WILL-O’、raymay、ワールズエンド。にアンスリューム　鬼才RYO-Pと奇才katz　気鋭のサウンドクリエイター特集＜後編＞｜「偶像音楽 斯斯然然」第41回

ワールズエンド。の場合

ワールズエンド。のRYO-P曲は先日取り上げた「新世界RPG」。

20センチュリーでスメルズライクなリフに始まり、ゲームミュージックライクに次々と移り変わっていく楽曲展開。デジタルっぽく聴こえても楽曲の屋台骨はバンドアンサンブルで、ドラマーがちゃんとグルーヴを司っていることがわかる生演奏感。無茶苦茶に進んでいるような楽曲展開も、とっちらかっているようできちんと着地する。こういった、ちゃんと手綱があるからいろんなところに行っても戻れる、という感性はボカロP出身の氏だからこそなのかなとも。完全にバンド畑の人は絶対にこうはならない。

ゲームミュージックな始まりからロックステディ風のサウンドに乗せた軽やかなメロディへ、そこからガールポップなサビに突入。そこからの流れが特に秀逸で、突如アタマ打ちのダンスミュージックになり、エフェクトボーカルに気を取られていると、しれっと生ドラムに戻っていて、リズムがひっくり返ってラウドロックに変わっている。“え？”と思ったら、ガールポップなサビに戻ってる……“今のなんだったん？”感。ぜひとも1’39”（Apple Musicでのタイム）からのサビから聴いて、2’01”〜2’45”のハイパータイムに注目してほしい。

WILL-O’「HANABI」もそうなのだが、ちょっと落ち着かなくて危なっかしさがありながらもきちんと戻ってくる、という凄業である。

katz曲は「モンスター」。

ワールズエンド 。「モンスター」【Official Video】

正攻法なハードロック。ジャパメタを想起させるようなちょっと懐かしい泣きメロディ。この手のメロディは声優アーティストがやりそうな印象だけど、意外とアイドルではやらないタイプの曲。ギラギラとイカつくなりそうな楽曲であるものの、キラキラっとしたシンセをふんだんに鏤めることで輪郭をぼやかして独特の浮遊感を保っている。

個人的にはイントロのギターフレーズにすべてを持っていかれてしまった。円を描くようななだらかに聴こえるけど、そうは弾けない音。Mr.Bigに加入したリッチー・コッツェンがライトハンドなしで「Green-Tinted Sixties Mind」を弾いているような。わかるかなぁ、わかんねぇだろうなぁ。

さて、つい先日、アイドルシーンにとんでもない問題作が投下された。

アンスリュームのベストアルバム『にゅーかおすっ!!!!』だ。ベストということで今までリリースされていた曲、ライブでお馴染みの曲が新曲を携えて1枚のアルバムに纏められた。聴けば聴くほどに頭がバカになっていく、最高のアルバムである。