SCRAMBLESのoni、CYNHN渡辺翔、福井シンリ、Saya…… 気鋭のサウンドクリエイター特集<前編>|「偶像音楽 斯斯然然」第41回
SCRAMBLESのoni、CYNHN渡辺翔、福井シンリ、Saya…… 気鋭のサウンドクリエイター特集<前編>|「偶像音楽 斯斯然然」第41回
前編と後編の2回に渡ってお届けする今回の『偶像音楽 斯斯然然』は、今、注目しておきたい気鋭のサウンドクリエイター特集。前編となる本日は、渡辺翔、福井シンリ、Saya、oniの特異性を紐解く。
oni WACK屈指の女性クリエイター
SCRAMBLESで注目すべきは、女性クリエイターoni。多くのWACKグループ楽曲の制作に関わっているが、個人的にはEMPiRE楽曲で聴ける刹那メロディのニューウェーヴ曲が、グループの方向性の指針となるタイプの曲であると述べてきた。そんなうんちくはさておき、単純にこの人が手掛けた曲が好きなのだが、先日松隈ケンタのYouTubeチャンネルにて彼女が紹介され、“モデルでバンドをやっていた”という言葉に思わずビビっときた。
松隈ケンタが語る!実は元ファッションモデルの音楽クリエイター「oni」!!
あ、GANGLIONのボーカル&ギター、oniだ!
私としたことが、なぜ今まで気がつかなかったのか……。
GANGLIONは、ハードロックからエレクトロまで幅広い音楽性を持った女性バンドで、oniがKERAモデルをやっていたこともあり、カリスマ的な人気を誇っていた。広義の意味でのヴィジュアル系バンド、というか雑誌『KERA』系譜のガールズロックみたいなものがあって、北出菜奈だったり、MYM擁するGaGaalinG(LINDBERGのドラマー、小柳“cherry”昌法がメンバーだったことでも有名)、MAA擁するMarBell、さらにはモーニング娘。の石川梨華と吉澤ひとみによるHANGRY&ANGRYもこの流れを汲んでいた。ファッションブランドh.NAOTOの絡みとかね。話は逸れたが、なぜ気がつかなかったのか(大事なことなので)。
フロントマンとしてのオーラはもちろんFender StarcasterやJohnny Marr Jaguarなどギター選びのセンスも抜群だったoni GANGLION「DISTANCE」
松隈は動画でBiSH「プロミスザスター」のことに触れているが、oniワークスのトラックデザイン(編曲)で特徴的なのは流麗なストリングスと繊細なピアノの使い方。豆柴の大群「りスタート」しかり、歌メロディは邪魔しないけど主題に対するオブリガードとして心地よく後ろで鳴っている弦と鍵盤がたまらないほどにいい仕事をしているのである。
豆柴の大群「りスタート」MUSiC ViDEO
個人的にプッシュしたいのはEMPiRE「ピアス」。ファンタジックなトラックが派手に聴こえながらも実際の音数は多くない。そう聴こえるのは、ピアノなどの旋律で賑やかな拡がりを与えているという業。
EMPiRE / ピアス [OFFiCIAL ViDEO]
作曲(主メロ)を手掛けているのは、それこそEMPiRE「ERASER HEAD」「maybe blue」といった、ダークなニューウェーヴ曲が目立つ。女性の内向的な気持ちを浮き彫りにしたMAYU EMPiREの作詞との相性が抜群だと思っていたが、私の嗜好をくすぐってくる根幹にあるものはV-ROCK的な慟哭メロディだったということか。こういうところにビビっとくる人は、私だけでなく意外と多いはずだ。
EMPiRE=EDMのイメージを決定づけた「FOR EXAMPLE ??」はoni作曲
(後編に続く/10月11日12時公開)
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