TEAM SHACHI、アメフラっシ、デビアンにthe GazettE? EDMとラウドなバンドの絶妙な関係|「偶像音楽 斯斯然然」第40回

TEAM SHACHI、アメフラっシ、デビアンにthe GazettE? EDMとラウドなバンドの絶妙な関係|「偶像音楽 斯斯然然」第40回

TEAM SHACHI、アメフラっシ、デビアンにthe GazettE? EDMとラウドなバンドの絶妙な関係|「偶像音楽 斯斯然然」第40回

記念すべき連載第40回目は、EDMを軸に昨今ユニークなサウンドを聴かせるグループをピックアップ。そもそもEDMとはどういう音楽なのか?という基礎知識をはじめ、アイドルとV系の共通項など、冬将軍が独自の視点で綴る。

TEAM SHACHI ダンスミュージックをラウドなバンドでかき鳴らす

「SURVIOR SURVIOR」「MAMA」の2曲は海外クリエイターによるコライト(Co-Write、複数人によるチームで楽曲制作を行なう)で制作されている。海外ではスタンダードな制作方法であり、Ed SheeranやTaylor Swiftのようなシンガーソングライターでもコライトを用いた楽曲が数多く存在する。チームでトラックを制作し、メロディをつけていく(その逆も然り)。一般的に主メロ(歌メロ)を作った人が作曲者とされるために、クレジットだけではコライトかどうかわからない場合も多い。日本ではWACKのサウンドプロデューサーである松隈ケンタが数多く用いている。

TEAM SHACHI 「SURVIVOR SURVIVOR」【Official Live Music Video】

「SURVIOR SURVIOR」は、日本人が不得手とするミディアムテンポにずっしりとしたリズムが印象的。大きく弧を描くようにうねるグルーヴに、ビシッと決めたリズムと整然としたメロディが突き進んでいく。自信に溢れた強さを魅せつけてくる曲だ。サビらしいサビを用いていないのも近年の海外ポピュラーミュージックのトレンド。「MAMA」は、よりタイトなリズムがエッジを効かせながら切り込んでくる。突き抜けるようなメロディも良い。咲良菜緒の伸びのある強い声と大黒柚姫のしなやかな声、坂本遥奈は艶やかに彩り、秋本帆華が煌めきを与えてグループの形を整えていく。

腹にくる重低音からキレのある高音まで、両曲ともにダイナミックレンジの広いサウンドが心地よく響く。総じて、明らかに盛り上がり重視のJ-POPではない、“魅せていく”洋楽のプロダクトだ。

TEAM SHACHI 「MAMA」【Official Live Music Video】

加えて、TEAM SHACHIの醍醐味、ブラスの入れ方も絶妙。前へ出すぎることはなく、音量も控えめながら、どっしりとした低い重心にアタックの深く切れ込むようなメリハリの効いた音色が、きっちりと存在感を放って華やかな印象を与えている。

音源ではこうした純度の高いダンスミュージックであるものの、ライブではラウドなバンドサウンドで、また違う魅力を放つというのもBLACKPINKに通じるべきところだろう。

どこか華やかさを持ったグループであったが、改名から2周年を目前にこうした新たな機軸を打ち出してきたことで、ますます目が離せなくなった。

TEAM SHACHI「SURVIVOR SURVIVOR / MAMA」

ちょうどこの記事がアップされる9月26日に、TEAM SHACHIが訪れる場所がライブ会場に様変わりするという、配信ライブ<SPOT ~STAGE at 奥三河~>を開催する。“TEAM SHACHI史上最大の挑戦”と豪語するこの前代未聞の配信ライブについて、BARKSの方でインタビューを担当しているので、ぜひそちらも注目してほしい。彼女たちのエンタテインメント性、グループに対するアイデンティティを感じられるはずだ。

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