＝LOVE、わーすた、CYNHN、NEO JAPONISM…… 2020年夏を盛り上げる攻めに攻めた曲8選｜「偶像音楽 斯斯然然」第37回

アンスリューム「恋せよ!ぱらぱら半ちゃーはん」　謎の中毒性により脳内を侵食

ぶっ飛んだといえば、謎の中毒性により私の脳内を侵食しているアンスリューム。これまたとんでもない曲を登場させてきた。チャーハンだからパラパラ、という安易すぎて誰もやらないことを堂々とやってのけるこのセンスよ。というか、普通はチャーハンの曲なんて作らないだろ。

オーセンティックなユーロビート、……と自分で言っておきながら、ユーロビートにオーセンティックがあるのかどうかわからないのだが、誰もが思い描くパラパラビートとキャッチーなメロディを丁寧に仕上げている。リズミカルなイントロを聴いて私が咄嗟に思い出したのは、ひと昔前ニコニコ動画で一世を風靡した東方projectのアレンジ曲「ナイト・オブ・ナイツ」だったりと、ごく正攻法なユーロビートだと思うのだが、それでいてアンス節というようなものを感じられるのだから不思議である。

“痛め続けた恋心”なんてキラーフレーズ、ウマいこと言ってるようで冷静に考えればそうでもないのかな、と思いながらも“君臨君臨くりりりーん”“東方のプロパガンダ 狂気の笹の葉パンダ”に続いて、言葉の意味はよくわからないがナゾの説得力がある、……そんな気がする楽曲の誕生である。天神・大天使・閻魔の歌、というか声の使い分けに感心しながらも、ちょくちょく挟み込まれるサウンドプロダクトの小ネタにニヤリ。中華に突如投入される印度スパイス、とはいえ曲全体も落ち着いて聴いてみれば、別にチャイナでもないのだが。最後は転調か!?と思いきや、しないのかよ！　サウンドプロデューサー、katzの奇才っぷりが炸裂しているキラーチューンである。

ワールズエンド。「モンスター」　ジャパメタな泣きメロ

そんなkatzの手掛けたもう1曲がこちら。マリオネッ。改めワールズエンド。の「モンスター」。正直、わざわざ改名する必要があるのか、なんて思っていたのだけど、改名後のライブを観たらキレッキレのステージで確かに生まれ変わっていた。いい感じに変化していて、いい感じに変わっていない。

ワールズエンド 。「モンスター」【Official Video】

マリオネッ。時代からあったハードロックギターを全面的に出した、タイトルどおりの強い曲。LAメタル影響下のジャパメタ感というべき、華やかなシンセをバックにちょっぴり刹那な泣きサビがグッとくるのだが、個人的にイントロの次々と円を描いていくようなギターフレーズで“やった！”となってしまった。Mr.Bigにリッチー・コッツェンが加入した時に「Green-Tinted Sixties Mind」をライトハンド（タッピングじゃないよ）なしで弾き倒してた、あの感じ。わかるかなぁ。