
SCRAMBLESのoni、CYNHN渡辺翔、福井シンリ、Saya…… 気鋭のサウンドクリエイター特集<前編>|「偶像音楽 斯斯然然」第41回
SCRAMBLESのoni、CYNHN渡辺翔、福井シンリ、Saya…… 気鋭のサウンドクリエイター特集<前編>|「偶像音楽 斯斯然然」第41回
前編と後編の2回に渡ってお届けする今回の『偶像音楽 斯斯然然』は、今、注目しておきたい気鋭のサウンドクリエイター特集。前編となる本日は、渡辺翔、福井シンリ、Saya、oniの特異性を紐解く。
Saya V-ROCK生まれのSCRAMBLES育ち
私がSaya曲に出会ったのは新体制のNEO JAPONISMのライブだった。まさに、ポップに寄せすぎることなくひたすらにキャッチーな楽曲の数々。加えて、ダイナミックレンジの広いサウンドメイクにノックアウトされてしまった。
NEO JAPONISM 「Subliminal」 Music Video
オリエンタルな旋律はMUCCやメリーといったヴィジュアル系バンドのにおいを感じたし、節回しにBiSっぽさを感じた。BiSがこの辺りのヴィジュアル系臭を漂わせているということもあるし、そもそも前体制のNEO JAPONISMを観た時にBiSを意識しているんだろうな、などと思っていた。しかし、新体制に驚愕し調べてみれば、意識しているどころかサウンドプロデューサーのSayaは松隈ケンタ率いるSCRAMBLES門下生で、BiSをはじめ、PEDROやGANG PARADEの楽曲制作、トラックデザインをしていたという事実。さらにはヴィジュアル系ロックバンド、SRASH NOTES GARDENのギタリストだったというではないか! 知ってる! ライブも観たことある! 楽曲制作に関わっているクリエイター、山本隼人もSRASH NOTES GARDENのボーカル&ギター、Hatch、その人だった。
ある意味、自分の嗅覚は正しかったし、己の琴線はやっぱりそういうところなんだなと思った次第である。
破壊的な音の中に哀愁性を感じていたのはそういうこと(Saya編曲&トラックデザイン)だったのか…… PEDRO / WORLD IS PAIN
NEO JAPONISMは現代のヘヴィミュージックにおけるトレンドをきっちりと押さえながらも、女性ボーカル、アイドルらしさを大切にしているグループである。そして、同じ事務所に所属しているSOLはそんなアイドルらしい煌めきをより強調させた良質のJ-POPを描いている。共通してSaya節は感じられるものの、音楽としてのグループコンセプト、カラーを明確に分けることでぶつかることなく共存している。Sayaプロデュース作品はコライト(Co-Write、複数人によるチームで楽曲制作を行なう)を採用していることもあるようで、そうした棲み分けもウマくできていると思われる。
SOL / スターゲイザー [Live Movie]
NEO JAPONISMはロック、SOLはJ-POPであるが、ともにキャッチー性を重じているグループ。そこからもっとポップ方面に振り切っているのが、パピプペポは難しい。
パピプペポは難しい「charm」
エレクトロシャワーの中に弾けるポップネス。重低音や音圧で押してくるサウンドではなく、いい塩梅のチープっぽさもありながら、EDM意識のサウンドスパイスも散りばめられていたりと、サラっと聴けてそれでいて隙がない。エレポップでありながら、DJ畑のクリエイターとは違い、電子音をリフ的に組み建て、バンドっぽく仕上げているように聴こえるのは気のせいではないかもしれない。
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