鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiRE……K-POPトレンドがもたらすJ-POPアイドルの形|「偶像音楽 斯斯然然」第39回
鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiRE……K-POPトレンドがもたらすJ-POPアイドルの形|「偶像音楽 斯斯然然」第39回
アイドルファンもよく口にする“K-POPっぽさ”とは何なのか? 今回、冬将軍が鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiREらの楽曲構造やビジュアル、プロモーションを分析し、“J-POPの中で醸し出されるK-POP感”の正体に迫る。
predia トレンドを見越したJ-POPからの回答
predia「NAKED」
prediaといえば、湊あかねと村上瑠美奈による鉄壁のツインボーカルを軸とした文句なしの歌唱力、そこから生じる圧倒的な説得力がすさまじい。豪奢を纏い、余裕綽々な振る舞いを魅せつけながらも、守りに入ることなく容赦なく攻め立てていく様が見事。特に6人体制となってからの切れ味は抜群で、新体制最初のシングル「NAKED」(2019年)はEDMテイストを散りばめたサウンドとレゲエっぽいトラップを盛りこんだ楽曲構成に、普遍的なJ-POP歌謡を感じさせるサビが斬り込んでくるエッジィな楽曲だった。そして今回、新メンバー、あのんを加えた7人編成初シングル「東京マドンナ」、これがまた面白い。
predia 「東京マドンナ」 Music Video
前奏らしいものがなく、突如入るソリッドなリズムのAメロ、伸びやかたっぷりにBメロときたら、ここで肩透かしのようにぬらりとしたドロップでサビを躱していくのが昨今のK-POP〜海外トレンドであるのだが、あえてここで正攻法なJ-POPサビを投下。先ほどまでのソリッドさとは打って変わって、prediaが得意としてきた歌謡ライクで普遍的ニューミュージック要素たっぷりのメロディを艶やかに標榜する。この貫禄はさすがとしか言いようがない。間奏的なものもなく、全体像を捉えればギュッと歌の聴きどころだけを凝縮した無駄のない見事な楽曲構成で、3分31秒にすべてを収めた美学。この短さも現在のポップス基準。まさに世界的トレンドを見越したJ-POPからの回答というべきもの。今どきのポップミュージックのトレンドを押さえながらきちんとJ-POPしていて、それでいて何よりもprediaらしさを存分に感じられる、一切の隙を与えない楽曲である。
そんなpredia楽曲を多く手掛けているのはJazzin’parkの栗原暁だが、相方の久保田真悟が手掛けているのが鈴木愛理の配信シングル「Let The Show Begin」。派手なブラスアレンジと高揚感を誘う高低差の大きいメロディが聴く者を昂らせる、古き良きアメリカンな香りがする新境地である。
次ページ
- 2