鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiRE……K-POPトレンドがもたらすJ-POPアイドルの形|「偶像音楽 斯斯然然」第39回
鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiRE……K-POPトレンドがもたらすJ-POPアイドルの形|「偶像音楽 斯斯然然」第39回
アイドルファンもよく口にする“K-POPっぽさ”とは何なのか? 今回、冬将軍が鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiREらの楽曲構造やビジュアル、プロモーションを分析し、“J-POPの中で醸し出されるK-POP感”の正体に迫る。
鈴木愛理「Let The Show Begin」に見るMVの重要性
鈴木愛理‐『Let The Show Begin』(Music video)
J-POPセオリーも無視した展開を次々とリズミカルに畳み掛ける様は栗原同様にJazzin’parkらしい流石の業。アレンジはルーツミュージック要素を散りばめながらも、きちんと現在のポップミュージックに仕上げている。それにしても、楽曲自体はアメリカンな雰囲気なれど、ずっと優等生スタイルだった愛理が、こんなブリティッシュシンガーのようなスモーキーでがなるような歌い方ができるようになったんだなぁ(しみじみ)、などと、感傷に浸る古参ベリキューヲタも多いのではないだろうか。
そんな楽曲であるが、やはり目を惹くのは高揚感が猛り狂うMVだろう。日本のMVでは観ることの少ないミュージカル映画のようなゴージャスで目紛しい仕上がりだ。手掛けたのは韓国が世界に誇るSamsungによるプロジェクト『Boost Your Creativity』ということで納得。韓国は基本的にK-POPは長期プロモーション戦略であり、特にMV制作の力の入れ方には余念がない。対して日本は、先述の記事「今さら訊けないK-POPとJ-POPの相違」前後編で述べたとおり、リリース日に照準を合わせたレコード会社主導の短期プロモーションであるために、MVの制作体制が韓国や海外に比べると正直弱い。しかしながら、ストリーミング主体となり、リリース日よりもYouTubeでのMV公開タイミングでのインパクトが重要視されてきている昨今だからこそ、こうしたMVによるプロモーション方法は今後変わっていくのかもしれない。
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