dela総合プロデューサー近藤薫[インタビュー]想い描くグループの未来図「自分たち自身でdelaを変えていこうという意識をしっかり伸ばしてあげるのが僕の役目」

dela総合プロデューサー近藤薫[インタビュー]想い描くグループの未来図「自分たち自身でdelaを変えていこうという意識をしっかり伸ばしてあげるのが僕の役目」

Pop'n'Roll 編集部

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2020.07.28
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7月15日にベストアルバム『DELAX2』をリリースした名古屋をベースに活動中のdela。これまでの歩みの集大成となる同作は、グループにとって、次のレベルへステップアップする上で絶好の変わり目となった。そのタイミングを持って、これまでサウンドプロデュースを担当していた近藤薫が、総合プロデューサーに就任。現在のdelaを、さらなる高みへ導くための道を描き始めた。AKB48やV6、東方神起など、さまざまなアーティストにも楽曲提供し、自らもシンガーソングライターとして活動を続ける近藤が、どんな意志を持ってdelaをプロデュースしようとしているのか、その真意を訊いた。

インタビュー&文:長澤智典

良い意味で“あっ、dela変わったね”と期待を覚えさせたい

――これまではサウンドプロデューサーとしてdelaに関わり続けてきましたが、今回総合プロデューサーへ就任。その経緯を教えてください。

近藤薫:
delaには、9年間の歴史の中、もう7年くらいサウンドプロデューサーとして楽曲やライブ制作へ関わらせていただいてきました。このたび総合プロデューサーが辞任をすることになり、delaチームの方々から“delaのことをよく知っている方で経験豊富な人にこれからの道を作ってほしい”“delaにもっと深く関わってもらいたい”というありがたいお話をいただきました。僕自身、delaは大好きなグループですし、とても可能性を感じていたこともあり、“僕もdelaのみんなと一緒に未来を作っていけるのであれば”という想いのもと、総合プロデューサーとしての依頼を受けさせていただきました。

――東京に活動の拠点を置いている近藤さんは、静岡在住のROSARIO+CROSSの総合プロデュースも行なっています。一方、delaは名古屋を軸に活動中。距離的な問題に関しては、どのように考えているのでしょうか。

近藤薫:
そこが、今回のオファーをいただいた時、自分の中で1番懸念していたことでした。でも、以前からdelaチームの方々がメンバーらの身近に寄り添いながら一緒に歩み続けている姿を見ていましたし、僕がサウンドプロデューサーとして関わっていた頃からそうですが、現地にいなくともdelaをしっかり動かしてくれる優秀なスタッフがメンバーの側にいるのも十分わかっていました。もちろん、今も頻繁に名古屋へ足を運んでいるとはいえ、すべてを現地でまかなわなくともできる環境が今は整っています。確かに運営スタッフ構成は変わりますけど、チームが刷新されるわけではなく、継続した上で、さらに新しい仲間も増えてという形でしたので、そこは安心しています。それに僕の仕事は、delaのメンバーたちや各スタッフたちの動きを把握し、それをしっかりまとめ上げ、逆に提案を投げかけていくこと。そこさえ磐石なリレーションを取れているのであれば、delaの動きはより活性化していくと思ったことも、東京と名古屋という距離があろうと引き受けた1番の要因でしたね。

――近藤さんの構想も反映させていくんでしょうけど、従来のdelaチームがやってきたことも、しっかり継続させていくわけですよね。

近藤薫:
delaを支えるため、いろんなポジションを持って活動をしてきた人たちがいるように、そういう方々の意志を尊重した上で、自分なりの考えも提案しながらリレーションしていくことが大事だと僕は思っています。何より今は、“総合プロデューサーが交代したことで、delaがダメになった”とは絶対に言われたくないし、ファンの方々に“大丈夫なのか?”と心配もさせたくない。そのためにもまずは、ファンの方々に安心していただきつつ、未来へ期待を覚える環境作りをしていくことが第一だと思っています。その上で、僕がdelaを手掛けるからには、“今までのdelaを変えないように大事に守っていく”ではなく、delaの良いところを活かした上で、良い意味で“あっ、dela変わったね”と期待を覚えさせたい。でないと、僕がdelaの総合プロデューサーになった意味がないですから。誰でもいいではなく、僕が手掛けたからこその色は、なるべく早い段階から出していきたいと思っています。

――これからじっくり仕掛けていこうという意識でしょうか?

