22/7[ライブレポート]未来への覚悟を見せた赤坂の夜「ここからが“はじまりの物語”です!」
Pop'n'Roll 編集部
Pop'n'Roll 編集部
-
ポスト
-
シェア
-
ブックマーク
22/7が、9月20日にマイナビBLITZ赤坂にて、デビュー2周年を記念した<Anniversary Live 2019>を開催。その内容は、最新の4thシングル「何もしてあげられない」から、デビュー曲「僕は存在していなかった」へと遡っていく形で、これまでにリリースした全18曲を、MCナシ、ほぼノンストップで歌い踊るものとなった。さらに、2020年1月放送開始となるTVアニメ『22/7』の第1弾PVを上映し、第1弾キービジュアル、メインスタッフなどの新情報を解禁。9月25日には、AbemaTVにて『TVアニメ放送決定記念特番』が実施されることや、グループの結成日である12月24日に単独では最大規模となるZepp DiverCityで<Birthday Event 2019>を行うことを発表し、次なる目標へ向けた意気込みを語った。22/7の物語に、新たな“はじまり”を刻んだ一夜をレポートする。
22/7<Anniversary Live 2019>|マイナビBLITZ赤坂(2019年9月20日)
取材・文:キツカワトモ
残り3人の演じる役がサプライズ発表され、声優とキャラクターの“22人”で歩み始めた日から、ちょうど1年。1曲目は、メンバーがファンとともに勝ち取ってきたものを象徴する、初めての11人歌唱によるシングル表題曲「何もしてあげられない」だ。スクリーンに映る強いまなざしのキャラクターたちを背に、群像劇を思わせるパフォーマンスを堂々披露。
“みなさーん! 22/7のアニバーサリーライブへようこそ! 最後まで、私たちと一緒に楽しむ準備はできていますか?”。そんな煽りにペンライトを振って応える客席の誰が、この先に待ち受ける展開を予想しただろうか? 時計の針は、すでに過去へとさかのぼり始めている。ここから彼女たちは、最新のリリースから逆順に、持ち歌の18曲をほぼノンストップで披露していくのだ。ライブ初披露となった「とんぼの気持ち」は、メンバー全員が1つの有機的な塊となってゆらゆらと揺れる様で惹きつけたかと思いきや、クライマックスのフリーダンスで、牧歌的なメロディからは想像もつかない激情をほとばしらせ、1人として同じ生き様などないことを感じさせるのだった。
各シングルごとのブロック間には、リリース当時の撮影やイベント舞台裏などのドキュメンタリー映像が流される。そこには、1人ひとりが感情を込めてフレーズを読み上げるポエトリーリーディングも重なり、22/7のメッセージ性の強い楽曲と、声優として研鑽を積んできた彼女たちだからこその成果が実を結んでいた。
強く握ったこぶしを突き上げる、3rdシングル「理解者」。“誰が僕の理解者だ?”。その魂の叫びに応えるファンの熱狂が、会場を揺らす。「韋駄天娘」から「未来があるから」へと、どこまでも真っ直ぐに突き進む姿は速度を上げ、輝きを増していく。キャラクターたちが等身大の学園生活をくり広げるMVを背景にした「シャンプーの匂いがした」に始まる2ndブロックでは、青春のトキメキや切なさを歌う楽曲群が、やさしい春の風のように吹き抜けた。
細い身体のどこにこれほどのパワーを秘めていたのかと驚かされるタフネスと、1曲、1曲、まるで異なる楽曲の世界観を繊細に伝える豊かな表現力で圧倒。そんな全身全霊のパフォーマンスは、初期からライブの盛り上がりを支え続けたアンセムといえる「地下鉄抵抗主義」に極まる。汗をかき、髪を乱し、負けられない思いが、無数の弾丸がごとく放たれる。そして、デビュー曲「僕は存在していなかった」へ。かつて“色”を持たなかった花たちが、いくつもの悔しさに、喜びに流してきた涙を朝露のように輝かせ、強く咲き誇る姿に、温かな拍手が湧き上がる。やがて、アンコールを求め、割れんばかりの“ナナニジ”コールへと続いた。
ここで、ついにTVアニメ『22/7』の第1弾PVが上映され、第1弾キービジュアル、メインスタッフ、メインキャストなどの最新情報が解禁となった。雪降る街で、自転車に乗った少女・滝川みう。彼女が受け取った芸能プロダクションG.I.Pからの手紙に綴られたものとは……? 驚きと期待にあふれる反響を受け、ライブTシャツに着替えたメンバーたちも舞台袖から飛び出してきた。ようやく自己紹介の場を迎えた彼女たちは、本編をやり切った達成感とともに、明るく声を弾ませる。
“ペンライトの数が、太陽の数よりいっぱいあって嬉しいです!”と、付きまとう不安も目の前の光景で吹き飛ばした天城サリー。“今年もデビュー日をみなさんと一緒に過ごせてハッピー、ハッピーです!”と、マイワールドを展開する涼花萌。“(会場いっぱい)ぎちぎちに入ってくださって、嬉しかったです。ありがとうございました”と、高辻麗の震える声はエモーショナルに響く。“みなさんのことが、本当に大好きです”と、真っ直ぐに前を見つめる花川芽衣に、熱い歓声が飛んだ。
TVアニメのテーマが“はじまりの物語”であることから“グループの結成秘話やキャラクターたちの過去が描かれるんじゃないかなと思います”と明かす、海乃るり。武田愛奈は“今回のライブも、時を巻き戻したような構成になっていました。ここからが「はじまりの物語」です!”とアピール。滝川みう役の西條和は“映像を観て、みうのほっぺをつつく子がいたので、その役の子も一緒だと思っていたら……私1人だった”と、苦笑いで初めてのアフレコを振り返る。9月25日には、AbemaTVにて、メンバー出演の『TVアニメ放送決定記念特番』も配信されることが伝えられた。
また、3回目の結成日である12月24日に、単独では最大規模となるZepp DiverCityで<Birthday Event 2019>を行うことを発表。この会場の2倍近いキャパシティとなるが、宮瀬玲奈は“次も、メンバー11人で絶対成功させられるよう頑張ります!”と意気込む。白沢かなえの“クリスマスを一緒に過ごす人が決まっていないのなら、私たちと過ごしては?”という誘い文句にも、笑いが起こった。
最後に、リーダーの帆風千春がやわらかな笑みで客席を見回しながら、締めくくる。“今日で、デビューから2周年です。1年前の今日は『計算中』のイベントという形で、たくさんの方のお力を借りて、このステージに立たせていただきました。今年は「メンバー11人の力だけで成功させたいね」と話しながら本番を迎え、ありがたいことにチケットが完売したという知らせをいただきました! それもこれも、お世話になっているスタッフさんたち、そして何より、ずっと私たちのことを支えてくださっているみなさんあってのことです。これからも、どうぞ22/7の応援よろしくお願いします!”。
そうした感謝の念を揺るがない軸とし、過去の楽曲をただ感傷で振り返るのではなく、確実にアップデートしていくようなパフォーマンスは、彼女たちの“今”のすべて、そして、さらなる未来へ向かう覚悟を浮かび上がらせていた。声を揃えてコールしたラストナンバーは「11人が集まった理由」。絶対に手放さなかった原点の願いを再び強く抱き、新たな一歩を踏み出す。
フィナーレには、横一列になり手をつないだメンバーの“2+2+7はー?”という問いに、ファンが“11ーっ!”と答え、大きな円陣を組んだかのように会場が1つになった。