る場面も見られ、それに応えたファンたちに最後には“ありがとう！”と感謝の意を示していた。

原田さんは全曲を歌い上げるとステージ上から一旦退場したが、すぐに寺嶋さんに手を引っ張られながらステージへと戻ってきた。コラボの時間だ。寺嶋さんはコラボ曲について、以前に弾き語りの動画を上げてくれていたことが嬉しかったと語った。寺嶋さん、原田さんのファンの方であればすでにお分かりであろう「初恋のシルエット」だ。原田さんがまさに動画と同じように弾き語りをする中、寺嶋さんはハモりをメインとしてコラボレーションを行った。こういった決して自分が出すぎず、相手を尊重したコラボの仕方は、実に寺嶋さんらしいと感じる。

コラボを終えて原田さんがステージ上から退場すると、寺嶋さんはマウントレーニアの話へと話題を移した。ケータリングを行ってくれたマウントレーニアへの感謝の意を示しつつも、早い者勝ちだからガンガン飲んでほしいと会場を煽った。そして、飲んだ際にはぜひとも“#いまここしあわせ”と“#寺嶋かわいいフェスティバル”を付けてツイートしてほしいと観客に呼びかけていた。

虹のコンキスタドール

次なる出演者は、虹のコンキスタドールだ。今回の出演者の中で最も人数の多いユニットである。おなじみのoverture（登場SE）とともに登場すると、「女の子むてき宣言!」「THE☆有頂天サマー!!」「きみの気持ち教えて」「パウダースノーランデブー」の4曲をノンストップで披露した。アップテンポでノリやすい楽曲と大人数で行うフォーメーション変化が非常に魅力的だ。今回のセトリに対し、リーダーである的場華鈴さんは普段はワンマンでやるような曲をセトリに組み込んだと語っていた。

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そして、5曲目は待望のコラボ曲である。メンバーの“ゆっふぃーさん！”という掛け声とともに、寺嶋さんは虹コンの衣装で姿を現した。普段とは違うフリフリのかわいらしい衣装を着た寺嶋さんを見たファンたちからは、大きな歓声が上がった。寺嶋さんは“前にでんぱが着ていたのをバカにしていたら、自分が着る羽目に……”と恥ずかしそうに感想を漏らしていた。そして、コラボ曲はお待ちかねの「トライアングル・ドリーマー」だ。普段はソロでフォーメーションが存在しない寺嶋さんだが、人数の多い虹コンに混じっても完璧にやり切っており、そのポテンシャルの高さを見せつけてくれた。

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rionos

3番目の出演者は、虹コンとは打って変わって静かな曲とともに登場した。rionosさんだ。デビュー曲の「ハシタイロ」、そして「百年のメラム」を続けて歌い、静かなるも力強さを内に秘めたその歌声で会場を魅了した。その後のMCでは、実は初ライブであったことを告白。ライブ後にはCDお渡し会があるとのことであったが、本人はお渡し会自体初めて聞いたようで、常に疑問系で話されていたのが非常に印象的であった。

そんな天然な一面を見せくれたrionosさん、次はコラボの時間である。rionosさんの呼びかけに合わせて登場した寺嶋さんは、rionosさんと思い出話に花を咲かせた。2人は寺嶋さんのディレクターである加茂啓太郎さんの“アイドルが売れるためにはいいサウンドプロデューサーが必要”という考えをきっかけに出会ったことや、rionosさんのデビューが寺嶋さんきっかけで声がかかったことなどを語ってくれた。

そんな2人がコラボする曲は、クリスマスの時期にぴったりの寺嶋さんの楽曲で、rionosさんが作曲をしている「背中のキッス」だ。寺嶋さんとrionosさんはメインボーカルとハモりを交互に歌い上げつつ、間奏では普段は寺嶋さん1人で行っているツリーの飾りつけの振り付けを2人で行うなど、コラボならではの演出を見せてくれた。

