BILLIE IDLE、夢アド、LADYBABY……解散、休止、卒業、アイドルがラストへと向かう時|「偶像音楽 斯斯然然」第17回

BILLIE IDLE、夢アド、LADYBABY……解散、休止、卒業、アイドルがラストへと向かう時|「偶像音楽 斯斯然然」第17回

冬将軍

音楽ものかき

2019.11.16
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これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

いつまでもいると思うな親と推し——。

そんなことを日頃考えて推していたら、ちっとも楽しくはない。しかし、時折考えさせられる言葉である。

BILLIE IDLEの突然の解散発表は驚きでもあったし、その理由を赤裸々に語る、プロデューサー・NIGOの言葉はBILLIE IDLEファンのみならず、多くのアイドルファンの胸に突き刺さったに違いない。

“会社的にこれ以上の活動を続けることが厳しいとの判断——”

そうはっきりと口にした衝撃は大きかった。専業の音楽事務所ではないから、明確に言葉にできたことでもあるし、NIGOのいちビジネスマンとしての潔さを感じるところでもある。裏原宿ブームの火付け役であったものの、一時期は負債を抱え、自社ブランド『A BATHING APE(通称“BAPE”)』を売却。そこからフリーとしてさまざまな活動をしながら業界を生き抜いてきたNIGOだからこその、苦渋の決断ともいえるだろう。

BiSを卒業したプー・ルイの加入から、昨今バラエティ番組に引っ張りだこのファーストサマーウイカの活躍など、傍から見ればグループの活動は順調に見えたが、上記インタビューにあるように、ビジネスとしてはなかなか厳しい状況であったようだ。ただ、これはなにもBILLIE IDLEに限ったことではないことかもしれない。本人たちの意思とはまったく別のところにある、アイドルグループの活動の難しさを、ファン側にも改めて知らされた事案である。

BILLIE IDLE® 「MY WAY〜シンデレラアンセム〜MESSAGE」<NOT IDOL TOUR at SHIBUYA STREAM HALL 2018.12.24>

そして、インタビューにも出てくるライブ動員における壁の話。“BLITZとZeppの間にある壁”は、アイドルのみならずバンドシーンでも昔からよく言われてきた。ワンマンライブの会場を広げていく過程で、マイナビBLITZ赤坂のキャパ(約1,500人)にはなんとか到達することができても、その上のZepp Tokyoキャパ(約2,700人)を実現させることが1番難しいと。もっといえば、Zeppキャパが当たり前のようになれば、さらにその上を目指すことは少し楽になる、とも。実際、この壁が越えられずに足踏みしているバンドやアイドルグループは少なくない。2012年にZepp DiverCity(キャパ:約2,400人)がオープンしたわけだが、壁は今なおそびえ立っている。

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