津野米咲の稀代な作家性と、≠ME、PIGGS、群青の世界……期待の可能性 5選｜「偶像音楽 斯斯然然」第42回

■群青の世界
汚れなき青の透明感

名前とその存在はなんとなく知っていたものの、先日の＜アイドル甲子園＞で初めて観た、群青の世界。音楽性云々やら、歌唱力が、パフォーマンスが、という理屈抜きで、アイドルという汚れなきピュアな存在に思いっきり心を揺さぶられてしまった。

群青の世界 - メロドラマ (Live Music Video)

48グループや坂道シリーズに見られるような普遍的なアイドルポップスを、合唱的アプローチでなく、個を生かしたメンバー歌唱で紡いでいくとこうなるのかと感服。後で調べてみれば、プロデューサーのみおＰは、学生時代から秋元康がプロデュースするアイドルグループに魅せられた、ということで納得。

群青の世界 - 夢を語って生きていくの (Live Music Video)

さらには、豪奢なアレンジというわけでなく、しっかりとしたドラムを基盤とした比較的シンプルなバンドサウンドでガッチリ固めているのも、私の琴線に触れた部分である。

ピュアな透明感と少女性を保ちながらも、ビシッとした完成度でキメている。にも関わらず、これからの成長をも感じさせる余韻を残していることも、このグループの大きな魅力だ。

■≠ME
指原プロデュースの真髄

48グループ繋がりというわけではないのだが、指原莉乃プロデュースの≠ME。以前、=LOVE「CAMEO」の素晴らしさはこの連載で幾度か触れたのだが、それもあって、=LOVEの魅力に気づき、とくに野口衣織の精確な歌唱力と付随する諸々の才能に惹きつけられ、彼女の動向を軸にチェックしていたのだが、ちょうどこの記事を執筆している最中に投下された、彼女のヲタク視点ドMツイートに大笑いした。

“何をそんなに（笑）”とリンク先の動画を観てみれば……、“世界観も衣装も楽曲もめちゃ好き！　踏まれたい！”と、彼女とまったく同じことを思ってしまった……なんだか負けた気がするな。加えるならば、時折挟み込まれる架空送電線の鉄塔のシーンも巨大建造物マニアにはたまらないものがある……、“送電鉄塔×美少女”という新たなフェチズムが……。

≠ME （ノットイコールミー）/ P.I.C.【MV full】

メロディに重きをおいた言葉の羅列とアンニュイにしている日本語発音しかり、猫撫で声風の語尾の処理といい、「CAMEO」に通じるK-POPテイスト。サビを用いずキメに集約させる、めくるめく展開で隙を与えず、攻めに攻めた3分40秒の短期決戦。それでいて、CメロDメロなどと言っていいのか不明だが、間奏後にきちんと山場を持ってきて（MVタイム2:21〜）、J-POP的なメロディアスな歌い上げもしっかりある（2:38〜）。こんな完璧曲、誰が作ったんだと思えばTWICE楽曲を手がけるチームだった。

≠ME、今回はじめてちゃんと聴いたのだけれど、スキルが高い。まだメンバーがどうの、というところまではわからないのだが、ちゃんと掘っていきたい。

それにしても、私は心が汚れているので、サウンドプロデューサー以外が手がけるプロデュースと聞くと、実際どこまでやってるんだ？と懐疑的にもなるのだが、指原莉乃のプロデュースは本物かもしれない、と今さらながら思った。音楽的知識があるわけではないだろうが、感覚的センスが鋭いんだろうなと。