二丁目の魁カミングアウト[ライブレポート]最大級の愛をぶつけ合った満員の中野サンプラザ「私たちはこれからもおなカマと一緒に叫び続けます! ゲイでもアイドルになれる!」 二丁目の魁カミングアウト ワンマンライブ<ゲイでもアイドルになれる!in 中野サンプラザ>ライブレポート
鶴岡 舞
Pop'n'Roll Editor(編集者)
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二丁目の魁カミングアウトが、2020年1月8日(水)に中野サンプラザにてワンマンライブ<ゲイでもアイドルになれる!in 中野サンプラザ>を開催した。中野サンプラザは、二丁魁にとって“日本武道館ワンマン”という夢の階段の途中ではあるものの、念願の舞台の1つ。2019年12月に体調不良により脱退したきまるモッコリの想いを抱えて3人で挑む形となったこの日は、ライブタイトルのとおり、“ゲイでもアイドルになれる!”を体現した、美しく、華やかで、何よりさまざまな愛が溢れる約2時間のステージとなった。1年前から開催を発表していた大切なワンマンライブということもあってチケットはソールドアウト。満員の中野サンプラザでおなカマとかけがえのない時間を過ごした二丁目の魁カミングアウトのハートフルな一夜の模様をお届けする。
二丁目の魁カミングアウト<ゲイでもアイドルになれる!in 中野サンプラザ>|1月8日(水)中野サンプラザ
開演前の中野サンプラザには、グッズを身につけた大勢のおなカマ(二丁目の魁カミングアウトファンの総称)が、夢のステージに立つ二丁目の魁カミングアウトの姿を目に焼きつけようと胸を躍らせながら待っていた。
定刻を10分すぎた頃、二丁魁のワンマンライブでは恒例となったぺいにゃむにゃむの影アナが始まり、1年前に開催を発表したこのワンマンライブまでに経験した想い出をゆっくりと語っていった。“きまるモッコリを含めメンバー4人全員と、おなカマの一緒の夢であった中野サンプラザ公演”という言葉のとおり、フロアにはきまるモッコリのメンバーカラーとなる青を含めた4色のサイリウムが煌めいていた。
影アナの終了に合わせてステージを覆っていた幕が上がると、4色の花々(カーネーション、ひまわり、紫陽花、白百合)で彩られたステージがあらわとなり、オープニングムービーが放映された。3つのサイコロを使って“ゲイでも”、“アイドルに”、“なれる!”を揃えるミッションに挑戦する3人のコミカルな映像で会場を和ませる。300回近くサイコロを投げ続け、見事“ゲイでもアイドルになれる!”を完成させた3人は、SEに合わせて、白鳥白鳥、ぺいにゃむにゃむ、ミキティー本物の順に堂々とステージに登場。会場が大きな歓声に包まれる中、ミキティー本物は“それでは新曲聴いてください”と、いきなり「GAY STAR」を歌唱。ミキティー本物が作詞・作曲を手がけ、これまで数多くの二丁魁の楽曲のアレンジを担当してきた山下智輝が編曲した楽曲だ。開幕からステージで華々しく輝く、“スター”の姿をした二丁目の魁カミングアウトの姿がそこにはあった。
MCでは自己紹介を軽く済ませると、すぐさま「青春は何度でもやり直せるなんて嘘だ」をアクト。ぺいにゃむにゃむの弾むようなアジテートはこの日も健在だ。そして、彼らはここから怒涛のノンストップライブを展開していった。
ミキティー本物がメンバーに手紙を書くように書き上げた「そっ閉じ 青春」。ブルーを基調としたライディングのもと届けられるエモーショナルなナンバーでは、いつにも増して美景が広がっていた。“これから起こる人との出会いが これまでの僕を照らしてくれる 過去を輝かせるから 今を輝かせるから”というこの曲の歌詞が表しているように、今までの出会い、出来事をすべて背負って中野サンプラザに立っているということが詰め込まれているようなそんなステージであった。
