NEO JAPONISM[NATSUZOME2020 Legendライブレポート]気高き5人が野音に刻んだ圧倒的な強さ
NEO JAPONISM[NATSUZOME2020 Legendライブレポート]気高き5人が解き放った圧倒的な強さNEO JAPONISM<NATSUZOME2020 Legend>ライブレポート
夏を初め、夏を染めるアイドルイベント<NATSUZOME>が、2020年10月18日に日比谷野外大音楽堂にて、<NATSUZOME2020 Legend>を開催した。天候にも恵まれた秋空の下、アイドル11組がそれぞれの強い個性を発揮しながらステージを鮮やかに彩った同イベントから、本記事ではNEO JAPONISMのライブレポートをお届けしよう。
NEO JAPONISM<NATSUZOME2020 Legend>(2020年10月18日/日比谷野外大音楽堂)
地鳴りのような轟音、不穏な警告からの軽快なリズムに変わる「NEO START」が鳴らされると、赤と緑を纏った5人が颯爽とステージ上に登場する。
“NATSUZOME、盛り上げにきました! 秋やけどねぇ〜!”
滝沢ひなのの、彼女らしい挨拶から一転、ノイズ混じりのリズムに呼応して5人は臨戦態勢へ。NEO JAPONISMのステージは「Subliminal」で始まった。デジタルとバンドが入り乱れる重心の低いラウドなサウンドがけたたましく響き渡る。マンチェスターあたりのロックバンドのフロントマンが如き佇まいと野太い声で先導していく滝沢と、柔と剛に艶を備えた辰巳さやかが一気に会場の空気を掌握し、瀬戸みるかが不意に斬り込んでくる。朝倉あいが器用にグループのカタチを整え、20歳になったばかりの福田みゆが染め立てのピンク髪を靡かせながら、女帝オーラたっぷりによく通る声で聴く者をねじ伏せていく。ダークな雰囲気から張り詰めた緊迫感を重ねていき、解放的なサビへと向かっていく様が圧巻である。
“ぶち上げて行こうぜぇー!”
そう高らかに滝沢が叫ぶと、続け様にストロングチューン「Fight For The Right」を畳み掛ける。瀬戸が結っていた髪をほどいたのは、彼女なりの起爆スイッチが入ったようにも見えた。タイトなリズムに合わせた統制の取れた機敏な動き、輪郭のはっきりとしたヘヴィサウンドに乗る凛とした歌声、これぞまさにNEO JAPONISMの強さというべきものを魅せつける。5人が横一列に並び拳を突き上げた、無敵の陣形——。“闘う”を標榜する彼女たちの前には、もはや敵などいないのかもしれない。たとえ相手がコロナであっても怯むことなく、配信に軸足を置いた攻勢で着実に成長してきたのだ。楽曲の最後、その場から去りゆくように後ろに下がり、振り返った彼女たちの表情は確かな自信に満ち溢れていた。
幻想的なイントロから始まった「ゆるゆらオヤシロガール」。和情緒溢れるメロディと敵わぬ片想いを綴ったロマンチシズムの幽玄世界が野音の秋空に響く。「Call my name」では伸縮するリズムに合わせ、自在に変化していくフォーメーションで観客を惹きつけていく。どの楽曲においても、歌中のみならずダンスの山場を間奏に持ってくるのがNEO JAPONISMの妙。折り重なっていく5人が紡ぐコレオグラフィは、狂騒と静寂をもたらした波が砕けて散っていくように、実に奥深いゆらぎを生んでいくのだ。
滝沢の突き抜けていく歌声で始まった「sky」。流麗なピアノの旋律に乗せて辰巳、朝倉が丁寧に歌い継いでいき、昂然たるフィナーレへと向かっていく。肩を寄せ合って歌うステージの5人を称えるように、客席から多くの右手が挙がった。ラストで5人それぞれが翳した右手の先には何があるのだろうか。あいにくこの日の野音の空は曇り空であったが、彼女たちにとっての“これからも続いていく空”はきっと晴れやかなものであるに違いない。
NEO JAPONISMの圧倒的な強さを思い知らされた25分間は、あっという間に終了した。彼女たちがかけた“最後の魔法”は醒めぬままに。
NEO JAPONISM<NATSUZOME2020 Legend>
2020年10月18日(日)
日比谷野外大音楽堂
SE
M01 Subliminal
M02 Fight For The Right
M03 ゆるゆらオヤシロガール
M04 Call my name
M05 sky
MC