近藤薫:
まず最初にやらなくてはいけないことは、メンバーそれぞれの目標がどこにあるのか、というところを把握することだと思っています。ステージがやりたいのか、タレントがやりたいのか、モデルなのか。以前からサウンドプロデューサーとして接していたとはいえ、日々のメンバーのケアまで携わっていたわけではないので、総合プロデューサーとしてdelaを手掛ける以上は、そこを最も大事にしていきたいなと思っています。やりたいことができる環境を与えてあげたいし、やりたくないことを大人の事情で押し付けたくない。モデル希望のメンバーに難しいソロパートを渡して教育するのも違いますしね。delaは良くも悪くも、ビジュアルが華やかでさまざまな仕事に恵まれていたから故に、音楽ステージそのものを大事にできていなかったグループだと思うんですよ。いや、持っている力を発揮できていなかったと言った方がいいかもしれません。もちろんメンバーたちも、最初からあけすけに想いをぶつけてくれるものでもないし、自分の中に溜め込む感情だってあると思います。僕自身も、相手の心や気持ちへ土足で入り込むことはしたくないので、そこは女性スタッフの方々や、すでに信頼を得ているスタッフの方にウマく手伝っていただきながらしっかり関係性を育みたい。そんな感じでメンバーそれぞれの気持ちをケアしていきながらグループの土台を再構築していきたいと思っています。

――メンバーの意志をどう尊重していくかも、大事だと。

近藤薫:
そうなんです。僕がdelaを通してやろうとしているのは、“僕のアイドル活動への想いや構想をdelaにやってもらう”のではなく、“delaだからこその持ち味を把握した上で、どうプラスへ導く形を作ってあげられるか”。もちろん、メンバーたちのやりたいことを尊重はしたい。だけど、やりたいことのための技量が足りないのに“本人らの意志だから”とやらせても、けっして良い結果には結びつかない。むしろ、本人らの技量を活かせる形へ繋げた方が、より成長もすれば、魅力も発揮していく。要は、“やりたいこととできること”のバランスを見極めながら、ウマく道筋を作っていこうということ。その上で付け加えるなら、僕がプロデュースしているROSARIO+CROSSの場合、アイドルパフォーマンスユニットと名乗っているように音源やライブへ軸を置き、魅せるステージングを重視した活動を目指すためのプロデュースワークを行なっています。でもdelaは、グラビアなどのモデル/タレント活動を魅力に力を伸ばしている子もいれば、役者面での素養を伸ばしている子もいます。僕が1番得意としているのは音楽面ですが。これまでやってきた芸能活動の面での成功を活かしながら、それぞれの個性や魅力もできる限り伸ばしてあげたい。僕が音楽面での強みをそこへプラスしてあげることで、さらにその子たちの輝きを増してあげられたら……。それが理想的なんでしょうね。

――近藤さん自身、delaの楽曲へ7年以上関わってきたように、そこも極端に変わるわけではなく、現状に+αの要素を加えながら進めていく形でしょうか?

近藤薫:
プラスして積み上げていくというスタイルが目指すところですが、変化できることもあると思います。確かに、これまでもサウンドプロデューサーとして関わってきましたが、メンバーの歌のパート割りなど、前任プロデューサーの意志もあった上で決めた事柄もいろいろとあります。具体的に言うなら、技術で選びたい僕と、視覚的な訴求面で選びたい前任プロデューサーの意志など、いろんな意見を組み合わせた上で作り続けてきました。だけど今は、そのすべてを考えた上で組み立てていくことになります。これからは、ソロパートの割り振りも含め、良い歌を、その楽曲の生きる歌を届ける前提でメンバーの振り分けを行なうつもりのように、そこの差も大きく見えてくるところだと僕は思っています。

近藤薫

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