二丁目の魁カミングアウト

rionosさんの出番が終了し、イベントも折り返し地点となったこのタイミングで、会場内にアナウンスが流れた。“ピンポンパンポーン、＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞にご来場のみなさま……”と始まったのは、そう、二丁目の魁カミングアウトだ。「耳をすませば」とともに登場した4人は、そのまま「まるもうけ」「青春は何度でもやり直せるなんて嘘だ」「病める時も健やかなる時も」の4曲を連続で披露した。先ほどまで静かにライブを見守っていた女性たちが、いつの間にか客席前方で拳を振り上げている光景は、二丁魁ならではと言えるだろう。

その後のMCでは“ゲイアイドルで1番かわいい私たち”と自己紹介をしつつ、“私たちの次にかわいい由芙ちゃん！”と早速寺嶋さんを呼び込んだ。ステージ上に5人が揃うと“まじめなアイドル！　まじめにアイドル！　まじめにゲイアイドル！　二丁目の寺嶋由芙です！”とコラボユニットの紹介を行い、会場の笑いを誘った。とてもメンバーが5人いるとは思えないユニット名だが、そんな二丁目の寺嶋由芙が披露してくれたのは、「シワの数だけ被GAY妄想」だ。二丁魁と言えば、ミキティー本物さんによる印象的な振り付けがあるが、このコラボでは寺嶋さんがメンバーの上に腰を掛けて腹筋をするといったような、普段のライブではなかなか観ることのできないものを観ることができた。

妄想キャリブレーション

イベントも終盤に差し掛かった5番目の出演者は、妄想キャリブレーションだ。5人はおなじみのovertureとともに登場すると「妄想が止まらない」「YOUをちぇっくします」を連続で披露し、会場を盛り上げた。

コラボの時間となって登場した寺嶋さんは、「天使のテレパシー」の衣装を身にまとっていた。“このために新しい衣装を作ってもらって……”と語っていたが、実は今回妄キャリが着ている「桜色ダイアリー」の衣装とは、色違いの同じ生地を使っているらしく、非常にユニット感のある見た目となった。寺嶋さんはコラボの練習時に“エッチに踊って”と言われたらしく、このコラボが一番緊張すると語った。そんな妄想キャリブレーションもとい寺嶋キャリブレーションが披露したのは、「悲しみキャリブレーション」だった。歌い終わった後の寺嶋さんは、“なんちゃらテーション（「悲しみキャリブレーション」で発動する特殊MIXのこと）をこっち側で聴けてよかった”と語ってくれた。

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コラボを終えて寺嶋さんが退場すると、話題は活動終了の話へと移った。すでにご存知の方も多いだろうが、妄キャリは2019年2月23日に活動終了することを発表している。それに伴い、2月13日にはニューシングル「爆アゲ↑バンザイ!!」を発売することも決定している。その新曲に関して、星野にぁさんは“めちゃくちゃいい曲”と語っており、最後はその「爆アゲ↑バンザイ!!」と「激ヤバ∞ボッカーン!!」を披露して、出番は終了となった。

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寺嶋由芙

そして、ついに＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞も残すところ1組の出演者となった。パレード感のあるキラキラとしたovertureとともに登場したのは、もちろん寺嶋由芙さんだ。「君にトロピタイナ」の衣装を身にまとい、手には当日発売したばかりの“はじめてのかわいいペンライト”が持たれていた。まず、披露されたのは「ねらいうち」だ。寺嶋さん屈指のアゲ曲であり、一瞬にして寺嶋さんのファンたちのボルテージは最高潮へと達した。

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1曲歌い上げると、寺嶋さんは改めて自己紹介を行い、自身初のペンライトに関して“1人なのに18色もある、なんてこった”と感想を漏らした。2曲目は二丁魁のミキティー本物さんが振り付けをしてくれた「わたしになる」を、そして3曲目は2018年10月に発売したばかりの「君にトロピタイナ」を連続で披露した。

