和田彩花[ライブレポート]Zepp Tokyoワンマンで見せた大いなる成長と可能性

和田彩花[ライブレポート]Zepp Tokyoワンマンで見せた大いなる成長と可能性

和田彩花[ライブレポート]Zepp Tokyoワンマンで見せた大いなる成長と可能性

和田彩花が、8月1日(土)に東京・Zepp Tokyoにてワンマンライブ<和田彩花 2020 延期の延期の延期>を開催した。本来であれば2月から3月にかけて初のソロツアーを開催する予定だった和田。初日の愛知・Zepp Nagoyaは開催できたものの、新型コロナウィルスの影響でその後の大阪公演は中止、東京公演は延期となった。本公演は、タイトルにもあるように3回の延期の末に実現した東京でのソロ初ワンマンライブ。そして、ライブ当日の8月1日は和田の26歳の誕生日となる。新型コロナウィルス感染拡大防止を考慮し、キャパシティー2,800人の会場に400人の観客を動員。またライブの模様は、uP!!!オンラインライブで有料配信され、全国のファンが和田のステージを見届けた。本記事ではオフィシャルレポートをお届けする。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

和田はバンドメンバーとともにステージに登場すると、オープニングのインスト曲に続けてフランス語詞の「Une idole」を歌唱しライブをスタート。透明度の高いミディアムポップチューンで、観客は一気に彼女の世界観に引き込まれていった。そして、「少しの寂しさとともに」では切ないメロディをうねりのあるサウンドに乗せて届けていく。可愛らしさと強さを合わせ持つ和田のボーカルが、タイトかつしなやかな演奏と合わさりエモーショナルな音楽となって観客の心を掴んでいく。観客は、歓声の代わりに和田へ熱い拍手を送った。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)
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<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

今回のライブで披露される楽曲は、すべて彼女が作詞を担当したもの。公演自体も、和田のセルフプロデュースである。彼女とともに音楽を届けていくバンドメンバーは、あらかじめ決められた恋人たちへの劔樹人がベース兼バンドマスター、ギターは同じくあら恋のオータケコーハン、キーボードはVOLA & THE ORIENTAL MACHINEの楢原英介、ドラムはコレサワのサポートメンバーのUという強力な布陣だ。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)
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<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

アンビエントなサウンドに乗せて、和田はポエトリーリーディングを行なう。“もう、抵抗のためだけに仕事が一番だなんて示す必要はないし、私生活がないかのような態度を示す必要もない。複雑な思いを一旦吐き出し、表現できる場と環境を大切にする姿勢を貫くことが彼女には必要で、「今日は誕生日だから、仕事が終わったら早く帰る。」そう口にすることも必要だ”という詩は、現在の彼女のスタンスを表す言葉ように感じられた。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)
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<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

ステージの大きなスクリーンに映し出されるほとんどの映像は、本人が撮影を行なったもの。このライブでは、音楽と映像のマッチングが絶妙だった。モノクロの首都高の映像とともに披露されたシティポップフレイバーの「空を遮る首都高速」では、ゾクゾクする高揚感を覚えた。メロウなサウンドの「ホットラテ」は、彼女が制作したMVとともに演奏が行なわれる。温かいメロディに乗る歌詞は、個々の価値観を認め合う想いが歌われている。コーヒーとミルクという別々の飲み物が混ざり合い、新たな美味しい飲み物が生まれることと同じだよという彼女のメッセージが、映像と生の歌と演奏でより鮮明に伝わってきた。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)
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<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

ブレイクを挟んで、ドゥルッティ・コラムのようなディレイのギターサウンドから始まるのは「それでも愛を信じるのは」。愛することをテーマにしたこの楽曲は、キーボードの楢原がバイオリンを奏でてトラッドミュージックとして届けられた。淡々としたイントロから徐々にテンポがアップしていく「スターチス」は、静と動が交差するミッドポップチューン。和田から投げかけられるさまざまなタイプの楽曲を、観客は真正面から受け止め、曲が終わるごとに大きな拍手で応えた。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)
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<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

ここからライブはさらに深みを増していく。日本のジェンダーギャップ世界指数に対しての想いを綴った「121位」は、陰鬱なボーカルがすさまじい迫力だ。真っ赤な背景の中で歌われるヘヴィなナンバー「オリーブをくわえた鳩が飛ぶ日には」では、混沌とした想いを表すかのように和田が激しく踊る。スクリーンが青一面に染まって披露されたのは「マリッジブルー」。オータケが鉄琴、劔がコントラバスを演奏。まどろみ感のあるサウンドは楽曲の後半では熱を帯びていき、バイオリンのソロからまた1つ違う世界へと誘って行く。これは私見だが、ふとデレク・ジャーマンの映画『ブルー』を想起してしまった。ライブの雰囲気をチェンジするかのように「届けられたのは無題」。アップテンポのサウンドで、和田は音と一体化したダンスを見せた。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)
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<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

VTRを挟んでからのライブ後半戦は、悲しみを乗り越えていく想いを力強い歌で伝える「For me and you」、運命の巡り合わせを歌う疾走感溢れるナンバー「あれは運命的な出来事」を披露。「この気持ちの行く先に」では、さまざまな意見がある人間同士だが、いつかはわかり合って未来を作っていきたいという歌詞を、和田は熱い想いを吐き出すように言葉に感情をしっかりと込めて歌っていく。そして、ミディアムチューン「あなたが選んだものあなたが選ぶもの」が披露された。人それぞれの選択を尊重していこうというメッセージを温かいメロディで歌唱する和田。広がりのある歌と演奏には、大きな愛で包み込んでいくような力強さを感じ取れた。優しさと強さのこもったドラマティックな世界観が会場に響くと、観客はこれまで以上の大きな拍手を送った。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)
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<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

笑顔の和田は、“短い時間でしたがありがとうございました”とシンプルな言葉で観客に感謝を伝える。そして繊細なピアノの音色から、あなたという存在の大切さを歌う「#15」が届けられた。続けてギターのアルペジオがループしていき、オープニングで演奏されたインスト曲に歌詞が乗った「エピローグ」が披露される。優しさに溢れたボーカルとサウンドが会場を包むと、最後には会場の上空にある花のロープが観客の頭上の近くまで降りてきた。以前から和田は、“ステージと客席の境目をなくしたい”という想いを公言していた。だが、コロナ禍でそれを実現するのは難しい現状。そこで彼女は自分の気持ちを、演者と観客をつなぐ花の架け橋として表現したのだ。和田はピースな思いをしっかりと観客に伝えて、ライブは終了となった。

<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)
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<和田彩花 2020 延期の延期の延期>|Zepp Tokyo(2020年8月1日)

昨年8月1日にソロのキャリアをスタートした和田彩花。このライブは、ハロー!プロジェクトから卒業し、すべてイチから学び築き上げてきた1年間の集大成的な内容だった。音楽的にはオルタナティブミュージックと言っていい楽曲ばかりだが、彼女の中に一定のジャンルを狙おうといった意図はまったくない。自分の想いのアウトプットの形が、結果的に現在のスタイルになったのだ。ライブの演出にしても、例えるなら、やりたいことをやってみたら自然とコーネリアスに相通じる雰囲気になったというのがとても面白い。

自身が今感じる想いを音楽として届ける。シンプルでありながらとても難しい作業を、1つずつクリアしながらたどり着いたZepp Tokyoワンマン。彼女の成長と未知なる可能性を感じられる濃密な時間だった。さらなる進化を遂げていく、和田彩花のこれからの活躍を大いに期待したい。