ストゼロをZEMAITISに替えたRAY、青い透明性を魅せつけるCYNHN、世の終焉を歌うじゅじゅ、コロナと闘うNEO JAPONISM｜「偶像音楽 斯斯然然」第38回

青い透明性を魅せつけるCYNHN

最近、配信ならではの演出を行なったのがCYNHN（スウィーニー）。7月25日に行なわれた、＜CYNHN Streaming ONE MAN LIVE『Ordinary Blue -AM:2:00』＞はフュージョンスクリーンを使い、幻想的で夢幻な世界を創り上げた。そんなライブから「水生」の映像がアップされた。

CYNHN（スウィーニー）「水生」OrdinaryBlue Live Official Movie 0725

この楽曲はCYNHNの持つ青い透明性と高度な歌唱力を体現できる楽曲であるが、ライブでの実戦力を堪能できるのはもちろん、スタジオ音源やMVとは違う「水性」の世界観を映像美に落とし込んでいる。

前回、9月リリースの全然平凡じゃない「ごく平凡な青は」に触れた際、次々と歌い継がれていくボーカルと、サビの重なりにCYNHN特有の間合いを感じると述べたわけだが、生歌のライブだとそれがよりわかる。青柳透の落ちサビ“漂う漂う「もしも」”からの流れといい、ラストの崎乃奏音、“もう君は行ってしまったのに”の抜きながら押し出して、“綺麗だった”と最後にまた抜いていく声の表情はなんなんだ……好きだ。

終末観がなんとも美しいじゅじゅ「La fin」

話題は打って変わって、このご時世に禍々しい楽曲を投下した、じゅじゅ。残響レコードとじゅじゅの所属するクロスアイデアがコラボレーベル『残響 XiDEA』を発足。第1弾としてリリースされたのが、このじゅじゅ「La fin」。

じゅじゅ「La fin」

不安を掻き立てるギターの刻み、怪しく重ねられるストリングスが不穏な空気を作り上げていく。燃える街の中歌う4人のMVはなんとも美しく、間奏のくり返されるモダンヘヴィなリフの応酬にひれ伏すしかない。間奏明けの“世界の終焉で わたしは唄う”と唄う、ちゅんはなんとも儚いようで凛々ししくもあり美しい。

ここまで、本格的にゴシックの世界観とメタリックな質感を描くアイドル曲は珍しく。それでいて、シャウトやハイトーンの歌い上げといった“声を張る”方面にいっていないということも、じゅじゅというグループの稀有な存在を象徴するような曲である。