TEAM SHACHI、アメフラっシ、デビアンにthe GazettE? EDMとラウドなバンドの絶妙な関係|「偶像音楽 斯斯然然」第40回

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TEAM SHACHI、アメフラっシ、デビアンにthe GazettE? EDMとラウドなバンドの絶妙な関係|「偶像音楽 斯斯然然」第40回

記念すべき連載第40回目は、EDMを軸に昨今ユニークなサウンドを聴かせるグループをピックアップ。そもそもEDMとはどういう音楽なのか?という基礎知識をはじめ、アイドルとV系の共通項など、冬将軍が独自の視点で綴る。

Devil ANTHEM. おもちゃ箱を引っくり返した、ちょっと懐かしいデジロック

EDMからデジロック要素をウマくキャッチーに落とし込んでるグループといえば、Devil ANTHEM.だ。ニューシングル「VS」は良い意味でのチープ感を漂わせながら、ひたすらにキャッチー、とにかくキャッチーに、これでもかというほどキャッチーに攻めてくる、なんだかものすごく中毒性がある楽曲。

Devil ANTHEM./「VS」MV

90年代後半、hideがサイボーグロックを掲げ、世にデジタルレコーディングが台頭してきた時代を想起させるような耳慣れである。KIYOSHI(media youth/hide with Spread Beaver)がプロデュースしたD[di:]や、テレビアニメ『ドクタースランプ』(1997〜1999年)の主題歌「顔でかーい」でデビューしたFunta、そして今や引っ張りだこの音楽プロデューサー・蔦谷好位置が在籍していたCANNABISなど、あの頃に台頭していた女性ボーカルのキャッチーなデジロック、デジポップを思い出したのは私だけではないはず。LEMONedのキャッチコピーを借りれば、“おもちゃ箱を引っくり返したようなサウンド”の応酬だ。

とはいえ、使われているサウンドは現代らしいEDM要素があるのが妙味。それでいて、ナゾの笛のようなあやしげで無国籍な主題フレーズが楽曲のテンポ感を抑えるように鳴り響き、どこか脱力感に襲われていく。サビもズンダカリズムの高速パンクであるのに、速さよりもゆるさのほうが勝っていて、ちょっと拍子抜けするような攻め方なのだが、これがまた中毒性があって最高なのである。当人たちのキャラクター性も大きいだろうけど、歌とサウンド含めて疾走感を保ちつつ、肩肘張らずにこの雰囲気にまとめ上げた手腕は見事。これは絶対に日本人にしか作れないし、アイドルだからこそ成立するものだろうし、特に外国人はこういうのは大好物だろうなぁと思ってみれば、YouTubeのコメント欄を見てニヤリ。

もう1曲のコチラもたまらない。

Devil ANTHEM./「ストレライド」Official Audio

一聴して、“THE MAD CAPSULE MARKETS「FLY HIGH」じゃん!!”と思った人、大体友達。何が似てるとかそういうわけでなく、楽曲の方向性の意味だ。スピード感があって、ループするシーケンスと爆音ギターが交錯していく。比較的音符の動きが少なく耳馴染みの良いメロディ、という2000年代型デジロックミクスチャーの完成形だ。この手のデジロックはシーケンスとディストーションギターの混ざりがシビアで難しく、正直ぐちゃぐちゃになってる場合も多いのだが、この「ストレライド」はサウンドにきちんと分離感があって、音像に解像度の高さが感じられる圧巻のキラーチューン。

つい先日、新木場STUDIO COASTで行われた<DDD〜4th ANNIVERSARY>でDevil ANTHEM.のステージを観たが、広いステージでのサウンドと絵面、デジデジとキラキラ、無邪気で開放感のあるステージングは以前にも増してどんどん磨きが掛かっていた。12月にはオクタゴンスピーカー使用という武器を提げ、COASTで行なわれるワンマンライブ<6th Anniversary ONE MAN LIVE「デビタゴン祭」>も、楽しみである。

Devil ANTHEM.『VS - EP』

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