メロウな「病める時も健やかなる時も」で温かな空間を作り出したかと思えば、パワフルに「ボクの夢はお嫁さん」を届ける。「ボクの夢はお嫁さん」の最後にはぺいにゃむにゃむが、“2020年の夢はおなカマとたくさんの想い出を作ることー!”と、歌詞をアレンジして歓声を誘っていた。
“中野サンプラザは広いなぁ。でもこの広さにいっぱいいっぱい愛を詰め込みましょう”と、アッパーチューン「The frog in the well knows nothing of the great ocean 〜カエルのうた〜」で一体感を作り出し、カラフルなレーザー光線が放たれる中、ピアノロックチューン「三原色カタルシス」へと繋ぐ。繊細で表情豊かなダンスで魅せつつも、激しく煽り会場の温度をぐいぐいと上げ、“この景色だけは愛と呼ばせて”という歌詞のとおり、メンバーとオーディエンスの愛が溢れているような美しいシーンを描いていった。
続く「TOO SHY SHY PEOPLE」ではフロアをしっとりとしたムードにチェンジ。微かな照明に照らされながら「ホモサピエンス」、「(1+1)×0=0」と感情的なステージングを展開。「(1+1)×0=0」と「LOUE」の繋ぎでは白鳥白鳥が華麗に舞う。二丁目の魁カミングアウトのノンストップライブでは、美しい曲繋ぎのパフォーマンスも見どころだ。「LOUE」、「若くない者のすべて」を切り替えの早いメドレーで披露し雰囲気を一変すると、「鶴は千年 亀は万年 僕は数年」を歌唱。ステージ2階部分の壇上でスタンドマイクを構えながら、フロアの隅々まで笑顔で見渡す3人。ぺいにゃむにゃむが“中野サンプラザ一緒に歌うよ”と放つと、会場には割れんばかりのシンガロングが響いた。
暗転したステージにスポットライトが照らされ、「ピンポンダッシュ」へ。ピンクのライディングの中、メンバーが想いを込めたパフォーマンスに華を添えるようにミラーボールが煌めく。この中野サンプラザが、ミキティー本物がアイドルを目指す原点ともなった“ハロー!プロジェクト”の聖地という特別感をより高めているようであった。
真っ赤なライディングでガラリと雰囲気を変え、ぺいにゃむにゃむの“私たちはこれからもおなカマと一緒に叫び続けます! ゲイでもアイドルになれる!”というひと言とともに「マイノリティーサイレン×BUG IS LIFE」をドロップ。人気曲をリミックスしたスペシャルなナンバーにフロアのボルテージは急上昇。激しく放たれるレーザーが視覚的にも高揚感を誘う。会場が一体となり、観客は互いの肩を組みながら左右に身体を揺らす。愛と愛がぶつかり合うような大きな歌声が中野サンプラザに轟いていた。
白鳥白鳥が歌い出す「see you next life」で会場を酔わせ、ライブ定番曲「リバ」でラストスパートをかける。後半に差し掛かってもなお、パワフルな3人のダンスは勢いを落とすことなく、そのままキラーチューン「耳をすませば」へとなだれ込む。ぺいにゃむにゃむが合いの手のようにくり出す煽りにミキティー本物の声も加わり、これでもかと激しく会場のボルテージを上げていく。“もっと楽しもうぜ”という言葉のとおり、ステージにもフロアにも笑顔の花を咲かせていた。
本編最後は、歌い始めをバラード調にアレンジした「アンハッピーバースデー」。オーディエンスは、前半は情緒的な3人の歌声に酔いしれ、後半は思いっ切りエンジョイ。曲の終盤にはメンバーカラーの赤、黄、青、白という4色のテープが発射され、その光景は二丁目の魁カミングアウトの“4人”の感謝の気持ちがフロアへと真っ直ぐに届けられているようであった。
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