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その後のMCでは、次のシングルの話題となった。すでに来春発売が発表となっているニューシングル、どうやらついにリリース日が決まったようだ。寺嶋さんは“リリース日が知りたい人は（ペンライトを）赤く光らせて！”と、早速ペンライトを活用してみせていた。そして、発表された日付は2019年4月17日。「君にトロピタイナ」からちょうど6ヵ月後となる発売日であり、10枚目のシングルとなる。

そんな喜びも束の間、寺嶋さんは次の曲がラストだと語った。ファンからは残念がる声が多く聞こえたが、そんな反応に対して寺嶋さんは、＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞のvol.2ができるように頑張ると語ってくれた。寺嶋さん最後の曲は、rionosさん作曲の1曲。寺嶋さんは“感謝を込めて”と語り、ソロデビューシングルである「#ゆーふらいと」を歌い上げた。

すべての出演者の出番が終わり、寺嶋さんは今回のイベントに関して、サンリオさんが協力してくれていたことを明かした。実は＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞のタイムテーブルには、各出演者の出番以外に“オールラインナップ”という時間が用意されていた。そう、この時間はこの曲のためにあったのだ。寺嶋さんの掛け声とともに「KAWAII FESTIVAL」のメロディが会場内に響き渡った。

寺嶋さんがピューロランド外のイベントで「KAWAII FESTIVAL」を踊るのは、2017年の生誕イベント以来だ。寺嶋さんがとても楽しそうにキレキレのダンスをするところを観られる最高の楽曲だ。曲が2番に差し掛かると、舞台袖から今回の出演者が順に登場した。いよいよ、＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞もクライマックスだ。

ステージ上には人、人、人。今までの寺嶋さん関連のイベントでは、ゆるキャラで埋め尽くされることはあっても、人だけでこんなにもステージが埋め尽くされることはなかったのではないだろうか。活動5周年を迎えたソロアイドル寺嶋由芙の新たな可能性を垣間見ることができ、私はその期待に胸を躍らせた。

＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞が終了すると、各出演者の感想タイムとなった。虹のコンキスタドールは、寺嶋さんが虹コンの衣装を着てくれたことがよかったと語ってくれた。原田さんは、いつの間にか寺嶋の「ふへへへへへへへ大作戦」の衣装に着替えており、“（寺嶋さんから着てほしいと頼まれて）恥ずかしいけど、ゆっふぃーさんのためなら……”と感想を漏らした。rionosさんは初ライブであったため、とても緊張したと語った。寺嶋曰く、実は虹コンの鶴見萌さんがrionosさんのファンであったらしく、舞台裏でいつの間にか仲良くなっていたという裏話も飛び出た。二丁目の魁カミングアウトは、“かわいいを吸収して、世界で1番かわいいゲイアイドルになりました！”と力強く語ってくれた。妄想キャリブレーションは、コラボにてエッチな寺嶋を見せることができたいい役割だったと語り、会場の笑いを誘った。

最後には出演者と観客の写真撮影が行われた。その際にも寺嶋さんは“さんかっけーになってほしいそうです”と虹コンの「トライアングル・ドリーマー」に掛けた言葉を言うなど、最後までユーモアを忘れず、主催者としての務めを果たしていたのは流石だと感じた。

退場時の挨拶では、寺嶋さんは関係者や出演者への感謝の意を示しつつ、最後には“お集まりいただいたヲタクのみなさん、ありがとうございました”と観客もといヲタクへの感謝の意も示し、寺嶋さんは深いお辞儀とともにステージを後にした。

無事に大団円を迎えた＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞。寺嶋さんにこのイベントを主催してよかったことを聞いてみたところ、みんなが仲良くなっていたことがよかったと語ってくれた。普段のイベントでは、関わることがないかもしれない出演者たち。特にrionosさんはライブをすること自体が初めてであり、寺嶋さんがこのイベントを企画しなかったら、私たち観客は生の歌声を聴くことはなかったかもしれないし、虹コンの鶴見萌さんも出会いを果たすことはなかったかもしれない。そんな“かわいい”が、人と人とを結び繋げた＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL＞。ぜひとも2回、3回と回を重ね、寺嶋さんの考える“かわいい”が、より多くの人に伝わることを期待したい。